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- 現金主義と発生主義| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 現金主義と発生主義 2007年2月12日 質問:個人納税者の会計処理方法は現金主義であると聞きましたが、どういうことですか。 答え: ● 会計処理方法 課税所得を決定するにあたって、一定の収益の認識基準に従って計算を行なう必要があります。収益の認識基準には、現金主義と発生主義の二通りの代表的な会計処理方法があります。 現金主義は、個人納税者の課税所得の計算するための会計処理方法です。現金主義では、現金または現金等価物を実際に受け取った年度、あるいは実質的に受領した年度に収益を認識し、実際に現金を支払った年度に費用を認識します。 一方、発生主義は、個人事業や法人の課税所得の認識に用いられる会計処理方法です。発生主義では、現金の受け払いの時点ではなく、金銭などを受け取る権利が確定した時点で収益を認識し、支払うべき債務とその金額が決定した時点で費用を認識します。 事業活動に従事することなく帳簿記録を残していない個人納税者は、現金主義を採用して税金申告します。自営業や法人でも、過去3年間の平均総収入が500万ドル以下であれば現金主義を採用できますが、平均総収入が500万ドルを超える場合は発生主義の採用が義務付けられます。販売活動に従事して棚卸資産の計上義務のある納税者は、仕入や売上などを発生主義で計上する義務があります。給与や利子配当、項目別控除などの個人的活動には現金主義を採用し、事業活動には発生主義を採用することが認められます。また、複数の事業活動に従事している場合に、事業活動によって異なる会計処理方法を採用することも認められます。 ● コンストラクティブ・レシート(Constructive receipt) 実際には入金されていなくても、実質的に受領したことと同等の効果があり現金を受け取ったと見なされる場合には、その時点で収益が課税対象の所得となります。これをコンストクラクティブ・レシートといい、現金主義に適用される概念です。例えば、12月30日に同日付の給与の小切手を受け取り、年明けの1月4日に銀行口座に入金したとします。収益の認識日を、小切手発行日の12月30日とするか、銀行口座への入金日の1月4日とするかによって課税年度が異なります。この場合、小切手の発行日に既に納税者の管理下にあり、支払者の銀行口座から資金を引き出すことが可能であるため、実質的に受け取ったことと同等の効果があります。入金日の1月4日ではなく、発行日の12月30日に所得として報告する義務があります。 ● 減価償却 家具、機械、什器、車、コンピューター、不動産などの固定資産を事業用に購入した場合、収益との対応関係から繰り延べることが妥当とされて、現金主義の納税者であっても、購入年度に取得費の全額を必要経費として一括費用計上することは認められません。年の経過によって固定資産の価値が経済的、物理的に減少する期間にわたって按分計算して費用計上する「減価償却」が適用されます。 「減価償却」は、自営業や法人の事業所得、賃貸活動の不動産所得などの計算上、不可欠な項目です。資産の購入代金(取得費)を特定基準(償却方法)に従って資産が使用できる期間(耐用年数)にわたって配分し、経費(減価償却費)にしていく方法です。 ● 収支のタイミング 売上や支出の年度と実際の金銭受払の年度が異なる場合、現金主義のもとでは、現金の受領年度の所得と支払年度の経費として取り扱われます。例えば、音楽家が公演した年度の翌年に報酬を受け取ったとします。役務提供年度と報酬受領年度が異なる場合、収益を認識する年度は実際に現金が支払われた年度(後の年度)となります。発生主義では、逆に役務が提供された年度(前の年度)となります。 また、例えば、旅行代理店を通じて翌年1月の出張のために予約した航空券の代金を、12月中に支払ったとします。費用発生年度と支払年度が異なる場合、経費を認識する年度は、現金主義では実際に支払をした年度(前の年度)であり、発生主義では費用発生年度(後の年度)となります。 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- FBAR| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > FBAR 2023年10月6日 Q: 友人達が「FBAR」の話をしていました。「FBAR」とは何ですか? A: Report of Foreign Bank and Financial Accounts (外国銀行金融口座レポート) 略してFBAR (現在はFinCEN Report 114)とは、米国居住者が外国に持っている銀行や証券口座、積立額保険、個人年金などの金融口座の合計残高が$10,000 を超えた場合に提出が義務づけられている報告書を指します。Bank Secrecy Act (BSA:銀行秘密法) に基づき、米国財務省の一部門であるFinancial Crimes Enforcement Network (FinCEN:金融犯罪取締執行ネットワーク) に対して提出されるフォームとなります。条件を満たした納税者は開示報告が必要になりますが、あくまでも開示目的で、税金が発生するものではありません。 Q: FBARを提出しなければいけないのはどのような人ですか? A: アメリカ居住者に課せられた義務になっていますので、アメリカ市民やアメリカ永住権保持者は勿論ですが、アメリカに駐在している駐在員、帯同している配偶者や子供までも(実質的滞在テストを満たして米国居住者になる方)は全員報告の義務を負うことになります。 申告する年(1月1日~12月31日)の期間内に、米国外で所持している金融資産の合計が一瞬でも10,000ドルを超えた場合は、FBARを提出しなければいけません。 Q: FBARを提出しなかった場合は何かペナルティーがあるのでしょうか? A: 意図的ではない未提出に対しては、報告書ごとにつき$ 15,611(2023年1月19日以降、インフレ調整あり)の罰則が課せられる可能性があります。更に、故意に提出しなかったと判断された場合は、$ 156,107 (2023年1月19日以降、インフレ調整あり)または、違反時の口座残高の50%のいずれか大きい方までの罰則になります。 民事罰以外にも刑事罰を科せられる可能性もありますので、注意が必要です。 Q: FBARを提出する時期はいつですか? A: 毎年4月15日までに申告するようにと決められています。しかし、申告が遅れた場合には自動的に提出期限が10月15日まで引き延ばされます。この時、提出期限を遅らせる為の申請は必要ありません。 望月紀子 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- パンデミックのゴーイングコンサーンって何じゃ| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > パンデミックのゴーイングコンサーンって何じゃ 2021年10月29日 「譲謙(ゆずけん)さん、わしの友人の会社が監査を受けているんじゃが、パンデミックなので、ゴーイングコンサーンがどうしたこうしたと聞いているんじゃ。何かわかるか?」会社経営者の鬣(たてがみ)が会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、譲謙)におもむろに聞いた。「はい、会社の決算書の話です。現在の会社の決算書はゴーイングコンサーンを前提に作成されています。」「だから、そのゴーイングコンサーンってのは何じゃ?」「ゴーイングコンサーンとは、会社が永久に続くと仮定して作成した決算書です。1回きりで終わる企業はその会社を清算して有り金を計算し、株主に配当しますが、会社が永久に続くと仮定すると一定期間で区切って決算をしていかないと損益も配当も計算できなくなります。」「ほう、そうか。何となくわかるな。そうするとゴーイングコンサーンではない会社は、潰れる会社ということか?」「短くいうとそういうことになります。」「それで、なんでパンデミックで、いきなりゴーイングコンサーンが問題になってくるんじゃ?」「いきなり問題になったわけではありません。もともと経営者は、自分の会社がゴーイングコンサーンで財務諸表(FS)を作成することが適切かどうかを判断する義務があります。また、会社が決算報告をした後も合理的な期間(通常12か月)ゴーイングコンサーンが維持できるかどうかを注意深く予測しなければなりません。その上で、FSがゴーイングコンサーンで作成することが適切かどうか結論付けるのです。