日米会計税務アドバイザリーサービス
03-3476-2405
212-599-4600
ニューヨーク本社:150 W 51st Street, Suite 1510 New York, NY 10019, U.S.A.
東京支店:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-10-5 渋谷プレイス9F コンパッソ税理士法人(気付)
Search result
検索結果
空の検索で693件の結果が見つかりました。
- デリバティブ 3| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > デリバティブ 3 2008年10月6日 Q. 外国為替の変動に対して将来の不測の事態を回避するためにデリバティブ取引を使ってヘッジをするつもりです。アメリカの会計ではデリバティブはどのような会計処理を行わなければならないのでしょうか? A. デリバティブの定義と3つのヘッジ取引の種類①公正価値ヘッジ、②キャッシュフローヘッジ、③為替リスクヘッジについて前々回で解説しました。今回は外国為替の具体的な会計処理について説明したいと思います。 <1>商品購入の例: ① 元商品:2008年4月1日に商品¥100,000を円建てで購入。2008年9月30日に支払および決済予定、購入日の直物為替換算レートは$=¥130。同時に9月30日決済日の為替先物買い予約を$1=¥125で¥100,000分行う。 ② 会社の決算日:2008年6月30日、為替換算レート$1=¥120(直物)$1=¥110(先物 決済日2008年9月30日) ③ 2008年9月30日の為替レート:$1=¥100 この場合、円建ての外国為替(元商品)は、すでに会社の貸借対照表(Balance Sheet=B/S)に記載されていますので、将来の公正価値の変動についてリスクを負っています。このリスクをヘッジすることを公正価値ヘッジ(Fair Value Hedge)といいます。会計上の取り扱いですが、デリバティブの貸借対照表表示は公正価値(Fair Market Value=FMV)で行うことになっています。デリバティブの公正価値とは含み損益のことをいいます。 設例では決算時に先物買い予約が$109(=¥100,000/125-¥100,000/110)の含み益を抱えていますので、B/Sの資産側にデリバティブ資産が計上されます。一方、損益計算書(Income Statements=I/S)につきましては、ヘッジを行うのか行わないのか、あるいはヘッジとして認められるのか否かで取り扱いが異なります。 ヘッジ会計を行っている場合には、元商品の損益とデリバティブ損益は同じ期間にI/Sに計上されることになります。もしも、両者の損益が違う期間に発生した場合には、デリバティブの損益は、一旦、その他包括利益として資本の部に計上されることになり、その後、ヘッジ対象の損益が計上されるのと同じ期間に損益がI/Sに計上されることになります。 したがって、上記の例では、ヘッジ会計を行っていない場合、ヘッジ対象の外国為替の損失$64 (=¥100,000/120 - ¥100,000/130) を損益計算書に計上し、デリバティブ利益$109がI/Sに計上されることになります。ヘッジ会計が認められた場合、ヘッジ対象の外国為替の損失$64とデリバティブ利益$109は、それぞれ、その他の包括利益(Other Comprehensive Income)として資本の部に計上されます。為替予約時の直物と先物の差額 $31 (¥100,000/130 - ¥100,000/125) は期間償却を行い$15 ($31 x 3month/6month) を外国為替差損へ計上するとともにその他の包括利益に計上します。 外国為替の決済日およびデリバティブ決済日には、ヘッジ会計を行っていない場合、ヘッジ対象の外国為替の損失$167 (=¥100,000/100 - ¥100,000/120)を損益計算書に計上し、デリバティブ利益$91 (¥100,000/110 - ¥100,000/100)がI/Sに計上されることになります。 ヘッジを行っている場合、現取引の外国為替損失$167とその他の包括利益の振替による$167がネットされ外国為替差損益は計上されません。為替予約時の直物と先物の差額$31(¥100,000/130 - ¥100,000/125)は残額$16($31-$15)の償却を行い外国為替差損の計上を行います。その他の包括利益$60とデリバティブ資産$109は逆仕訳によって残高が$0になります。外国為替の仕入金額について先物ヘッジを同額で同じ決済日で行う場合、原契約を途中で解約等を行わない限り、ヘッジは通常有効だと考えられます。 <2>商品売却の例:自国通貨が円建ての会社で2008年10月1日に$10,000の売上を計上し、その時の為替レートが$1=¥111だったとします。会社の決算日は11月30日で為替レートが、$1=¥113、決済日が12月31日で為替レートが$1=¥114だったとします。ヘッジ会計を採用していない場合、取引日の10月1日には、売掛金と売上高¥1,110,000(=$10,000 x 111)をそれぞれ計上します。 決算日の11月30日には、売掛金に対して¥20,000 (=$10,000 x (113-111))の為替差益を計上し、売掛金の金額は決算日には¥1,130,000 (=¥1,110,000 +¥20,000)になります。さらに決済日の12月31日には、売掛金は¥1,140,000 (=$10,000x114)で回収することになり、ここでも為替差益¥10,000(=¥1,140,000 - ¥1,130,000)が計上されることになります。 ヘッジ会計が行われた場合でも基本的には、ここまでの記帳方法は同じですが、さらにヘッジ取引が加わることになります。たとえば、先の例に加え9月1日に10月1日の売上取引につきヘッジを行った場合、9月1日の直物レートが$1=110で12月31日の決済日の予約レートが$1=¥110.5とします。ここで、直物と先物に¥5,000(=$10,000x2(=110.5-110))の差がありますが、これを売上金額と為替損益に調整を加えることになります。もしも、この調整金額が、取引時点(9月1から10月1日)までで¥1,250、取引日より後(10月1日から12月31日)で¥3,750ならば、10月1日の売上金額は、¥1,101,250(=110x10,000+1,250)になります。 米国公認会計士 大島斉藤会計事務所 齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 相続財産の売却| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 相続財産の売却 2007年6月24日 質問: 日本で父が亡くなり、米国に住む永住権保持者である私と日本に住む兄とで遺産を相続し、日本の相続税の申告と納税を済ませました。私が受け継いだ相続財産の中から日本にある不動産を処分して、その資金を米国へ運んで住宅の購入に充てるつもりです。