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税金相談室

2007年6月5日 22:00:00

租税条約による年金免税

Inage Hawaii

質問:日本から老齢年金手当を受給している米国在住の日本人です。社会保険庁から通知があり、日本の源泉所得税の免除を受けるため、新しい届出書を2007年8月31日までに提出することを求められています。どのように対処すべきでしょうか?


答え:社会保険庁の指示に従って、「租税条約に関する届出書」、「付表」および「居住者証明書」を社会保険業務センター宛に期日までに提出して、日本の源泉所得税の免除を受ける手続をする必要があります。


米国居住者が利子や配当、賃貸料、年金などの所得を日本から受け取る場合、通常日本で20%の源泉所得税が課税されます。同様に、日本の居住者が米国から一定の所得を受け取る際、原則として米国で30%の源泉所得税が課税されます。2004年7月1日から適用となった新日米租税条約は、日米間の源泉所得税の大幅な軽減税率を規定しています。新条約第17条は、旧条約同様、退職年金、老齢年金、社会保障年金、保険年金について、源泉地国では非課税とし、受給者が退職後に居住している国で課税すると定めています。すなわち、米国居住者である日本人が日本から受け取る年金手当は、日本では非課税、米国では課税対象となります。


社会保険庁から送られてきた通知は、新日米租税条約発効に伴い、米国に居住する日本年金の受給者が日本の源泉所得税の免除を受けるために新設された届出書の提出を求めています。2007年8月31日までに届出書が提出されない場合は、3年前まで遡って源泉所得税を徴収するとしているため、社会保険庁の指示に従って届出書の提出をする必要があります。


新日米租税条約に基づき、日本の年金に対する源泉所得税の免除を受けるためは、以下の3つの書類を社会保険庁を通じて国税庁へ3年ごとに提出しなければなりません。

① 「租税条約に関する届出書」(様式9)2部                         

② 「特典条項に関する付表(米)」(様式17―米)1部

③IRS(内国歳入庁)が発行した「居住者証明書」(フォーム6166)1部


① 「租税条約に関する届出書」(様式9)

記入事項は、氏名、国籍、住所、電話番号、納税国、納税地(州)、納税者番号、年金の種類、年金支払者の名称・住所、年間支払回数、支払期日、支払方法、1回の支払金額、年金証書の基礎年金番号・年金コード、日本からの出国日、日本における最後の住所などです。記入後、署名をして提出します。



② 「特典条項に関する付表(米)」(様式17―米)

日本と米国以外の第三国居住者による条約の濫用を防止するため、一定の基準を満たした適格居住者だけが条約の恩典を受けることができます。必要事項を記入し③の「居住者証明書」を添付して提出します。


③IRS(内国歳入庁)が発行した「居住者証明書」(フォーム6166)

居住者証明書は、申請フォーム8802(Application for U.S. Residency Certification)に必要事項を記入してIRSへ申請することにより入手できます。申請者が署名をして、IRSの所定提出先へ郵送提出すると、30日以内に「納税申告証明書」(フォーム6166)が送られてきます。確定申告書の写しを添付提出すると、証明書発行プロセスを早めるのに役立ちます。


申請の際、申請手数料の支払を必要とします。金額は、1部~20部35ドル、21部~40部40ドル、41部~60部45ドル、61部~80部50ドルです。“U.S. Treasury”宛ての小切手または銀行為替を申請書に添付して提出します。支払が同封されていない申請書は受理されず、返送されます。


「居住者証明書」は、適格居住者の納税証明の形で発行されます。確定申告書を提出していない場合や非居住外国人としてフォーム1040NRで申告した場合は、租税条約による税の減免措置は受けられず、申請はできません。適格居住者としての納税証明を受けることができる年数は、過去3年間です。


なお、逆に日本居住者が米国からソーシャルセキュリティー手当や利子、配当などを受け取る場合に、租税条約による米国源泉所得税の減免措置を受けるために必要とする日本の「条約届出書」に相当するのが、フォームW-8BEN というIRS様式です。

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