経営者は何らかの出来事や状態によってゴーイングコンサーンを続けることが非常に難しいと判断した場合には、その内容を開示し、清算ベースで決算書を作成しなければなりません」「そうか、パンデミックがその何らかの出来事や状態に当たるわけだな。」「その通りです。ゴーイングコンサーンの問題が起きると決算期後合理的な期間の経営が続けられるかどうかは一般的に資金繰りができるかが重要になります。監査人はその経営者の下した決定が適切かどうか、また、十分な開示がされているかどうかを監査しなければなりません。」「パンデミック自体が一般的なゴーイングコンサーンの問題を提起するとなるとパンデミックが関係ない会社でも開示が必要になるということか。」「その通りです。FSの読者はこの会社は、はたしてパンデミックが起きているのにゴーイングコンサーンの問題はないのか、と思うわけです。特にホスピタリティ産業のレストラン、バー、航空会社、クルーズ会社などはそうです。ゴーイングコンサーンの予測に不確実性がある場合には、その内容をFSの不確実性とリスクの項目に開示する必要があります。なお、ゴーイングコンサーンに実際に問題が生じている会社では、非常に重要な内容なので監査レポートにも情報が記載されます。」「そうか、かなり重要なんじゃな。ありがとう」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saitollp.com , info@saikos.com):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 連結| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > 連結 2018年9月2日 「譲矢(ゆずりや)さん、連結がどうも分からん。この前は投資が50%超えていなくても連結をしなければいけないと言っていたよな?そこをもう少し教えてくれんか?」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉におもむろに尋ねた。 「わかりました。連結には現在2つの基準があります。1つはvoting interest entity モデル(votingモデル)でもう1つはvariable interest entity (VIE)モデル(variable モデル)です。Voting(議決権)モデルは昔からある方法で、リミテッドパートナーシップ(LP)以外は議決権を50%を超えていたら連結しなさいというものです。LPはジェネラルパートナーが支配権を持っていると考えます。ただし、リミテッドパートナーが投票権によってキックアウト権を持っている場合には、支配権はそのリミテッドパートナーが持っています。」 「それは、わしにもわかるぞ」 「一方variableモデルは2003年に登場しました。」 「それは何じゃ?」 「議決権の割合を支配の基準にしないモデルです。損失負担義務などを負っている主たる受益者が連結をすることになります。例えば、出資をそれほどしていなくても多額の貸付けを会社にしていたり原料の供給などの契約で実質的に支配している場合です。」 「何かわかるような、わからないようなだな。まあ続けてくれ」 「両方とも最終的には財務的な支配権の有無を評価し、連結しなければなりません。連結するかしないかは次の順序で判定していきます。 1、対象が法律上の企業であるかどうか、法律上の企業でなければ連結の対象とはなりません。例えば、株式会社、パートナーシップ、リミテッドライアビリティカンパニーなどです。 2、連結基準の除外対象でないこと、倒産した会社などは支配権がもはや及ばないので連結対象から外れます。 3、variable モデルの適用対象外でないこと。非営利団体など、ある一定条件を満たす事業体はvariableモデルの適用対象にはなりません。variableモデルの適用外の会社はvoting モデルで連結の必要性を判定します。 4、対象企業に対してvariable interest(変動持分)を持っているか?変動持分とは議決権以外の全ての支配権と考えてよいです。例えば、貸付金、リース、サービスや材料の供給など様々です。variable interestを持っていなければ連結しません。 5、 対象企業はVIEか?VIEとは追加的な劣後債なしには経営ができない事業体や株主が損失を被ったり利益を得ることに制限が加えられている事業体です。株主が支配権をもっていない事業体です。VIEでないなら、votingモデルで連結するかを判定します。VIEならvariable モデルで連結するかを判定します。VIEでは持分保有者がパワーと重大な経済的な影響力を持っていた場合に連結をします。」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saikos.com , info@saikos.com ):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- , マネジャー Manager, ニューヨーク,
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- 不動産賃貸(1)レント収入| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 不動産賃貸(1)レント収入 2020年6月1日 不動産賃貸(1)レント収入 住宅を人に貸してレント収入を受け取っている場合、レント収入がそのまま税金の対象になるのではなく、レント収入からあらゆる必要経費を差し引いて、ネット・レント賃貸純利益の金額が課税対象となります。ネット・レントは、給与、利子、配当、自由業事業所得など、他のすべての所得と合算されて、10%から37%までの通常の7段階の連邦所得税率が適用となります。 居住者は、アメリカにある住宅からのレント収入も、日本などアメリカ国外にある住宅からのレント収入も、同様な方法でネット・レント純利益を算出し、その金額を他のすべての所得と合算した合計額が通常の連邦と州の個人所得税の対象となります。外国で税金が課されている場合は、外国税額控除のしくみを適用することによって、連邦税から外国税を差し引くことが認められ、二重課税の回避が達成されます。レント収入よりも必要経費が多いためネット・レントが純損失になる場合は、特別規定が適用されるため、注意を要します。非居住者のレント収入の課税方法も異なります。 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- S法人(株主課税法人)の課税| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > S法人(株主課税法人)の課税 2002年7月20日 Q : S法人(株主課税法人)に資本投資をして事業経営に参加することになりました。S法人の税金の仕組みを教えてください。 A : ●S法人の利点 アメリカの株式会社は、各州の会社法の規定に基づいて設立されます。株式会社が、税法(内国歳入法)の第S章の一定要件を満たすとS法人(株主課税法人)と呼ばれます。 S法人以外の株式会社は、内国歳入法の第C章に基づく法人であるためC法人(一般法人)と呼ばれます。S法人は、C法人(一般法人)と会社法上の区別はありません。課税上の取り扱いだけ明確な相違点があります。 C法人は、法人が稼得した所得に対して、まず法人の段階で法人(所得)税が課せられます(連邦税申告書フォーム1120様式)。税引後の法人所得は、各株主へ配当として分配されますが、個人株主の段階でも利益配当について個人所得税が課せられます。すなわち、法人によって稼得された所得には、法人の段階と個人株主の段階とで、二重に課税が行われることになります。 S法人の選択をした株式会社は、原則として法人(所得)税の課税関係は発生しません。パートナーシップの場合と同様に、法人段階の所得、利益、損失および控除項目は、年度ごとに持ち株数に応じて、各株主に割り当てられ、株主の段階で課税を受けることになります(連邦税申告書フォーム1120S様式およびスケジュールK―1)。つまり、税法上のS法人は、法人(所得)税の負担がない点、C法人よりも有利な取り扱いを受けることができます。 S法人制度は、事業活動を法人形態で行う場合と、パートナーシップ形態または個人事業形態で行う場合の、単なる法的な組織形態の選択によって生ずる税負担の相違を緩和する目的のために用意された仕組みです。会社法上は法人格を有する株式会社であっても、経済的な実態はパートナーシップ(または個人事業)と同程度の規模で事業が行われているのであれば、所得課税も同様になされるべきです。つまりS法人制度は、税制が経済に歪みを生じさせ、投資および企業経営の意思決定に影響を与えることがないようにするため、そして租税の中立性を保つために設けられた制度です。 