不動産の譲渡所得にかかる日本と米国での税金について教えてください。 答え: 米国居住者が日本で引き継いだ相続不動産を売却する場合、日本と米国の両国で譲渡所得を報告して確定申告する義務があります。居住者と非居住者に適用される税法規定が異なるため、日本では譲渡所得にかかる所得税 (15%) だけが適用され、住民税の課税は免れます。米国の税法上、相続財産の取得費は相続開始時 (死亡時) の時価を使うため売却代金とほぼ同額となるため、確定申告をしても譲渡所得や税金は殆ど発生しません。 日本での課税 日本の不動産を米国居住者が売却する場合、日本と米国の両国で譲渡所得を報告して確定申告する必要があります。不動産の譲渡所得 (売却益) は、売却代金から不動産の取得時の金額 (取得費)、および売るためにかかった費用 (譲渡費用) を差し引いた金額です。譲渡所得がマイナスの場合には、課税されることはありません。 取得費 日本の税法上、相続により取得した財産は、前所有者の取得費を引き継ぎます。すなわち、被相続人 (亡くなった父) の歴史的取得価格を相続人が引き継がなければなりません。何十年も前に購入したため、不動産の取得費が分からない場合は、売却価格 (譲渡収入金額) の5%を取得費 (概算取得費) として申告することができます。実際の取得費が分かっている場合でも、実額取得費または概算取得費のいずれか多額で有利な金額を取得費として使うことが認められます。 相続税の取得費加算 相続財産の売却時期が、相続税申告期限から3年以内のときは、譲渡所得の計算上、相続税の取得費への加算による税額軽減措置が設けられています。加算が認められる相続税は、処分する財産額が相続財産合計額に占める割合で按分された金額です。例えば、1億円の相続財産に対して4000万円の相続税が課税された相続人が、相続財産の2分の1 (5000万円) を売却処分した場合、相続税のうち2000万円 (4000万円 x 50% = 2000万円) を取得費に加算することによる税額軽減が認められます。 取得日 不動産の売却に伴って生じる譲渡所得の計算で大切なことは、譲渡した年の1月1日現在において、取得日から数えて所有期間が何年かということです。所有期間が5年以内のものを「短期譲渡所得」、5年超のものを「長期譲渡所得」といって、適用される税率が異なります。短期譲渡所得に39% (所得税30%、住民税9%)、長期譲渡所得に20% (所得税15%、住民税5%) の税金が課税されます。相続財産の取得時期は、取得費の場合と同様、原則として前所有者の取得時期を引き継ぎます。すなわち、亡くなった父の不動産取得日から数えて5年超か5年以内かによって、適用される税率が異なります。 住民税 米国居住者 (日本の非居住者) が日本の不動産を売却して譲渡所得を得る場合、所得税の課税を受けますが、住民税は課税されません。従って、適用税率は、短期譲渡所得が30%、長期譲渡所得が15%となり、居住者の場合と比べて、住民税 (9%または5%) 分だけ少なくなります。 米国での課税 米国居住者が日本で取得した相続財産を売却する場合、米国でも確定申告が必要です。申告に必要なデータのうち、不動産の売却代金や譲渡費用については、日本での売却関連資料や確定申告書から知ることができます。 相続財産の取得日と取得費については、日本と異なり相続発生時 (死亡時) の日付と時価(マーケット・バリュー)を使用するというのが米国の税法規定です。相続発生後、それ程期間がたたない売却は、相続時の時価と売却時の価格はほぼ同じになるため、税金がまったくかからないか、かかったとしても多額にはなりません。また、外国税額控除が適用されて、米国の税金は日本の所得税で相殺されて支払う必要がなくなります。結果として、米国では申告はするものの無税となります。 相続財産の売却には、キャピタル・ゲインのための優遇税率が利用できます。不動産を相続してから売却するまでの保有期間が1年以下であっても、1年超保有したことと見なされ、長期キャピタル・ゲインの優遇税率 (5%/15%の2段階の税率) を適用するこが認められます。 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 新しい監査品質マネジメント基準(New Quality Management Standards)| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > 新しい監査品質マネジメント基準(New Quality Management Standards) 2025年8月15日 新しい監査品質マネジメント基準(New Quality Management Standards) 「譲謙(ゆずけん)さん、新しい監査の品質マネジメント基準が今年から始まると聞いたんじゃが本当か?」会社経営者の鬣(たてがみ)が会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称;譲謙)に聞いた。 「はい、本当です。米国公認会計士協会(AICPA)が公表した品質マネジメント基準(Quality Management Standards(QMS))です。それまであった品質コントロール基準(Statements on Quality Control Standards(SQCSs))を改良したものと考えてよいと思います。」 「それにはいろんな基準が含まれていると聞いたんじゃが、何を含んでいるんじゃ?」 「はい、まずは、AICPAの品質マネジメント基準(Statements on Quality Management Standards (SQMS))のNo.1, No. 2 & No.3です。次にAICPAの監査基準(Statements on Auditing Standards(SAS))のNo. 146、3番目は AICPA会計及びレビューサービス基準(Statements on Standards for Accounting and Review Services(SSARS))のNo.26で、最後にAICPAの証明業務基準(Statements on Standards for Attestation Engagements)のNo.23です。したがって、SASs、SSARS、とSSAEsに基づいたサービスを提供している会計事務所はQMSを準拠しなければなりません。」 「ほう、たくさんあるのう。何でこんな基準を導入しなければならないんじゃ?」 「QMSによって、各会計事務所の品質コントロールシステムを強化し、リスクベースのアプローチを取り入れることで、事務所の規模、サービス内容、リスクプロファイルに見合った品質マネジメントシステムを導入するためです。これらの基準には、2つの新たな品質コントロール(ネットワークとサービスプロバイダー)と事務所の品質強化の改定を含んでいます。」 「いったい、いつまでに導入しなければならんのじゃ?」 「導入期限は今年2025年の12月15日です。品質マネジメントシステムの評価は2026年12月15日までに行い、その後は毎年実施しなければなりません。」 「ほう、それは大変じゃ。この基準はそんなに重要なのか?」 