会計相談室
2015年8月31日 13:00:00
継続企業基準て何だ
「譲矢さん、わしの知り合いの会社がかなり苦しい状況になってきているようなのじゃ。前にアメリカの基準で会社が苦しくなってきたら何かが変わったので注意しろと言っていたじゃろう。もうちょっと詳しく教えてくれないか」会社経営者の鬣(たてがみ)はおもむろに会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)に聞いた。
「その通りです。鬣さん、企業の継続性に関する基準は監査基準と会計基準の両方が変わりました。まず、監査基準では570号によって、監査人に対して継続企業として開示することが著しく疑われる状況にないかどうかを判断する責任があることが明記されました。もちろん、これは、すでに清算基準を適用している会社には適用されません。」
「なに、軽率(けいそつ)企業とはなんじゃ?」
「軽率ではありません。継続(けいぞく)です。現代の会計は、会社は永遠に経営を続けていくという前提があって始めて成り立っています。この企業は永遠に続くという仮定を継続性の原則といっています。」
「そうは言ってもいつまで続けば、継続企業として決算書を公表できるのじゃ?」
「決算書が公表されてか少なくとも1年です。一方、会計基準ASU No. 2014-15では、経営者の責任について規定されています。」
「何だそれは?」
「経営者も企業が継続企業として続けられるかどうかを判断しなければなりません。主に負債を返済する能力が現在と将来にわたってあるかどうかです。負債には、通常の経営を続けていくために必要なキャッシュフローも含みます。また、条件付きの負債であった場合には、その条件も考慮しなければなりません。」
「条件付きとはなんじゃ?」
「例えば、負債比率が90%を超えたり、赤字になった場合には、一括返済を行わなければならないなどの特殊な条件付き借入金です。」
「もしも、継続企業として怪しくなると決算書になにか書かなければならないのかのぉ?」
「まず、継続企業としての問題があるとみなされる主な理由か事象を書かなければなりません。次に経営者の状況分析、最後に経営者の対応策が継続企業を維持できるようにしているか。継続企業を維持できるといえないならば、利用者に財務諸表を理解できるようにする情報を開示することになります。」
「そうか、何となくわかったぞ。最後に継続企業を危うくするような状況とはいったい何じゃ?」
「そうですね。借入金の増加、偶発債務の存在、大口顧客の喪失、利率や為替のリスク、リースを含む多様なファイナンスなどです。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com):齊藤幸喜