会計相談室
2024年9月6日 13:00:00
GILTI Tax
「譲謙(ゆずけん)さん、ギルティタックス(GILTI Tax)とは何かまた教えてくれんか?ずいぶん前に教えてもらったので、すっかり忘れてしもうた。」会社経営者の鬣(たてがみ)がおもむろに聞いた。「GILTIはGlobal Intangible Low-Taxed Incomeの略です。外国の会社の持分を10%以上持っている場合にかかる可能性のある税金です。」会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、ゆずけん)は答えた。
「確かにわしは父から譲ってもらった日本の会社の株式を60%ほど持っておる。」
「この税制はトランプ税制で制定された法律です。外国の会社の株式を10%以上保有するアメリカ人が合計で50%超保有している場合、その外国会社をCFC(Controlled Foreign Corporation)と呼んでいます。そんな会社(CFC)の株を10%以上持っている場合にGILTI Taxは課せられる可能性があります」
「なんでそんなことをするんじゃ?」
「外国の子会社にため込んである利益に課税をしようとするのが目的です。これは完全に追加の税金となります。」
「そうか、税金の安い国に自分の会社を作ってそこで利益を出すような世界的な仕組みを作り出せば、組織全体で節税ができるもんな。」
「どうやってその税金は計算するんじゃ?」
「簡単に言いますとその外国会社(CFC)の利益から、その会社が保有している有形固定資産に10%を掛けた金額を差し引いた部分の利益に対して課税がされます。その有形固定資産はQBAI(Qualified Business Asset Investment)とよばれています。すなわち、海外の利益はその外国会社が保有する有形固定資産に10%を掛けたくらいのものが妥当だと考え、それを超える利益は海外に保有しているアメリカの利益だと考えるわけです。」
「税金はアメリカの個人税率でかかるのか?」
「そうすることもできますし、選択をすれば、法人税の21%を使用することもできます。」
「ふむ、そうか?ところで、所得控除や税額控除はできないのか?」
「50%の所得控除ができます。また、外国税額控除が80%までとれます。」
「日本で高い税金を支払っているのに、また、アメリカで税金を取られるとは納得がいかんな。」
「この税制は税率の低い国に所得を移転し税金の支払いを少なくしているアメリカの会社や居住者にかけるものです。したがって、外国で高い税金を支払っている会社や個人には、税金は発生しません。」
「そうか、それじゃ、わしにはかからんということか?」
「その通りです。」
「それはよかった。一安心じゃ。」
「ただ、10%以上の外国株式を保有している場合、Form 5471 (Information Return of U.S. Person With Respect to Certain Foreign Corporations) というフォームを提出しなければなりません。この提出を怠るとコンピュータで自動的にペナルティ$10,000が未提出の法人ごとにしかも会計期間ごとに課されるので要注意です。」
「ひえーそれは恐ろしいペナルティじゃの。気を付けなくちゃあかんな。今日もありがとうな。」
「どういたしまして。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saitollp.com):齊藤幸喜