S法人の多くは、株主1人ないし数人の小規模会社であり、会社法上および一般的な外見上は普通の株式会社と何ら変わりがなく、所有と経営の分離、株主有限責任、対外的に比較的高い信用を得ることができるなど、普通の株式会社の場合に近い利益にあずかることが可能です。S法人はここでは、「株主課税法人」と訳されていますが、「小規模法人」と訳される場合もあります。 ●S法人の要件 50州のいずれかの州の会社法の規定に基づいて設立された内国法人(Domestic Corporation)は、次の4条件のすべてを同時に満たすことにより、S法人の選択を行うことができます(IRC第1361(1)(2)条)。 (1)株主数は75人以内であること (2)株主は個人、遺産財団、特定信託であること。 (3)株主は非居住外国人、法人、パートナーシップでないこと。 (4)発行株式は1種類だけであること。 なお、金融機関、保険会社、プエルトリコ法人、内国国際販売法人(DISC)は非適格法人となります。 ●S法人の選択 S法人としての取り扱いを希望する法人は、フォーム2553様式を規定された提出期限までにIRSへ提出することによりその選択ができます。 S法人選択には株主全員の同意が必要です。選択の時期は、S法人としての取り扱いを希望する前課税年度、または当該課税年度開始後第3カ月目の15日までにフォーム2553様式を提出します。たとえ当該年度が既に開始されていたとしても、第3カ月目の15日までに選択をすれば、期首(期間のはじめ)に遡ってS法人に転換することができます。 第3カ月目の15日以降にフォーム2553様式の提出がなされた場合は、翌年度の期首からS法人となります。新設法人は、最初の課税年度開始から第3カ月目の15日まではS法人選択をすることで、一般法人の期間を経ることなく、最初からS法人となることができます。なお、いったんS法人選択が行われると、終了するまで継続して有効となります。 米国公認会計士 大島 襄会計士事務所所長 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 米国税務上の法人の清算について| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 米国税務上の法人の清算について 2022年8月8日 Q.米国税務上の法人の清算について教えてください。 A. 米国税法は米国法人が清算する際の課税関係について様々な規定を設けています。米国法人、特に、C-corporationが清算される際に適用される規定とそれぞれの課税関係について紹介します。 株式の売却扱い 米国法人の清算手続きは、一般的に、当該法人が株主に対して最終配当を行い、これに対し、会社株式の償還をすることによって行われます。米国税法上、例外規定(以下参照)が適用できる場合を除いて、このような取引は株主が法人株式を売却したとみなされます。従って、最終配当(現金またはその他の資産)が株主の株式原価を超過した場合は、売却益を認識することになります。株式原価が配当を下回る場合は売却損を認識します。法人株式取引の際に発生する売却益・損は一般的に譲渡所得または損(キャピタルゲインまたはロス)と取り扱われます。(以下、例1と例2を参照してください。) もし最終配当が現金以外の資産でなされた場合は、当資産の市場価格が、株主の売却益・損の決定のために用いられます。また、この際、配当した法人は当該資産を株主に売却したとみなされ、配当時に認識された資産原価と市場価格の差を法人が売却益または損と認識します。 法人清算の際、最終配当が複数回にわたって行われる場合もあります。その際は、株主は受領した配当が自己の株式原価を超えない限り、売却益を譲渡所得として申告する必要はありません。また、もし清算による売却損が予想される場合は、全配当が終了するまで、この損を認識することはできません。(以下、例3と例4を参照してください。) 最終配当の際、法人の債務も株主に移転された場合は、債務額の分は配当額の減額が可能で、株主が認識する売却益の減額か、場合によっては売却損が発生することになります。このルールは法人には適用されず、法人が現金以外の資産配当の際に発生する売却益・損の計算の際に、資産の市場価格を株主に移転される債務以下の金額とすることは禁じられています。もし、株主に移転される債務が税配当金額を超過した場合は、株主が法人に対し増資したとみなされます。 例外規定 もし清算配当を受領する株主が米国法人であり、また当該法人が、清算される法人の株式の80%、またはそれ以上(米国歳入法第1504条の規定に基づいて決定)を保有する場合、株主法人に課税関係は発生しません(米国歳入法第332条による非課税清算)。この場合、株主法人が受領する資産の原価は、清算法人のものが引き継がれます。 申告手続き 法人の清算計画が最終決定された際、清算される法人は、その旨を米国内国歳入庁に報告する必要があります。これはForm 966によって行われます。また、配当金額などの内容もForm 1099-DIVで、株主と米国内国歳入庁に申告する必要があります。また、清算される法人の株主も、税法上大株主とみなされた場合、清算配当の内容を各自の申告書で開示する必要があります。 法人がLLCに変換された場合 法人がLimited Liability Corporation(LLC)に変換された場合、株主が複数の場合、変換後、LLCは税務上はパートナーシップとして取り扱われることがあります。従って、変換時、当該法人は清算されたとみなされ、上述に説明した課税関係が発生します。また、新LLCは法人の株主が清算配当された資産を投資することによって設立されたと考えられます。法人清算時に、株主が売却益・損を認識するため、当該株主によって新LLCに投資された資産原価は市場価格(ステップ・アップ)が用いられます。法人からLLC へ返還は上述以外の方法もあります。 以上に説明したルールについて、具体例を挙げて説明します。 例1: X 法人はAとBの二人の株主に保有され、10万ドルの現金を資産として保有しています。債務はありません。AとBはそれぞれ30%および70%のX株式を保有し、A保有のX株式原価は2万ドル、B保有のX株式原価は9万ドルです。X法人の清算の際、XはA に3万ドル、またBに7万ドルを配当することに決定しました。上述に紹介したルールの基、Aは1万ドルの売却益、Bは2万ドルの売却損を認識します。 例2: 例1の事実の中で、Xの債務をゼロから5万ドルに変更します。その際のAは5千ドルの売却損、Bは5万5千ドルの売却損を認識します。 例3: 数年前、BはX法人の株を2万ドルで購入しました。2019年度にX法人の清算計画が決定され、この計画により、Bは2019年6月1日に1万5千ドル、2020年6月1日に1万5ドルの最終配当金を受領しました。2019年に受領した1万5千ドルはBのX株式原価の2万ドルを上回らなかったため、当該原価が配当金額分減額されるだけで、課税関係(売却益の認識)は発生しません。しかし、2020年に受け取った配当金額はX株式原価(5千ドル)を超過した部分、X株式の売却益(一万ドル)と認識され課税されます。 例4: 数年前、BはX法人の株を2万ドルで購入しました。2019年度にX法人の清算計画が決定され、この計画により、Bは2019年6月1日に5千ドル、2020年6月1日に5ドルの最終配当金を受領しました。2019年に受領した5千ドルはBのX株式原価の2万ドルを上回らなかったため、当該原価が配当金額分減額されるだけで、課税関係(売却益・損の認識)は発生しません。2020年に受け取った配当金額もX株式原価(1万ドル)を超えなかったためBは1万ドルのx株式売却損を認識します。 シニアタックスアドバイザー 佐藤仁美 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 国境を越える相続| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 国境を越える相続 2007年8月20日 質問: 米国在住の日本人で、永住権(グリーンカード)保持者です。日本で父親が亡くなり、不動産(日本)、銀行預金(日本、米国)などの遺産を、日本の母と私とで相続することになりました。日本で相続税を支払うことはわかりますが、米国でも税金がかかるのでしょうか? 答え: 米国に遺されたのは、父親(被相続人)名義の銀行預金口座だけであり、他のすべての相続財産は日本にある場合、米国にいる相続人の居住者・非居住者や国籍の別に関係なく、日本の相続税だけが課され、米国では連邦遺産税も所得税も生じません。税引後の相続財産を日本から送金の形で米国の銀行口座に入金したとしても、その送金には税金は一切かかりません。 