「はい、品質マネジメント基準は、従来からあった品質コントロール基準の要件を近代化し、現在重要視されているリスク評価やテクノロジーの変化や外部のサービスプロバイダーの使用頻度の高まりに適応していくためのものです。さらにこの基準は事務所の大きさや性質、業務内容に応じてカスタマイズすることも推奨されています。」 「この基準導入のために何をしなければならないのじゃ?」 「それは各事務所がどこから出発するかによって変わってきます。いずれにしてもまずは、先に説明した4つの関連する基準を読んで理解する必要があります。」 「それから、どうするのじゃ?」 「次にAICPAが公表している品質コントロールと品質マネジメントのマッピングドキュメントを見ていきます。マッピングドキュメントからは、既存のポリシーの変更が必要な点を把握したり、そのまま活用できる点を把握していきます。」 「マッピングドキュメントには何があるんじゃ?」 「マッピングドキュメントはSQMSに規定されている次の8つの構成要素で出来上がっています。①事務所のリスク評価プロセス、②ガバナンスとリーダーシップ、③倫理要件、④業務の受託と継続、⑤エンゲージメントのパフォーマンス、⑥リソース、⑦情報とコミュニケーション、⑧モニターリングと修復プロセス、です。」 「それじゃ、今回はこれまでにして次回はマッピング方法から教えてくれ。」 「かしこまりました。」 米国公認会計士齊藤事務所(Saito LLP):齊藤幸喜 ( www.saitollp.com , info@saitollp.com ) < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- グリーンカードとアメリカ市民権 | 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > グリーンカードとアメリカ市民権 2000年9月20日 Q:わたしは、グリーンカード(永住権)保持者です。 アメリカの市民権を取得するのと、しないとでは、税金上、どのような違いがあるのでしょうか? A:アメリカの所得税法上、グリーンカード保持者は居住外国人とされ、米国市民と同様の扱いを受けます。毎年、全世界所得を報告して確定申告する義務があること、所得調整控除、項目別控除、概算額控除、人的控除を取れることなど米国市民とまったく同様な方法で所得に対する課税を受けます。 贈与税と遺産税の適用では大きく違う 大きな違いは、アメリカの贈与税(Gift Tax)と遺産税(Estate Tax)が適用上生じます。 アメリカ市民である場合、配偶者間の贈与および相続は、贈与税も遺産税も一切関係なく非課税となっています。 税法上、婚姻控除(Marital Deduction)と呼ばれ、法的婚姻関係にある夫婦間の財産移転は、生前、死亡時を問わず、税金が一切かからずに行うことができるという規定です。 この規定は財産の贈与および相続を受ける配偶者の国籍がアメリカである場合にのみ適用されます。贈与する側、遺産を遺す側の配偶者がアメリカ人であろうが、グリーンカード保持者であろうが一切関係ありません。 日本の法律では、夫婦間の相続は配偶者以外の人への相続よりも非課税分が多額に認められています。 しかし、まったく税金がかからず夫婦間の財産移転ができるアメリカと比べると、制限のある日本の方が税負担が重いわけです。 グリーンカード保持者も含めて市民以外の配偶者への贈与については、特別の非課税枠が規定されており、その額は年間10万ドルとなっています。 相続を受ける配偶者がグリーンカード保持者である場合、一定非課税枠までの遺産は課税されませんが、超過額は遺産税がかかります。 遺産税の非課税枠は表の通りです。 配偶者がアメリカ市民の場合は、贈与も相続も全面的に非課税であるため、この遺産税の非課税枠(2006年以降100万ドル)は、子や孫などの相続にのみ適用するのに対して、配偶者がグリーンカード保持者の場合は、この非課税枠を適用しなければなりません。 この観点からは、現在の贈与税・遺産税法上、既婚者の場合、グリーンカードよりもアメリカ国籍の方が有利といえます。ただし、次期大統領が共和党から選ばれた場合には、遺産税の廃止もあるため、もう少し様子を見て行動することが勧められます。 <アメリカ遺産税の非課税枠> 被相続人の死亡年度:遺産税の非課税枠 1999年:65万ドル 2000年、2001年:67万5000ドル 2002年、2003年:70万ドル 2004年:85万ドル 2005年:95万ドル 2006年以降:100万ドル KPMG特別顧問、米国公認会計士 大島襄 著者略歴:東京都出身。青山学院大学、ニューヨーク大学大学院卒業。MBA(経営学修士)、CPA(米国公認会計士)。KPMG LLP特別顧問。著書に「Q&Aアメリカの税金百科」(共著)、「アメリカ税金の基礎知識」あり。 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 国境を越える贈与・相続 (4)| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 国境を越える贈与・相続 (4) 2011年5月31日 国境を越える贈与・相続(4) 米国国内財産の贈与 米国居住者である子が日本の居住者である親から贈与を受け取り、その金額が基礎控除の110万円を超えている場合、日本の贈与税を避けられないこと、そしてその際納税義務を負うのが受贈者(贈与を受け取る人)であることは周知の通りです。日本からの贈与が同時に米国でも贈与税の対象となる場合があります。米国では日本と逆に贈与者(贈与をあげる人)が納税義務を負います。贈与者が米国税法上、非居住外国人(日本の親)である場合、米国の贈与税の対象になるのは、米国国内財産の移転だけに限られます。日本の親が移転する財産のうち米国国外財産は、米国贈与税の課税対象外です。 米国国内財産とは、移転の時点で財産の所在が米国内にある財産をいいます。米国国内財産のうち、有形資産として分類される財産が米国贈与税の対象となり、無形資産と分類される財産は非課税となります。有形資産、無形資産の分類は次のとおりです。 ①有形資産(課税) 不動産、自動車、現金、宝石貴金属、美術品等。 ②無形資産(非課税) 株式、債券、有価証券、手形、著作券等。 有形資産・無形資産の区分は贈与税にだけ使われ、遺産税の課税上適用されません。 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 外国税額控除| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 外国税額控除 2018年8月20日 外国税額控除 米国市民と米国居住者は、米国源泉および外国源泉の年間全所得を申告して納税する義務があるため、外国税額控除は同一所得に対して二つの国から二重に課税されることを防ぐ唯一の方法なのです。 外国税額控除が認められるためには、①外国税は米国の所得税と同等の税金であること、②控除枠を形成する十分な外国源泉所得があること、③税額控除の限度枠の計算書フォーム1116を確定申告書フォーム1040に添付提出すること、を必要とします。