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- 国境を越える贈与| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 国境を越える贈与 2007年8月25日 質問:日本の祖父が米国に住む米国籍の孫に財産を贈与すること考えています。この場合の税金は? 答え : 日本と米国の国境を越えて財産を贈与する場合、贈与した者(贈与者)および贈与を受けた者(受贈者)の居住地と財産の所在地に応じて、両国、または、いずれかの国の贈与税が発生する可能性があります。ここでは日本在住の日本国籍保持者である祖父が、米国在住の米国籍保持者である孫に贈与を贈る場合の日本と米国の贈与税について検討します。 ●日本の贈与税 贈与税は課税の対象期間を1月1日から同年12月31日までとして区切られており、その間に贈与を受けた合計額から基礎控除額110万円を差し引いた課税金額に対して、10%~50%までの累進税率を掛け合わせて税額を計算する仕組みとなっています。贈与税の申告期間と納税時期は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間です。 国内財産の贈与:銀行送金の場合、祖父名義の日本の銀行口座から孫の米国銀行口座に向けて資金が振り込まれた時点で、孫が祖父の日本国内財産の贈与を受け取ったことになり、日本の贈与税の対象となります。受贈者である米国居住の孫が贈与税の申告納税義務を日本政府に対して負います。日本にある不動産、株、債券などの贈与を受けた場合も、日本国内財産が関わっているため、日本の贈与税が課税されます。 国外財産の贈与:国外財産の贈与は、次の三条件を満たすと日本の贈与税が非課税となります。 1.受贈者が日本国内に住所を有していないこと。 2.受贈者が日本国籍を有していないこと。 3.日本国籍の場合、受贈者および贈与者の両方またはいずれかが、5年超日本の非居住者であること。 国外財産が課税対象とならないのは、贈与者と受贈者の両方が日本国籍保持者であり、かつ、過去5年以上にわたって共に日本国外に居住している場合、および、受贈者が外国籍保持者である場合の2つのケースです。したがって、祖父が米国内に所有している銀行預金や不動産、米国法人の株、米国発行の債券などの国外資産を、米国籍保持者である米国在住の孫に贈与する場合、日本の贈与税は課されないことになります。日本居住者である親に経済的に依存している米国籍の子(扶養家族)が贈与を受けた場合、その扶養家族の生活の本拠は米国ではなく日本と見なされ、無税贈与は認められません。 二重国籍:米国籍と日本国籍を同時に有する、いわゆる二重国籍保持者は日本の無税贈与の適用を受けることはできません。すなわち、米国で生まれたため生地主義により米国籍があり同時に日本国籍を留保した者や22歳に達したのにもかかわらず国籍選択を行なっていない者、米国籍取得後、日本国籍の離脱をしていない者などは、二重国籍であり米国籍と同時に日本国籍があるため、国外財産の移転に日本の贈与税が課されます。適格贈与であることを示すため、財産の移転先が日本国籍保持者でないことや日本国籍保持者の扶養家族でないことを証明する証拠書類の提出を用意しておく必要があります。 ●米国の贈与税 贈与相手一人につき13,000ドル(2009年)を超える贈与は連邦贈与税(18%~45%)の対象となります。申告期限は、贈与が発生した年の翌年の4月15日です。 国外財産の贈与:米国では、日本と逆に贈与者が贈与税の納税義務を負います。非居住外国人による米国外財産の贈与は、受贈者の国籍や居住地に関わりなく、また財産の種類や金額にも関わりなく、連邦贈与税の対象外です。税法上の非居住外国人が関わる場合に課税対象となるのは、米国内財産の贈与だけに限られます。日本からの銀行送金、日本の不動産、株、債券などの移転に課税されるのは日本だけであり、米国の贈与税は課税されません。 国内財産の贈与:米国内財産の移転は連邦贈与税が課される可能性があります。ただし、納税義務者である贈与者が非居住外国人である場合にだけ考慮される財産の概念が適用されます。すなわち、移転される財産を有形資産と無形資産とに分類し、有形資産であれば贈与税の課税対象となり、無形資産であれば課税対象外となります。 有形資産(課税):不動産、現金、自動車、宝石貴金属、美術品など。 無形資産(非課税):株、債券、有価証券、手形、著作権など。 以上から、日本の祖父が保有する米国資産を、株、財務省証券などの「無形資産」の形にして移転すれば、日米両国の贈与税の対象とならず、米国籍の孫に対する合法的な無税贈与が達成できます。 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 会社の不正はなぜおきるんじゃろう| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > 会社の不正はなぜおきるんじゃろう 2015年2月27日 「譲矢さんやここんとこ企業犯罪は増え続けているということを聞いたんじゃが本当か?」企業経営者の鬣(たてがみ)は、会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、ゆずけん)におもむろに聞いた。 「その通りです。鬣さん。最近の会計専門誌によると年々数も金額も増加の一途をたどっているようです。特にデータを取り扱う産業で金融関連や政府、健康産業に増えているようです」 「それは、世の中に大変になってきたのう。やっぱりインターネットとかクラウドとかソーシャルネットワークとか、よくわからないものが出てきているからかのう」 「公認不正調査士協会によると平均的な企業で売り上げの5%が不正によって失われているようです。世界規模に換算すると$3.5 trillionだそうです。」 「なに、トリトン。わしは海のトリトンなら知っているぞ。」 「鬣さん、これはトリリオンです。