連邦遺産税 連邦遺産税法上、父親(被相続人)の居住者・非居住者の別が課税範囲を決定します。この場合の居住者・非居住者の判断は、米国滞在日数の客観的基準による所得税の定義とは異なり、永住権保持者は居住外国人、永住権以外の日本人は非居住外国人となります。また、生存配偶者や子(相続人)の居住者・非居住者や国籍の別は、課税範囲の決定に無関係です。それは相続人が納税義務者となる日本の相続税と異なり、連邦遺産税では父親(被相続人、実際にはその執行代理人)が納税義務者となるためです。 父親が連邦遺産税法上の居住外国人であれば、日米両国のすべての財産が連邦遺産税の課税対象となります。父親は非居住外国人であるため、課税対象となる遺産は一定の米国国内財産だけに限られます。一定の米国国内財産とは、不動産、その他の有形資産(家具、車、宝石等)、米国法人発行の株式、米国債券などを指します。非居住外国人名義の米国銀行預金、外国株式、外国債券は、連邦遺産税法上非課税です。米国に遺したのは父親名義の銀行預金口座だけであり、他のすべての相続財産は日本にある場合、米国では連邦遺産税も所得税も発生せず、日本の相続税だけが課税されます。 連邦遺産税の計算は、課税財産から基礎控除を差し引いた金額に税率を掛け合わせて行います。基礎控除は一律に認められる非課税枠のことですが、非居住外国人と米国市民・居住外国人とでは金額が異なります。非居住外国人の基礎控除は原則6万ドルです。米国市民・居住外国人の基礎控除は、2007年と2008年200万ドル、2009年350万ドルです。日米遺産税・贈与税条約を適用して、非居住者の課税遺産が全世界遺産に占める割合を市民・居住者の基礎控除額に掛け合わせた金額を控除する方法も認められます。連邦遺産税の税率は18%~45%までの累進税率です。納税・申告期限は被相続人の死亡後9ヵ月です。詳しくは連邦フォーム706-NA(U.S. Estate Tax Return)を参照してください。 相続財産の所在する州によっては、州遺産税が課される場合もあります。日本で受けた相続財産が日本で課税され、その後米国に送金された場合、米国で所得税の課税を受けるということはありません。 日本の相続税 日本では相続人である生存配偶者や子が相続税の納税義務者となります。日本在住の日本人の親が死亡した場合、相続人の国籍が相続税の課税範囲を決定します。相続人が日本国籍を有する場合、日本居住者、海外居住者とも、被相続人(父親)が遺した財産の所在地にかかわりなく、日本と外国のすべての相続財産が課税対象となります。日本の相続税の税率は10%~50%までの累進税率(2009年)であり、申告期限は死亡後10カ月以内です。日本国外にある父親名義の財産に外国の相続税が課税された場合、その財産が日本で課税される相続財産に含められるため二重課税になります。その場合には、外国税額控除の適用により二重課税の一部または全部の回避が達成されます。 相続人が米国市民の場合 相続人が米国国籍保持者であり、日本の父親(非居住外国人)からの相続を受け取る際、連邦遺産税が課税されるのは、遺された財産の種類が、米国内の不動産、その他の有形資産(家具、車、宝石等)、米国株式、米国債券である場合です。父親名義の銀行預金、外国株式、外国債券は、連邦遺産税の対象外であり税金はかかりません。 日本の相続税に関しては、相続人が米国国籍保持者の場合は、被相続人(父親)が遺した財産のうち、日本にある相続財産だけが課税対象となり、外国(米国)にある財産は非課税です。米国内財産が日本の相続税の課税対象となる永住権保持者(日本国籍・居住外国人)と比べて米国国籍保持者は著しく有利となります。 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 退職金貯蓄制度の改正| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 退職金貯蓄制度の改正 2001年8月20日 退職金貯蓄制度の改正 Q : ブッシュ大統領の改正税法に退職金貯蓄制度の変更が含まれていますが、私たちにどのような影響があるのでしょうか? A : IRA(個人退職基金制度)、401(k)プラン(確定拠出型年金制度)、SIMPLEプラン(中小企業の年金制度)への積立限度額の増額が新たに定められました。 ①IRA(個人退職基金制度) IRAは、毎年一定額を退職後の資金形成目的で積み立てていき、毎年の利息や配当などの収益は非課税、拠出金は条件を満たせば所得控除できるという優遇措置です。 元金、利息ともIRA口座から分配を受けた時点で課税対象の所得となります。元来、会社の年金制度に加入出来ない自由業者や中小企業勤務者のために設けられた貯蓄奨励制度です。納税者が適格年金制度、例えば会社のペンション・プラン、401(k)プランなどに加入している場合、納税者本人のIRA積立額(旧法では2000ドル)は、所得が低ければ満額控除できますが、所得が一定額(例えば夫婦合算申告の調整総所得5万2000ドル)を超えると、段階的減額の対象となります。そして、6万2000ドルに達すると控除は消滅します。働いていない方の配偶者のIRA積立金は、調整総所得15万ドルから16万ドルの間で段階的消滅の対象となります。 改正税法は、2002年以降1人当たりのIRA積立限度額を増加します。さらに、50歳以上の加入者は、04年まで500ドル、05年以降1000ドルの追加積立の控除が認められます。 ②401(k)プラン(確定拠出型年金制度) 従業員に給与が支給される際、一定率までの金額を退職金貯蓄制度、401(k)プランに積み立てることが認められます。会社は従業員積立額までの金額を従業員口座へ追加拠出するのが一般的です。加入者は、自分の状況に合わせて年金基金の投資選択をすることが可能です。積み立てた給与の税金は、給与支給年度には課せられません。毎年加算される利子、配当などの収益も非課税です。税金は繰り延べられて、将来退職後の分配を受けた時点で初めて課税を受けます。 改正税法は、401(k)プランへの積立限度額を増額します。さらに50歳以上の加入者は、追加積立が認められます。また、07年以降、積立限度額は毎年インフレ調整が施されて、500ドル単位で増額します。 ③SIMPLEプラン(中小企業の年金制度) 100人以下の従業員数の中小企業に適用される退職金貯蓄制度がSIMPLEプランです。 改正税法は、SIMPLEプランへの積立限度額を増額します。50歳以上の加入者は追加積立が認められます。06年以降、毎年インフレ調整が施されて、500ドル単位で増額します。 KPMG特別顧問 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 日本在住の永住権保持者の税金| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 日本在住の永住権保持者の税金 2007年5月25日 質問: 永住権(グリーンカード)保持者は日本に住んでいても米国税法上の身分が居住外国人であるため、連邦税の申告をしなければなりませんが、日本と米国で二重に税金が課されるのでしょうか? 答え: 日本在住の永住権保持者が連邦税の申告をする際に問題となる、日本と米国での二重課税について検討します。 Eビザ、Lビザ、Hビザなどで米国に滞在して居住外国人であった日本人が日本へ帰国すると、米国税法上の身分は、居住者から非居住者へ変わります。したがって帰国後は米国源泉所得がない限り、米国での課税は生じません。一方、永住権保持者は、米国を離れて米国以外の国(例えば日本)に住んでいる場合、永住権を放棄しない限り居住外国人としての税法上の身分を保ち続けます。居住外国人は全世界所得が課税対象となるため、米国での所得が無くても日本での所得があれば、その金額を米国のIRS(内国歳入庁)に報告して確定申告書を提出しなければなりません。 日本で既に課税された所得を再び米国で申告するため、二重課税(同一の所得に対して二つの国で税金が徴収されること)が生じる可能性があります。その救済措置として、所得控除と税額控除の二段階にわたる減税方法の適用によって、二重課税の問題が解消されます。所得控除は、所得から一定金額を差し引いて課税対象所得を削減して税金を少なくする減税方法です。税額控除は、所得税を計算した後、その所得税を相殺する形で直接的に税金を少なくする減税方法です。所得控除として、海外に在住する米国市民に適用される「海外役務所得控除」の規定が永住権保持者にも認められます。税額控除として、二重課税防止措置である「外国税額控除」の規定の適用が認められます。 「海外役務所得控除」(Foreign Earned Income Exclusion)は、海外で得た役務所得(給与、報酬、事業所得など)の一定金額を非課税所得として扱い、その金額を所得から削除します。