外国所得税の金額が300ドル以下(夫婦合算申告は600ドル以下)で、かつ外国所得税の種類が利子、配当などの投資所得だけの場合、控除限度枠の計算書フォーム1116を添付することなく外国税額控除が認められます。控除限度枠を超えたため否認されて税額控除が認められず未使用となった外国税は、他の年度に繰り延べられます。繰延年度は、繰り戻し1年、繰越し10年です。 外国税額控除は、連邦所得税の計算のための規定であり、ただ一州ノースカロライナ州を除き、州・市所得税の計算上は認められません。 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- GILTI Tax| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > GILTI Tax 2024年9月6日 「譲謙(ゆずけん)さん、ギルティタックス(GILTI Tax)とは何かまた教えてくれんか?ずいぶん前に教えてもらったので、すっかり忘れてしもうた。」会社経営者の鬣(たてがみ)がおもむろに聞いた。「GILTIはGlobal Intangible Low-Taxed Incomeの略です。外国の会社の持分を10%以上持っている場合にかかる可能性のある税金です。」会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、ゆずけん)は答えた。 「確かにわしは父から譲ってもらった日本の会社の株式を60%ほど持っておる。」 「この税制はトランプ税制で制定された法律です。外国の会社の株式を10%以上保有するアメリカ人が合計で50%超保有している場合、その外国会社をCFC(Controlled Foreign Corporation)と呼んでいます。そんな会社(CFC)の株を10%以上持っている場合にGILTI Taxは課せられる可能性があります」 「なんでそんなことをするんじゃ?」 「外国の子会社にため込んである利益に課税をしようとするのが目的です。これは完全に追加の税金となります。」 「そうか、税金の安い国に自分の会社を作ってそこで利益を出すような世界的な仕組みを作り出せば、組織全体で節税ができるもんな。」 「どうやってその税金は計算するんじゃ?」 「簡単に言いますとその外国会社(CFC)の利益から、その会社が保有している有形固定資産に10%を掛けた金額を差し引いた部分の利益に対して課税がされます。その有形固定資産はQBAI(Qualified Business Asset Investment)とよばれています。すなわち、海外の利益はその外国会社が保有する有形固定資産に10%を掛けたくらいのものが妥当だと考え、それを超える利益は海外に保有しているアメリカの利益だと考えるわけです。」 「税金はアメリカの個人税率でかかるのか?」 「そうすることもできますし、選択をすれば、法人税の21%を使用することもできます。」 「ふむ、そうか?ところで、所得控除や税額控除はできないのか?」 「50%の所得控除ができます。また、外国税額控除が80%までとれます。」 「日本で高い税金を支払っているのに、また、アメリカで税金を取られるとは納得がいかんな。」 「この税制は税率の低い国に所得を移転し税金の支払いを少なくしているアメリカの会社や居住者にかけるものです。したがって、外国で高い税金を支払っている会社や個人には、税金は発生しません。」 「そうか、それじゃ、わしにはかからんということか?」 「その通りです。」 「それはよかった。一安心じゃ。」 「ただ、10%以上の外国株式を保有している場合、Form 5471 (Information Return of U.S. Person With Respect to Certain Foreign Corporations) というフォームを提出しなければなりません。この提出を怠るとコンピュータで自動的にペナルティ$10,000が未提出の法人ごとにしかも会計期間ごとに課されるので要注意です。」 「ひえーそれは恐ろしいペナルティじゃの。気を付けなくちゃあかんな。今日もありがとうな。」 「どういたしまして。」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saitollp.com , info@saitollp.com ):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 2016年の減価償却について教えてくれないか?| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > 2016年の減価償却について教えてくれないか? 2017年2月25日 「譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)さんや、わいは2016年の申告書を作成しようと考えているんじゃが、特別な減価償却(Depreciation デプリシエーション)について教えてくれんかの?」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢に尋ねた。 「承知しました。鬣さん、セクション179ルールというものを知っていますか?」 「何かよくわからんが、固定資産を一気に経費計上できる方法じゃろ?」 「そうです。鬣さんよく知っていますね。通常固定資産は資産計上をして減価償却を行わなければならないので、費用はその固定資産を使用する期間で割り振ります。しかしながら、セクション179を使うと事業用動産について一括費用化ができます。その上限が2016年では$500,000になっています。ただし、総額で2ミリオンダラーを超えると一括費用化できる金額が減額されていきます。また、特定の不動産支出もセクション179で$500,000まで割り増し償却ができるようになりました。」 「ほう、それはすごい金額の節税になるな。もっとも、そんなにわしの会社は固定資産に投資はせんがの。」 「次に50%の初年度ボーナス償却も新品購入について認められます。このボーナス償却の割合は2018年には40%に下がる予定です。2019年には30%になる予定です。」 「このボーナス償却は車にもあるのかな?」 「はい、あります。乗用車、軽トラック、バンは1年目で$8,000のボーナス償却ができます。2018年には$6,400に減額され、2019年には$4,800になります。2016年に新車の車を購入した場合、新しい乗用車では$11,160 (=$8,000+$3,160)を最大で償却がとれます。新しい軽トラックやバンでは$11,560 (=$8,000 + $3,560) になります。」 「ほう、これは結構いけるな。新車を買うと得するな。」 「その通りです。そのほかレースの馬は通常7年で償却されますが、今年は年齢に関わらず特別に3年で償却できます。」 「ほう、それじゃ馬でもかってみるか。」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saikos.com , info@saikos.com ):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 交際費| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 交際費 2000年11月5日 Q:不動産販売会社の契約社員として、コミッション収入を得ています。顧客のための交際費を支出しましたが、控除の証明や範囲について教えてください。また顧客へのギフトも控除の対象になりますか。 A:交際費は、自由業者の場合、支出額の50パーセントまでが、事業所得(純利益または純損失)計算上の控除として認められます。 会社勤めの給与所得者の場合は、項目別控除の一つである勤務活動経費の控除になり、調整総所得の2パーセントの足切り制限の対象となります。 交際費とは、取引関与先の接待のため、レストランでの飲食費、カントリークラブ、ナイトクラブ、観劇、スポーツ観戦、自宅パーティー招待などに費やした経費を指します。控除が認められるためには、それが事業遂行において通常かつ必要な経費であり、合理的な金額(法外な金額でない)であることが求められます。そのためには以下の条件を満たす必要があります。 (1) 納税者の事業活動に直接または間接的に関連し、接待を行ったことにより将来の収益の増加が期待できること。あるいはそのほかの事業遂行上の利点が期待できること。または取引関与先との間の親ぼくの度合いを密にすることによって、取引関係の円滑な遂行が図れること。 (2) 食事などの接待の席で、特定の案件について打ち合わせを行う必要はないが、明確な営業上の目的を有し、接待の前または後に事業に関する話し合いがなされること。 (3) 食事などの接待の席に納税者またはその従業員が同席していること。 (4) 食事などの接待の内容が法外にぜいたくでないこと。 (5) 証拠書類として費用の支出額、接待の場所・日時、接待客の氏名・地位、接待目的などの記録を保管していること。 なお、カントリークラブ、ゴルフクラブ、スポーツクラブ、ランチクラブなどの娯楽・ビジネス・社交クラブを接待に使用した場合、実際に支出した経費は控除できますが、クラブの年間(月間)会員費は控除できません。 ● ギフトは25ドルまで控除の対象 ギフト(贈与品)を関与先(顧客)に贈った場合、相手1人に対して25ドルまでが、控除できる金額です。 販売促進用に顧客に配る名前入りの小物、例えばペン、カレンダー、机上セット、手帳、書類入れなどで、単価が4ドル以下の場合は、相手1人に対して25ドルの制限は適用されません。 また、贈答相手が会社や組織であれば、1件25ドルの制限外となります。会社や組織に属する特定の従業員、株主、役員などに個人的目的で渡した場合は、25ドルの制限が適用されます。 KPMG特別顧問 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 2025年3月25日「ITIN」セミナー開催| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics セミナー案内 < 前の記事 次の記事 > 2025年3月25日「ITIN」セミナー開催 2025年3月20日 米国公認会計士齊藤事務所 主催 ITINに関する参加型セミナー開催決定いたしました。 取得できる人、できない人等、多くの質問が寄せられるケースに関してお話しいたします。 参加方法の詳細は後日のお知らせをお待ちください。 【日時】 日本時間 2025年3月25日(火曜日) 10:00AM JST 東海岸時間 2025年3月24日(月曜日) 9:00PM EST 西海岸時間 2025年3月24日(月曜日) 6:00PM PST 【所要時間】 30~45分(予定) 【開催方法 】Zoom でのオンライン開催となります。カメラ及びマイクオン必須での少人数制の参加型セミナーとなっております。 【参加費 】無料。 【お申込み、お問合せ】Masanori Nakano (中野正典) Email: mnakano@saitollp.com まで「ITINセミナー参加」の件でご連絡いただければと思います。人数限定となっておりますので以下とともにお早めにお申し込みください。なお本セミナーは同業他社の方のご参加はご遠慮いただいておりますのでご理解いただければと存じます。 お名前: Email Address(セミナーのURLを送信いたします。): お住まいの都市名: ご参加理由(任意): 会社名(法人の場合): 会社のURL(法人の場合): < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 駐在員の給与計算| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > 駐在員の給与計算 2018年11月1日 「今度、わしの日本の友人の社長がアメリカに駐在員を送ると言っているのじゃが、駐在員の給与計算方法を教えてくれんか?」会社社長の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲謙(ゆずけん)に聞いた。譲謙は次のように答えた。 「駐在員の給与計算は通常の給与計算と違う方法がとられることが一般的です。現地採用の社員は通常の給与計算ですので、給与総額が最初に決定していて、その金額をベースに税額を始め天引きする税金を計算していきます。しかしながら、駐在員の場合、日本でもらっていた手取り給与を保証するという観点から、手取り額をまず決定し、そこから逆算で給与総額を決めていきます。これをネット支給方式(グロスアップ方式)と言います。 駐在員は一定期間の海外赴任の後、日本へ帰ってくることが前提となっているため、このような方法がとられているのだと考えられます。駐在員の給与で特殊なことは、アメリカ支給の給与の他、日本で厚生年金を支払ったり、日本に残してきた家族への生活費の支払いのために日本支給の給与があるということです。また、ボーナスが日本で支給される場合もあります。 現地採用の社員にはこのような制度は通常ありません。また、日本では非課税扱いされていた様々な手当は、アメリカではほとんどが課税対象となります。例えば、家賃補助、車のリース代、法定限度額を超える通勤費などです。課税対象の手当てが多いため、グロスアップを行うとネットの金額は同じであったとしてもアメリカでの給与総額が日本に比べるとかなり高額になってしまいます。 次に給与の支給日ですが、駐在員については日本に合わせて月に1回という会社が多いと思われます。現地社員は州法によって月2回以上の支給が義務付けられています。現地社員の最終的な給与手続きは年末のW-2と言われる源泉徴収票を配布して終了ですが、駐在員の場合には、毎月のグロスアップ、年末のファイナルグロスアップ(年末調整)、個人所得税の計算、会社と個人間の税金の配分、というサイクルで一巡し、終了します。 毎月のグロスアップは、毎月日本でもらう給与金額が為替の影響などがあるため変動するので調整する必要がでてきます。年末のファイナルグロスアップでは、年間の最終的なネット支給額に基づいてグロスアップを行う作業です。個人税の申告書では会社からの給与のみならず、その他の個人的な所得、例えば個人が行った株売却損益なども入れて最終の確定申告が作成されます。