一定金額とは8万ドルであり、2008年以降、毎年インフレ調整が施されて増額することになっています。この所得控除を受けるためには、外国の居住権を取得して1暦年以上経っていること(居住権条件)、あるいは、外国での実際の滞在日数が12ヵ月のうち330日以上であったこと(実際滞在条件)のいずれかの条件を満たさなければなりません。フォーム2555に必要事項を記入して、申告書フォーム1040に添付提出します。 「外国税額控除」(Foreign Tax Credit)は、外国で課された所得税のうち、海外役務所得控除(8万ドル)に対応する金額を除き、超過分についてのみ控除が認められます。すなわち、役務所得が8万ドル以下であるため全額除外されて課税対象所得がない場合は、外国税額控除もなしとなります。役務所得以外の外国所得(例えば投資所得)に課された所得税については、全額控除が認められます。外国税額控除は、種類の異なる所得(通常所得と投資所得)ごとに別計算されます。外国税額控除は、フォーム1116に必要事項を記入して、申告書フォーム1040に添付提出します。 日本に住んでいる永住権保持者が連邦税の確定申告をする際、日本と米国で二重に税金が課されて不利になるのではないかという懸念は、「海外役務所得控除」と「外国税額控除」の規定の適用により、二重課税は排除されて、実際に支払う米国の税金は最小限に抑えられます。 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 新リース会計基準での注意点| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > 新リース会計基準での注意点 2021年6月25日 「譲謙(ゆずけん)さん、先日教えてもらったリース基準についてもう少し教えてくれんか?」会社経営者の鬣(たてがみ)はおもむろに会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、譲謙に聞いた。「いいですよ」「まずは、貸す方と借りる方はどんなリースになるのじゃ?」「借りる方はファイナンスリースかオペレーティングリースになります。さらに資産と負債を認識しなければなりません」「ファイナンスリースとかオペレーティングリースとは何じゃ?」「ファイナンスリースは、リースなのにお金を借りて資産を購入したという処理をするものです。オペレーティングリースは、購入ではなく、単純に資産を借りて使用しているというリースです」「貸す方はどうなんじゃ?」「貸す方は、セールスタイプリース、ダイレクトファイナンスリース、オペレーティングリースに分類します。5つの条件のうち1つでも当てはまると、借り手はファイナンスリースとして処理を行い、貸し手はセールスタイプリースとして処理しなければなりません。すなわち、貸し手が借り手に割賦で資産を売却したと考えます。5つの条件は1. 所有権がリース契約終了時に貸し手から借り手に移る契約、2.借り手がかなり確実に実行するようなパーチェスオプションがついている場合、3.リース期間が資産の経済耐用年数のほとんどの場合、4.リース支払総額と借り手が保証している残存価値の合計の現在価値がリース資産の時価と同額か、実質的に超えていること、5.特別仕様による資産で、そのリース期間が終了したら、他に転用できないものです」「そうか、それじゃ、それらの条件に合わないリースはどうなるのじゃ?」「5つとも満たさない場合には、借り手はオペレーティングリースとなります。貸し手も、次の2つの追加の条件も満たさないとオペレーティングリースとなります」「何、場合によっては借り手と貸し手は違う処理になるのか」「そうです。貸し手の2つの条件とは1.リース支払総額と残存価値の現在価値がリース資産の時価と同額か、実質的に超えていること2.貸し手がリース料金と残存価格を回収すること。これらの条件がそろうと貸し手はダイレクトファイナンスリースとして扱います」「ダイレクトファイナンスリースってのは何のことだ?」「ダイレクトファイナンスリースとは簡単にいうと貸付金です。貸し手は(もの)を貸しているのではなく、お金を貸しているという処理になります。ダイレクトファイナンスリースもセールスタイプリースもリース資産自体は貸し手の貸借対照表には計上されなくなります」「ふーん、わかった。ありがとう」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saitollp.com , info@saikos.com):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 満期保険金と保険年金の課税| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 満期保険金と保険年金の課税 2019年6月17日 満期保険金と保険年金の課税 米国滞在中に米国の貯蓄型の生命保険と個人保険年金に加入して保険料を支払っていた日本人が、日本帰国後もそれらの保険に加入し続け、満期を迎えました。満期保険金と保険年金の日米での税金上の取り扱いについて検討します。 米国の保険会社から生命保険の満期保険金や中途解約金を非居住外国人(日本の居住者)へ支払う場合、30%の源泉徴収税(所得税)の対象となります。保険会社は源泉徴収税をIRS(内国歳入庁)へ納付し、差額の70%分を日本の受取人へ送金します。米国で差し引かれた源泉徴収税は、日本の所得税の計算上、外国税額控除が認められます。生命保険会社の保険年金は、終身または特定期間にわたって定期的に所定の金額が支払われる給付のことを指します。保険年金は、日米租税条約第17条の居住地国課税の原則に基づき、支払地である米国では非課税、居住地国である日本で課税対象となります。 日本では、満期保険金や中途解約金は、所得税または贈与税の対象となります。保険料の負担者と保険金の受取人が同一の場合、保険金は一時所得として所得税・住民税が課税され、確定申告を必要とします。受取額から払い込んできた保険料を差し引き、更に50万円を差し引いた残りの金額の1/2が課税対象額です。負担者と受取人が異なる場合は、所得税ではなく贈与税が課せられます。受け取った保険金から基礎控除の110万円を差し引いた金額に適用税率を掛け合わせて贈与税を算出します。保険年金は、雑所得として所得税と住民税の対象となります。 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- Fair Value Option| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > Fair Value Option 2022年10月28日 「譲謙(ゆずけん)さん、前に株式は持分や支配力で評価方法を決めなければならないと言っていたが、どういうことなんじゃ?」「連結子会社以外で重要な影響を与える場合には、持分法を用いなければなりません。この場合には、損益は投資先会社の損益の持分部分を計上し、配当は持分のマイナス計上になります。」会計コンサルタントの譲矢謙吉、ゆずりやけんきち、通称譲謙)は答えた。「それは20%以上で50%以下の株式会社の場合やLLCで3%から6%以上の場合じゃな。」「そうです。そして、それ以下の持分証券は時価評価になります。時価評価の場合には、時価の増減を損益として計上するとともに、配当は収益として認識します。持分法と時価評価は全く異なる目的で行われ、会計処理も異なるので、同時に適用することはできません。」「そうすると20%以上50%以下の株式会社や3%-6%以上のLLCは時価評価はできないということじゃな。」「いえそうでもありません。Fair Value Option(FVO)という選択をすることが認められており、上記のような状況でも持分法を適用せず時価評価が適用できることになっています。」「そうか、先ほどと同様に持分法とFVOの両方を同時に適用は不可能じゃな。そこで、どういうふうに適用するのじゃ?」「①最初の損益認識で適用しなければなりません。②確固たるコミットメントがある場合です。③特別な会計処理が存在しなくなったとき、例えば、連結から外れた時や持分法を適用しなくなった時などです。④別の事業体への投資の会計処理に変更があったとき⑤公正価値で測定しなければならない事象が発生したときです。」「それじゃ、逆にできない場合はあるのか。」「①連結される子会社や変動持分会社への投資です。②預金債務、③リース契約で認識された金融資産や金融リース、④株主資本として分類されている金融資産、⑤ペンションプランでの負債や資産です。」「適用する際の注意点は何じゃ。」「一旦採用したFVOは変更ができません。FVOは個々の資産種類ごとに適用します。」