その後、最終的に確定した個人負担部分の税金と会社負担部分の税金を計算し、駐在員と会社の間で配分して終了となります。」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saikos.com , info@saikos.com ):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- Form W-8BEN| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > Form W-8BEN 2025年7月11日 Q. アメリカの金融機関からForm W-8BENの提出を求められました。Form W-8BENとは何ですか? A. W-8BENの正式名称は、「Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner for United States Tax Withholding and Reporting」です 。米国税法上、非居住者とみなされる個人(NRA: Non Resident Aliens)が、米国源泉徴収が必要とされる収入がある場合に使用するIRSのフォームです。源泉徴収の対象となる金額の受益者である非居住者は、源泉徴収代理人、支払者、または外国金融機関(FFI: Foreign Financial Institution)から提出を求められた場合には、Form W-8BENを提出しなければなりません。 原則、米国非居住者が、アメリカで特定の所得を得た場合はアメリカで30%の源泉徴収の対象となります。特定の所得とは、アメリカで発生する利子、配当、家賃や年金などの定期的な所得を含みますので注意が必要です。ただし事前にForm W-8BENを提出することで、所得の種類によっては租税条約の適用が認められ源泉徴収税率の軽減、または、源泉徴収の免除を申請することができます。所得の種類や状況に応じてForm W-8BENの記載方法が異なるので、詳細については専門家へご相談されることをお勧めいたします。 Form W-8BEN の有効期限は、状況の変化によってフォームに記載された情報に変更がない限り、フォームに署名した日の翌年から3 年後の暦年の末日となります。例えば、2025 年1 月30 日に署名されたフォームは、2028 年12 月31 日まで有効となります。 Noriko Mochizuki < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 継続企業基準て何だ| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > 継続企業基準て何だ 2015年8月31日 「譲矢さん、わしの知り合いの会社がかなり苦しい状況になってきているようなのじゃ。前にアメリカの基準で会社が苦しくなってきたら何かが変わったので注意しろと言っていたじゃろう。もうちょっと詳しく教えてくれないか」会社経営者の鬣(たてがみ)はおもむろに会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)に聞いた。 「その通りです。鬣さん、企業の継続性に関する基準は監査基準と会計基準の両方が変わりました。まず、監査基準では570号によって、監査人に対して継続企業として開示することが著しく疑われる状況にないかどうかを判断する責任があることが明記されました。もちろん、これは、すでに清算基準を適用している会社には適用されません。」 「なに、軽率(けいそつ)企業とはなんじゃ?」 「軽率ではありません。継続(けいぞく)です。現代の会計は、会社は永遠に経営を続けていくという前提があって始めて成り立っています。この企業は永遠に続くという仮定を継続性の原則といっています。」 「そうは言ってもいつまで続けば、継続企業として決算書を公表できるのじゃ?」 「決算書が公表されてか少なくとも1年です。一方、会計基準ASU No. 2014-15では、経営者の責任について規定されています。」 「何だそれは?」 「経営者も企業が継続企業として続けられるかどうかを判断しなければなりません。主に負債を返済する能力が現在と将来にわたってあるかどうかです。負債には、通常の経営を続けていくために必要なキャッシュフローも含みます。また、条件付きの負債であった場合には、その条件も考慮しなければなりません。」 「条件付きとはなんじゃ?」 「例えば、負債比率が90%を超えたり、赤字になった場合には、一括返済を行わなければならないなどの特殊な条件付き借入金です。」 「もしも、継続企業として怪しくなると決算書になにか書かなければならないのかのぉ?」 「まず、継続企業としての問題があるとみなされる主な理由か事象を書かなければなりません。次に経営者の状況分析、最後に経営者の対応策が継続企業を維持できるようにしているか。継続企業を維持できるといえないならば、利用者に財務諸表を理解できるようにする情報を開示することになります。」 「そうか、何となくわかったぞ。最後に継続企業を危うくするような状況とはいったい何じゃ?」 「そうですね。借入金の増加、偶発債務の存在、大口顧客の喪失、利率や為替のリスク、リースを含む多様なファイナンスなどです。」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saikos.com ):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 年金の税務| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > 年金の税務 2019年11月15日 「譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)さん。わしの日本の友人なんじゃが、アメリカの公的年金や個人年金、アニュイティなどを日本で受け取ろうとした場合のことを心配しているんじゃ。どうしたらいいんじゃろう。」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉(通称、ゆずけん)におもむろに尋ねた。 「 日本居住の日本人が日本でアメリカの公的年金を受け取る場合、アメリカで日本居住の届け出を適切にソーシャルセキュリティー事務所に提出していれば、日米租税条約17条により、居住国日本でのみ課税となります。」 「ほうそうか。それは簡単じゃのう。そうすると、個人年金やアニュイティの場合はどうじゃ?」 「個人年金、アニュイティも金融機関にForm W-8 BENを提出し適切な処理をしてもらえれば、アメリカ国内でForm 1099Rは発行されず同様な処理になります。」 「そうかそれも簡単じゃな。しかし、友人はW-8BENを出したにもかかわらず、Form1099Rが出てしまったらしいぞ。」 「もしも、金融機関で適切な処理がなされずForm 1099Rが発行されてしまった場合にはアメリカの会計士などの専門家にまずは相談することをお勧めします。」 「それじゃ、日本に住んでいるグリーンカード保持者のわしの友人はどうなるんじゃ?」 「日本居住のアメリカ人やグリーンカード保持者は、特別な扱いになります。そのようなステータスの方は、アメリカでも日本でも税務上の取り扱いは居住者となってしまいます。そこで、両国で両方の年金の申告を行う必要がでてきます。両方で個人年金やアニュイティの申告を行い、アメリカの申告では日本の年金について外国税額をとり、日本の申告ではアメリカの年金について外国税額控除をとるという方法が考えられます。」 「そんな難しいのか?」 「はい、ただし、この取り扱いについては専門家のあいだでも見解が分かれているので、ご自身の会計士にまずは相談することをお勧めします。」 「こんどは逆にアメリカに来ている日本人の友人が日本の年金の源泉徴収を止めたいと言っているんじゃが、どうすればいいんじゃ?」 「アメリカ居住の日本人が日本の年金の源泉徴収を止めたり、日本の配当や利子の源泉税に日米租税条約の軽減税率を適用してもらうためには、アメリカの居住証明が必要になります。」 「それはどうすればとれるんじゃ?」 「アメリカの居住証明はIRSにForm8802(Application for U.S. Residency Certification)を提出して取得します。提出すると30日以内に「居住証明書(Certificate of Residency: Form 6166)」 が送られてきます。」 「ふむふむわかった。友人に知らせておく、ありがとう。」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saikos.com , info@saikos.com ):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 新しいリースの会計基準じゃが| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > 新しいリースの会計基準じゃが 2021年3月26日 新しリースの会計基準じゃが、なんかしっくりこないのじゃ。もう少しやさしく教えてくれんか?」会社経営者の鬣(たてがみ)は、会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりかけんきち;通称、譲謙(ゆずけん)におもむろに聞いた。「新基準はASC842で規定されています。ちなみに旧基準も生きていますが、こちらはASC840です」「ほう、それで、新基準はどうなっているんだったかのう?」「新基準では、ファイナンスリースとオペレーティングリースに分かれることは前にお話ししました」「うん、それは覚えているぞ。確かオペレーティングリースのやり方が、大きく変わったんだよな?」「そうです。12か月以内のリースや金額が僅少なものを除きすべてのオペレーティングリースについて資産と負債を計上することになっています」「資産と負債の名前は何と言ったんじゃろか?」「資産は使用権資産(Right of Use)とよばれ、負債はリース負債(Lease Liability)といいます」「結局、どうやって費用計算するのじゃ?」「まず、使用権資産とリース負債は、それぞれリース契約時の時価で同額計上されます」「それから、どうするんじゃ?」「それから、まずは、リース料の支払いをリース負債の返済とみなして。元本の返済と利息に分けて計上していきます。ただし、利息は(負債)リース費用として計上します。使用権資産も償却をしていきますが、この金額は支払いリース料から利息を差引いた金額になります。呼び方も償却費ではなく、(資産)リース費用になります。簡単なケースでは資産と負債残高が同額になります。こうして、今まで資産負債計上してこなかったオペレーティングリースについて、資産と負債を貸借対照表に計上すると同時にリース料は今まで通りの科目で同額計上することができます」「ちょっとわからないので表を使って教えてくれ」「はい、承知しました」「適用は2021年からか?」「いえ、また、適用時期が延長されて2022年からの適用となります」「うんわかった。ありがとう」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saitollp.com , info@saikos.com):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 予定納税の過少納付ペナルティー| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 予定納税の過少納付ペナルティー 2018年11月12日 予定納税の過少納付ペナルティー 所得税は、源泉徴収と予定納税によって年内に概算額を払い込んでおいて、年明けの確定申告時に過払額の還付の受け取り、あるいは不足額の追加払いをして精算します。源泉徴収とは、毎月の給与支給のたびに給与から差し引かれた税金を雇用主が内国歳入庁(IRS)へ納める制度のことであり、予定納税とは、給与以外の自営業事業所得や利子、配当、譲渡所得などにかかる税金を、納税者が年内に4分割して四半期ごとにIRSへ払い込む制度のことです。 源泉徴収や予定納税により前もって納められた金額が、確定税額(確定申告書で計算された税金額)と比べて1000ドル超不足していると、予定納税の過少納付加算税というペナルティーが課せられます。ただし1000ドル超の不足額があっても、年度内の源泉徴収および予定納税による納付額が確定税額の90%以上であれば、ペナルティーは生じません。年度終了前に確定税額を的確に予測することは極めて困難である事実を考慮して、IRSは予定納税の安全圏規定(セーフハーバー・ルール)を定めています。すなわち、前年度の確定税額の100%(ただし調整総所得が15万ドル超の場合は110%)以上を年内適時に納付してあれば、たとえ不足額が多額であったとしてもペナルティーを確実に回避できるという規定です。ペナルティーはIRS法定利率(2018年第一4半期は年率4%、第ニ、第三、第四4半期は同5%)で計算します。 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- BOI| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > BOI 2025年4月25日 Q. オーナー情報の開示報告書(以下BOI)の提出に関して2025年に入ってからアップデートがあったと伺いましたがどのような内容でしょうか? A. オーナー情報の開示報告書(以下BOI)の提出に関してFinCEN公式サイトで3/26/25にアップデートがありました。現時点ではアメリカ国内の会社はリポート不要、国外の会社で州に登録している会社(Foreign Reporting Company)は引き続き提出必要となっております。今回のアップデートはInterim Final Rule(中間最終ルール)ということで将来変更になる可能性もあります。弊事務所では今後もしばらくは継続して情報発信していく予定でございます。 さらに詳しく知りたい場合には info@saitollp.com までご連絡ください。 