「それじゃ、1つの30年物のUS国債にFVOを適用して、別の同じ国債に償却を実施しても問題ないということか?」「その通りです。しかし、20%-50%の投資先にFVOを適用していて、その投資先に貸付金があった場合には、その貸付金にもFVOを適用しなければなりません。」「それじゃ、最初に18%持っていて追加で7%を購入して25%になって持分法の対象となったときに持分法ではなくてFVOを適用できるということか?」「はいそうです。」「それじゃ、60%の連結対象会社の持分20%を売却して40%になったときにもFVOは適用できるのか」「はい、できます」「そうか、勉強になった。ありがとう。」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saitollp.com , info@saitollp.com ):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 租税条約による年金免税| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 租税条約による年金免税 2007年6月5日 質問:日本から老齢年金手当を受給している米国在住の日本人です。社会保険庁から通知があり、日本の源泉所得税の免除を受けるため、新しい届出書を2007年8月31日までに提出することを求められています。どのように対処すべきでしょうか? 答え:社会保険庁の指示に従って、「租税条約に関する届出書」、「付表」および「居住者証明書」を社会保険業務センター宛に期日までに提出して、日本の源泉所得税の免除を受ける手続をする必要があります。 米国居住者が利子や配当、賃貸料、年金などの所得を日本から受け取る場合、通常日本で20%の源泉所得税が課税されます。同様に、日本の居住者が米国から一定の所得を受け取る際、原則として米国で30%の源泉所得税が課税されます。2004年7月1日から適用となった新日米租税条約は、日米間の源泉所得税の大幅な軽減税率を規定しています。新条約第17条は、旧条約同様、退職年金、老齢年金、社会保障年金、保険年金について、源泉地国では非課税とし、受給者が退職後に居住している国で課税すると定めています。すなわち、米国居住者である日本人が日本から受け取る年金手当は、日本では非課税、米国では課税対象となります。 社会保険庁から送られてきた通知は、新日米租税条約発効に伴い、米国に居住する日本年金の受給者が日本の源泉所得税の免除を受けるために新設された届出書の提出を求めています。2007年8月31日までに届出書が提出されない場合は、3年前まで遡って源泉所得税を徴収するとしているため、社会保険庁の指示に従って届出書の提出をする必要があります。 新日米租税条約に基づき、日本の年金に対する源泉所得税の免除を受けるためは、以下の3つの書類を社会保険庁を通じて国税庁へ3年ごとに提出しなければなりません。 ① 「租税条約に関する届出書」(様式9)2部 ② 「特典条項に関する付表(米)」(様式17―米)1部 ③IRS(内国歳入庁)が発行した「居住者証明書」(フォーム6166)1部 ① 「租税条約に関する届出書」(様式9) 記入事項は、氏名、国籍、住所、電話番号、納税国、納税地(州)、納税者番号、年金の種類、年金支払者の名称・住所、年間支払回数、支払期日、支払方法、1回の支払金額、年金証書の基礎年金番号・年金コード、日本からの出国日、日本における最後の住所などです。記入後、署名をして提出します。 ② 「特典条項に関する付表(米)」(様式17―米) 日本と米国以外の第三国居住者による条約の濫用を防止するため、一定の基準を満たした適格居住者だけが条約の恩典を受けることができます。必要事項を記入し③の「居住者証明書」を添付して提出します。 ③IRS(内国歳入庁)が発行した「居住者証明書」(フォーム6166) 居住者証明書は、申請フォーム8802(Application for U.S. Residency Certification)に必要事項を記入してIRSへ申請することにより入手できます。申請者が署名をして、IRSの所定提出先へ郵送提出すると、30日以内に「納税申告証明書」(フォーム6166)が送られてきます。確定申告書の写しを添付提出すると、証明書発行プロセスを早めるのに役立ちます。 申請の際、申請手数料の支払を必要とします。金額は、1部~20部35ドル、21部~40部40ドル、41部~60部45ドル、61部~80部50ドルです。“U.S. Treasury”宛ての小切手または銀行為替を申請書に添付して提出します。支払が同封されていない申請書は受理されず、返送されます。 「居住者証明書」は、適格居住者の納税証明の形で発行されます。確定申告書を提出していない場合や非居住外国人としてフォーム1040NRで申告した場合は、租税条約による税の減免措置は受けられず、申請はできません。適格居住者としての納税証明を受けることができる年数は、過去3年間です。 なお、逆に日本居住者が米国からソーシャルセキュリティー手当や利子、配当などを受け取る場合に、租税条約による米国源泉所得税の減免措置を受けるために必要とする日本の「条約届出書」に相当するのが、フォームW-8BEN というIRS様式です。 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 予納過少納付、ペナルティーの回避| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 予納過少納付、ペナルティーの回避 2003年4月20日 Q:予納過少納付ペナルティーを回避する方法を教えてください。 A:所得税にかかるペナルティーの一つに、予定納税(予納)過少納付ペナルティーがあります。予定納税とは、税金の予想金額を年度終了前に年4回に分割してIRSへ納付する制度のことです。特に自由業者はこの予定納税によって税金の納付を行う義務があります。 給与所得者の場合でも予定納税を必要とする場合があります。該当するのは利子、配当、キャピタルゲインの投資所得や賃貸所得など、給与以外の収入が多額にある場合です。給与支給額に対して行われる源泉徴収の金額だけでは、申告書上計算される最終的な税金額である確定税額として十分ではないため予定納税が必要となるのです。 フォーム2210で計算 予納税過少納付ペナルティーは、年内に納付してきた予定納税および源泉徴収税の合計額が確定税額よりも少なく、1000ドル以上の追加納税となる場合に課されるペナルティーです。このペナルティーは、所得の種類は給与だけ、納付した税金は源泉徴収税だけという納税者にも課されます。 過少納付ペナルティーは、フォーム2210で計算します。確定税額を四半期分に分け、各期ごとの源泉徴収および予定納税による納付額と比べて、過少納付となった四半期について過少納付が解消するまで、または4月15日までの間のペナルティーとしてIRSの法定利率を適用して計算します。 IRSの法定利率は、四半期ごとに定められます。例えば、2002年の利率は年率6%、2003年の第1四半期、第2四半期の利率は年率5%です。 ペナルティーを回避する方法 (1)基本ルール 1000ドル以上の追加納税額があっても、年度内の予定納税および源泉徴収による税金納付額が確定税額の90%以上であれば、ペナルティーは課されません。 ペナルティーを回避するためには、税金納付額が確定税額の90%以上であればよいわけですが、年度が終了しないうちから前もって確定税額を的確に予測することは困難です。 そこでIRSは予定納税のセーフハーバー(安全圏)ルールを規定しています。前年度の確定税額を基準とした金額を年内に納付しておけば、たとえ予定納税および源泉徴収による税金納付額が今年度の確定税額の90%に満たなくてもペナルティーは課されないという規定です。 (2)セーフハーバー・ルール(安全圏規定) (a)前年度の調整総所得(AIG)が15万ドル未満(夫婦個別申告7万5000ドル未満)の場合: 前年度の確定税額の100%を納付してあれば、納付額が不十分のためかなりの追加納税を必要としてもペナルティーは課されない。 (b)前年度の調整総所得(AIG)が15万ドル超えの場合: 前年度の確定税額の110%を納付してあれば、追加納税額にペナルティーは課されない。 前年度の確定税額の100%または110%を納付しておくことにより、過少納付ペナルティーの回避が認められるという安全圏規定は、外国人納税者の場合、前年度に1年中を通じて所得を報告した居住者に限り適用されます。 以上の通り、予定納税過少納付ペナルティーを回避する確実な方法として、前年度の確定税額納付の安全圏規定を利用できます。特に給与以外の所得、例えば自由業事業所得、利子、配当、キャピタルゲインなどの投資所得、賃貸収入、一時所得などが入る見込みのある納税者は、過少納付ペナルティーを回避するために、前年度の確定税額を参考にして、4月15日、6月15日、9月15日および1月15日の4回に分けて予定納税の納付を行うことを勧めます。 なお、給与からの源泉徴収税は、実際には不規則な納付がされていたとしても、1年を通じて平均して納付されたと見なすことが認められます。例えば、給与以外の収入が多額にあったのにもかかわらず、年度の後半になって予定納税による税金納付が不十分であったことに気が付いた場合、雇用者にフォームW―4を提出して、毎回の給与から追加税金を源泉徴収するよう要請することができます。この増加された税金納付額を含む源泉徴収税額は過少納付ペナルティーの計算上、年度を通じて平均して支払われたこととして扱うことができ、その結果、過少納付ペナルティーの回避を可能とします。こうして給与所得者の源泉徴収税を給与以外の所得(事業所得、投資所得、一時所得など)の税金納付に充てることもできるのです。 米国公認会計士 大島斉藤会計事務所 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 会計アウトソーシングについて| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > 会計アウトソーシングについて 2022年2月24日 会計アウトソーシングについて < Q >会計アウトソーシングを導入するかどうか迷っていますが、何に気を付けなければならないか教えてください。 < A >会計アウトソーシングを大きく分類すると下記のようになります。 1. 記帳代行 (Bookkeeping) 2. 給与計算 (Payroll) 3. キャッシュマネジメント 4. 決算業務(月次、四半期、半期、年度末) 5. 法人税の申告書 6. 個人税の申告書 7. 個人税の分かち計算 8. 財務諸表の作成 9. 財務諸表の Review 10. 財務諸表の監査 上記のうち 9. と 10. は外部の公認会計士に依頼しなければならないので、内製化は不可です。また、 4. から 8. までの業務も大きな会社でない限り、通常アウトソーシングになりますので、アウトソーシングをするべきかどうかの選択ではなく、どの会計事務所を使うかの問題となります。したがって、社内業務とするかアウトソーシングとするかどうかは、主に記帳業務と給与計算業務それとキャッシュマネジメントが対象となってきます。すなわち、会計アウトソーシングの基礎は 1. の Bookkeeping 、 2. Payroll と 3. Cash Management となります。これらのアウトソーシングする時のポイントは、 Bookkeeping と給与計算の両方を同時にきちんとできるかどうかです。どちらか片方だけなら正確に行えるのですが、両方ともできる会社は少ないのが実情です。なぜならば、両方の仕事には関連性がなく、どちらとも全く別々の知識と経験を必要とする作業だからです。すなわち、給与計算の知識がなくても Bookkeeping はできますし、 Bookkeeping の知識がなくても給与計算はできます。両方の仕事を整合性をもってできない場合、給与計算と会社の財務数字が合わなくなります。駐在員が多いと、この差額はたちまち多額になり、内部統制上の重大な欠陥とみなされることになります。 また、会計事務所以外の一般の会社にアウトソーシングを依頼する場合で留意しなければならない点は、情報の管理です。会計事務所以外にアウトソーシングする場合には守秘義務契約を最初に結ぶべきです。相手が会計事務所であれば、会計士の規約でたとえ契約書がなくても守秘義務が強制されています。 1. から 3. のアウトソーシングでは多量の情報が行き交いますので、使い勝手がよいとか、安いからと言って、信頼のできない会社に任せることは非常に危険です。また、キャッシュマネジメントや給与計算はキャッシュを実際に扱うことになるので、信頼のできる会社に任せなければ、キャッシュの不正流用される危険性もあります。 アウトソーシングの長所は、会計組織をすぐに入手できることです。自前で会計組織を創り上げるには、大変な時間とノウハウが必要です。また、経理課員の出入りを心配する必要もなくなります。自社に適した経理の専門家を雇うことはアメリカでは大変なことですが、そのような心配がいらなくなるということになります。短所は経理のノウハウが社内に構築されないということです。 アウトソーシング会社を選ぶポイントは、長年実績があり信用ができる組織であること、アウトソーシングについてのしっかりしたスキームができている組織であること、それらを運用できる人員が十分に備わっている組織であることです。 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saitollp.com, info@saitollp.com ):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- デリバティブ1| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > デリバティブ1 2008年7月15日 Q. 石油価格の上昇や利率の変動にたいして将来の不測の事態を回避するためにデリバティブ取引を使ってヘッジをするつもりです。アメリカの会計においてデリバティブ取引で注意しなければならない点は何でしょうか? A. 石油価格、市場金利あるいは外国為替等の将来の不確実な変動に関わるリスクを回避する手段や方法をヘッジといいます。ヘッジには様々な取引形態が考えられますが、例えば、現在所有している資産や負債の将来の価格変動を現時点で固定してしまう方法や現在固定している価格や利率を変動させること、あるいは現在は所有していなくても将来購入するまたは売却する際に生じる価格変動や利率等の変動を回避することなどが考えられます。ヘッジは様々な方法で行われますが、デリバティブ商品を用いることが一般的に考えられます。 デリバティブは金融派生商品とも呼ばれていますが、定義は①基礎数値と想定元本または支払条件があること、②当初必要とされる金額がゼロかかなり低い金額でよい、③差額決済を行えるの3つを全て満たすものです。デリバティブの利用方法には、ヘッジと投機(スペキュレーション)があります。①基礎数値とは、例えば石油価格や株価、金利あるいは気温のような派生の元となる商品(元商品)を数値で表現できるものです。想定元本とは基礎数値を使って計算した金額です。例えば、元商品が$130/バレルの石油100,000バレルの場合で、先物価格が$140/バレルで100,000バレルを売り取引したい場合、$140が基礎数値、$14,000,000 (=$140x100,000バレル)が想定元本になります。②当初必要な金額がゼロかかなり低い金額とは、上記$14,000,000の取引を行うにあたって、初めに$14,000,000の現金を用意する必要がなく、証拠金をわずかながら入れておけばよい取引です。あるいは、もしもオプション取引だったならば、オプション プレミアムを支払えばよいというものです。③差額決済とは、例えば、上記例で現物を持っていない場合、2ヵ月後の決済時には、現物価格が$135だった場合$500,000=(($140-$135)x100,000バレル)の精算になります。一旦、$13,500,000(=$135x100,000バレル)を購入して、$14,000,000($140x100,000バレル)の売却をするという取引を必要としません。また、デリバティブと認められない取引は、通常の証券取引、通常の商品の購入および売却、保険取引などが米国会計基準(SFAS133)で明示されています。 ヘッジ取引は①公正価値ヘッジ、②キャッシュフローヘッジ、③為替リスクヘッジに分類されます。①公正価値ヘッジとは、すでに会社のB/Sに記載されている資産負債(元商品)のヘッジ、または、B/Sに計上はされていなくても価格が確約されている取引のヘッジをいいます。B/Sに記載されている資産負債は将来の公正価値の変動についてリスクがあるので、公正価値ヘッジとよばれます。購入価格がすでに確約されているような取引は、評価額が常に測定可能であるため、B/Sには計上されていなくても公正価値のヘッジに含まれます。 公正価値ヘッジの例としては、売りヘッジが考えられます。現在保有している商品を将来売却する場合、市場価格の下落が予想される場合に先物で売り価格を決めてしまいます。②キャッシュフローヘッジとは、未だB/Sに計上されていない元商品の将来の変動に対してリスクを回避するヘッジをいいます。B/Sに計上されていない、すなわち、いくらで取引を行うか決済日まで測定できない取引なので、キャッシュフローの変動のリスクを回避するためにヘッジが実行されることになります。