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- パートナー所得の申告のお知らせ| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics お知らせ < 前の記事 次の記事 > パートナー所得の申告のお知らせ 2022年9月9日 9月15日はForm 1065のファイリング最終申告期限となります。 パートナーシップ、 LLC、S-Corpのパートナー所得の報告が申請がお済みでない方は、弊所までお問い合わせ下さい。 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 日本の居住者が米国内不動産を売却する際の課税 | 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 日本の居住者が米国内不動産を売却する際の課税 2000年4月20日 日本の居住者が米国内不動産を売却する際の課税 Q 日本に住んでいる父がアメリカに所有しているコンドミニアムを売ることになりました。譲渡益に対して、アメリカで支払う税金が発生すると思いますが、どのように納付するのでしょうか。 A このケースにおける税金納付は、2段階に分けて考えることができます。 ● 住宅売却の際 アメリカの税法では、日本に住んでいる人は非居住外国人となります。非居住外国人がアメリカ国内に保有している不動産を売却する際は、売上の10%を源泉徴収で納めます。 どのように源泉徴収されるかというと、住宅の代金を引き渡す際、買い手は10%をIRSに納付し、残り90%を売り手に支払うのです。つまり、税金の支払人は売り手ですが、実際の手続きをするのは買い手(実際には買い手の弁護士)というシステムになっています。 ただし、不動産の売却価格が30万ドル以下であり、その物件が、今後買い手の日常の住居となる場合には、源泉徴収の対象にはなりません。価格が30万ドルを超える場合、あるいは30万ドル以下でも買い手が住居として使う予定がない場合は、源泉徴収税が発生します。 また、右記の30万ドル、および居住の条件とは関係なく、源泉徴収を回避できるケースもあります。それは、売却価格が物件取得時の価格よりも低いため、譲渡損失となる場合です。損失にはならなくても、確定申告の際に計算する不動産譲渡所得(後述)がさほど大きくなく、最終課税額が売上の10%より低くなるのであれば、やはりこの源泉徴収は回避できます。 源泉徴収を回避するには、売り手は申請書フォーム「8288―B」をIRSに提出し、特別許可を受ける必要があります。申請書には、物件取得時の価格や諸費用を物件売却価格から差し引くと損失が発生すること(あるいは譲渡益が十分低いこと)を示す詳細な計算書を付け、さらに各金額が正しいことを証明するため、売り手と買い手が署名した売買契約書や領収書を添付します。 不動産の売却契約締結日までにIRSから特別許可書が届いていれば、売上価格の全額が買い手から売り手に支払われます。認可が下りていない場合は、買い手は90%だけを売り手に支払い、IRSから証明書が届くまでの間、10%分はエスクロー(預託管理)の形で銀行に預けておきます。IRSから証明書が届いた時点で、その金額と利息が売り手に支払われます。90日経ってもIRSの認可が下りなければ、買い手はエスクロー口座に入っている金額を、源泉徴収税としてIRSへ納付しなければなりません。 ● 翌年の確定申告の際 源泉徴収税が差し引かれても差し引かれなくても、非居住外国人は、不動産を売却した翌年の4月15日までに、不動産譲渡損益を確定申告する必要があります。申告書にはフォーム「1040NR」を使い、計算の詳細は「スケジュールD」に記入して添付します。 不動産譲渡損益とは、売却価格から、その不動産の取得時の金額(取得費)、改築費、売るためにかかった費用(譲渡費用)を差し引いた金額です。 これが黒字になった場合は、連邦税が15%または20%の税率でかかります。すでに源泉徴収で売上の10%を納付した場合は、それと合わせて精算します。州税は、かかる州とかからない州があります。損益の計算結果が赤字になった場合は、源泉徴収で支払った分は還付されます。源泉徴収分の精算には、フォーム「8288―A」を添付提出します。 不動産を売る前、人に貸していてレント収入があった場合は、賃貸所得の計算は通常どおり行いますが、不動産譲渡損益の計算の際に1点調整が必要です。賃貸所得計算の際に控除してきた減価償却部分を、不動産取得費から差し引かなければならないのです。つまり、その分譲渡益が増え、税金も高くなるわけです。 過去に賃貸で損失が出ていれば、それを不動産の譲渡所得から控除することができます。 最後に、日本での課税について少し触れておきましょう。日本では、アメリカで不動産譲渡損益が生じた場合は、確定申告で報告する義務があります。 不動産売却で損失が発生している場合は、他の所得との損益通算のうえで、税金還付を受けられます。所得が出ている場合は課税の対象となりますが、アメリカですでに支払った税額は外国税額控除として申告できるので、二重課税は一部または全部、回避することができます。 KPMG 特別顧問、米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 生命保険金・死亡給付金―米国での課税| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 生命保険金・死亡給付金―米国での課税 2019年6月4日 生命保険金・死亡給付金―米国での課税 生命保険金・死亡給付金は、死亡者が非居住外国人である場合と米国籍・居住外国人である場合とで米国での税金上の取り扱いが異なります。 非居住外国人 非居住外国人の死亡により、保険会社から支払われる生命保険金・死亡給付金は、連邦所得税や遺産税、贈与税の課税対象になることなく、その全額を受け取ることができます。 米国籍・居住外国人 米国籍者あるいは居住外国人の死亡に伴って支払われる生命保険金・死亡給付金は、連邦所得税の課税対象にはなりませんが、保険契約によっては連邦遺産税(Federal Estate Tax)の対象になる場合とならない場合とがあります。生命保険金・死亡給付金が遺産税の課税対象となるかならないかは、死亡した保険加入者 (被保険者、例えば夫)が保険契約証書上、保険の所有者としての権利を有していたかどうかによります。保険の所有者としての権利とは、保険契約の解約、保険金の受取人の変更、保険証書の譲渡、保険に基づく借入れの権利などに関する決定権を持っていることを指します。税金を回避するには被保険者に一切の権利がない生命保険の契約を締結することが必要です。既に契約している生命保険証書がある場合は、所有者としての権利や決定権をすべて相続人(妻)へ譲渡することにより、生命保険金・死亡給付金の支払いについて連邦遺産税がかからないようにすることができます。ただし、死亡時から3年以上前に権利の譲渡が完了していなければなりません。 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る



