例えば、買いヘッジがあります。将来商品を購入する予定があるが、数量が未定で将来値上がりが予想される場合、先物取引で現時点で買い価格のみを決めてしまいます。③為替リスクヘッジとは、外国通貨の価値の変動のリスクを回避するヘッジで、さらに取引の内容によって公正価値ヘッジとキャッシュフローヘッジに分類されます。 会計上の取り扱いですが、デリバティブの貸借対照表(Balance Sheet=B/S)表示は公正価値(Fair Market Value=FMV)で行うことになっています。損益計算書(Income Statements=I/S)につきましては、ヘッジを行うのか行わないのか、あるいはヘッジとして認められるのか否かで取り扱いが異なります。ヘッジ会計が認められた場合、公正価値ヘッジのデリバティブ損益は、ヘッジ対象の損益が計上されるのと同じ期間、すなわちデリバティブ損益の発生した期間にI/Sにヘッジ対象となった科目で計上されることになります。それ以外はその他の包括利益として計上されます。キャッシュフローヘッジの場合には、デリバティブの損益は、一旦、その他包括利益として資本の部に計上されることになり、その後、ヘッジ対象の損益が計上されるのと同じ期間に損益がI/Sに計上されることになります。 ヘッジを行ってその取引についてヘッジ会計が認められるためには、ヘッジの対象や、手段、リスク、有効性の評価方法および管理方法や戦略の明確な文書を具備することや有効性の評価を定期的に実行しなければなりません。この要件を満たしても有効性がなければ、その有効性に応じて有効でない部分又は全額についてヘッジ会計は採用できません。すなわち、直ちにデリバティブ損益をI/Sに損益計上することになります。 米国公認会計士 大島斉藤会計事務所 齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 連結決算で重要なこと。| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > 連結決算で重要なこと。 2023年5月12日 「譲謙(ゆずけん)さんや、うちの会社では連結決算を行っているんじゃが、重要なポイントはなんじゃ?」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢健吉(ゆずりやけんきち:通称、譲謙ゆずけん)におもむろに聞いた。 「連結決算とは、親子会社を1つのグループ会計と考えて合算して財務諸表を作成することです。」「それじゃ、親会社に子会社の財務諸表を単純にたせばよいだけか?」「いえいえ、そんなに単純ではありません。連結決算では、まず①親会社とその子会社、孫会社の財務諸表を全部合算します。それから、②子会社間や親子会社間の取引を消去しなければなりません。鬣さんがおっしゃったのは、このうちの①の手続きの合算です。」 「なんで、合算だけじゃだめなんだ?」「合算しただけでは、内部取引が足されてしまうので、売上や仕入れが過大に計上されてしまうことになるからです。例えば、子会社 A から子会社 B に500万円売り上げたからと言って、それはグループ全体からみれば、外部売上は$ 0 です。」「確かにそうじゃのう。」「②の子会社間や親子会社間取引の消去手続きを連結消去仕訳といいます。」「“れんけつしようとしたわけ“っていうのはなんじゃ?」「連結消去仕訳(れんけつしょうきょしわけ)です。連結消去仕訳には、投資資本消去、内部取引消去、未実現利益消去、営業権と無形固定資産、有形固定資産の償却仕訳の計上があります。」 「ずいぶんあるな。こんなにあると正確に処理するのは難しいだろう?」「その通りです。」「それじゃ、間違わないようにするにはどうすれば、いいんじゃ?」「まず、連結にはアメリカ方式と日本方式があります。アメリカ方式は親会社が単体で Equity method (持ち分法)を適用することによって、親会社単体の損益や資本勘定と連結の結果を一致させる方法です。この方式の長所は親会社の財務諸表で連結の結果がわかることと、連結決算に間違いがあればすぐに発見できることです。日本方式はフラット連結と呼ばれますが、親会社が単体で持ち分法を適用しないために連結消去で正しい数字を出さなくてはなりません。長所は、親会社で持ち分法を適用しなくてよいということです。資本を動かすことがないので、親会社単体の処理が簡単です。短所としては、連結消去仕訳で利益を動かす取引については、明細表で連結の始まった年から終了する年まで、すべての取引を記録しておく必要があります。資本消去取引では関係会社のすべての資本増減取引、未実現取引では未実現部分がなくなるまでトラッキングが必要です。営業権、無形固定資産、有形固定資産などでは、償却が始まってから完了するまでの増減表を完備しなければなりません。」 「ほう、それは面倒そうじゃな、それをしておかないとどうなるんじゃ?」「正確な連結財務諸表の作成できなくなります。」「それじゃ、簡単にする方法はないか?」「あります。なるべく複雑な内部取引はしないことです。内部取引はグループ全体の視点で見ると本当の売り上げではないのですから、なるべくシンプルにするべきです。そして、内部利益が次期に繰り越さないようにすればよいのです。シンプルな取引例としては売上と経費の相殺などは次期へ持ち越しません。」「そうか、よくわかった。ありがとう。」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saitollp.com , info@saitollp.com ):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 2024年1月22日「Eコマースにおける州税課税の新たな基準」セミナー開催| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics お知らせ < 前の記事 次の記事 > 2024年1月22日「Eコマースにおける州税課税の新たな基準」セミナー開催 2024年1月5日 米国公認会計士齊藤事務所開催 Saito LLP シニアタックスアドバイザー佐藤仁美が詳しく解説いたします。 【日時】 2024年1月22日(月曜日) 米国東海岸時間 8:00PM EST 2024年1月23日(火曜日) 日本時間 10:00AM JST 【所要時間】45分(予定) 【トピックス】 Eコマースにおける新たな課税基準(Wayfair判例) 【会場 】Zoom Webinar でのオンライン開催となります。 開始の1時間前までに下記リンクからご登録の上にてお申し込みください。 https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_GuqVjrVqTJeT9or52T_M_A ①お名前、②Eメールアドレス、③会社名、④お役職、⑤住所 【参加費 】 無料 【お問合せ】 Masanori Nakano (中野正典) Email: mnakano@saitollp.com Tel: 212-599-4600(米国) Tel: 03-3476-2405 (日本) 講師紹介: シニアタックスアドバイザー 佐藤仁美 過去25年にわたり、Deloitte/KPMG/EY の四大会計事務所、および、米系会計事務所Mazars USA(Managing Director)にて多数の米系および外資系国際企業に対し、米国税務、特に税効果会計(GAAP・IFRS)のサービスを提供。昨年より、齊藤事務所のシニアタックスアドバイザーとして税務サービスに従事。外資系米国法人に関わる複雑な米国税務問題(移転価格、PE等)処理、また、GAAPおよびIFRSに基づく米国上場および非上場会社のための税務効果会計の経験が豊富。Univ. of S. MissおよびThunderbird School of Global Business からMBAと Post MBA(International)を取得。Univ. S. California からMaster of Business Tax を取得。東北大学法学部卒業。 米国公認会計士 齊藤事務所(Saito LLP) www.saitollp.com ニューヨーク事務所を2001年に設立、ロサンゼルス事務所、ハワイ事務所、さらに東京にも事務所を構えグローバル企業から中小企業まで対応できる米国専門の会計事務所。 ニューヨーク: 150 W 51st St., Suite #1510 , New York, NY 10019, USA 日本:150‐0043東京都渋谷区道玄坂1-10-5渋谷プレイス9階 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る