ビリオンの1000倍です。」 「何、想像を絶する金額だな」 「それでは、その調査からの抜粋を述べますね。従業員による職業的上の立場を利用した不正では、平均$140,000の被害が出ています。このタイプの不正は、ほとんどが社内の通報によって発覚しています。また、犯人は初回の犯罪がほとんどで、そのうちの87%が告発されていません。また84%は懲戒解雇されたり何らかの罰を受けたりもしていません。不正は起きてから発覚するまで平均で18か月かかっています。資産の横領不正は、職業的不正の中で最も多く87%を占めます。被害額は平均で$120,000です。財務諸表の改ざん不正は、平均$1Mですが、発生件数は8%です。賄賂や汚職による不正損害額は平均で$250,000です。賄賂や汚職と請求書を用いた不正は50%以上起きています。主に銀行、金融サービス、政府および政府機関や製造業に不正が多く発生しています。一般的にいわれている16の不正防止策のうち、何らかの措置をとっている会社は比較的低い損害ですんでいます。経営者やオーナーの不正の場合には、金額が大きくなり$573,000、中間管理職では$180,000、一般の従業員であれば$60,000です。長期の従業員ほど被害額は大きく10年以上勤務の場合には$229,000、初年度の従業員の場合には$25,000です。不正の77%は、経理、オペレーション、営業、エグゼクティブ、カスタマーサービス、購買部門で起きています。」 「何とかして不正が起きていることをわからないか?」 「以下の兆候が表れるとあやしいと思ってもかまいません。従業員が自分の所得を超えた暮らしぶりをしている、財政的な困難にあっている、仕入先や顧客との行き過ぎた付き合いがある、内部のコントロールを無視した行為がみられる場合です」 米国公認会計士齊藤事務所 (SAITO LLP):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 国境を越える贈与・相続 (16)| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 国境を越える贈与・相続 (16) 2011年8月30日 国境を越える贈与・相続 (16) 満期保険金と保険年金 米国滞在中に米国の貯蓄型の生命保険と個人保険年金に加入して保険料を支払っていた日本人が、日本帰国後もそれらの保険に加入し続け、満期を迎えました。満期保険金と保険年金の日米での税金上の取り扱いについて検討します。 米国の保険会社から生命保険の満期保険金や中途解約金を非居住外国人(日本の居住者)へ支払う場合、30%の源泉徴収税(所得税)の対象となります。保険会社は源泉徴収税をIRS(内国歳入庁)へ納付し、差額の70%分を日本の受取人へ送金します。米国で差し引かれた源泉徴収税は、日本の所得税の計算上、外国税額控除が認められます。生命保険会社の保険年金は、終身または特定期間にわたって定期的に所定の金額が支払われる給付のことを指します。保険年金は、日米租税条約第17条の居住地国課税の原則に基づき、支払地である米国では非課税、居住地国である日本で課税対象となります。 日本では、満期保険金や中途解約金は、所得税または贈与税の対象となります。保険料の負担者と保険金の受取人が同一の場合、保険金は一時所得として所得税・住民税が課税され、確定申告を必要とします。受取額から払い込んできた保険料を差し引き、更に50万円を差し引いた残りの金額の1/2が課税対象額です。負担者と受取人が異なる場合は、贈与税が課せられます。受け取った保険金から基礎控除の110万円を差し引いた金額に適用税率を掛け合わせて贈与税を算出します。保険年金は、雑所得として所得税と住民税の対象となります。 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- ストレス| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > ストレス 2017年12月4日 「譲謙(ゆずけん)さん、ストレスがたまると従業員からよく言われるのじゃが、ストレスはなぜ起きるんじゃろうか?」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称ゆずけん)におもむろに聞いた。 「鬣さん、2015年の調査では、アメリカ人のストレスの発生要因は、第一にお金、第二にファミリーレスポンシビリティー、第三が職場だったようです。アメリカ人にとって職務上のストレスはかなり低いようです。」 「アメリカ人が自分たちの仕事自体にストレスを感じていないことには驚いたな。」 「そうですね、比較的自分の好きな仕事をしているか仕事を好きになっているということかもしれません。」 「それにファミリーレスポンシビリティーなどという言葉は日本では全く聞かない言葉だよな。」 「そうですね。日本ではファミリーレスポンシビリティーは、お母さんがその役割のほとんどを引き受けているのではないでしょうか。」 「アメリカでは子供をある一定年齢までは一人にして置くことは犯罪になりますし、いろいろな家族として果たさなければならない義務があります。それらが結構ストレスになるのでしょうね。」 「ところでストレスとはなんじゃ?」 「辞書によると体や体の一部を押したり引いたり、ひねったりした時に受ける強制的な力。あるいはそのようなときに起こる変形。物理的、化学的、感情的な要素が引き起こす肉体的心神的な緊張や病気。歪みや圧力。などと説明されています。」 「急性的なものと慢性的なものがあるとも聞いたが、どうじゃ?」 「その通りです。急性的なものが一般的なストレスです。それは将来のことや直近のプレッシャーに起因します。ストレスは悪い意味でとらえられがちですが、すべてがそうではありません。生産性をあげるために必要なストレスもありますし、エクササイズの走る行為は急性ストレスの一つです。ローラーコースターやダイビングなども急性のストレスですが、楽しめるものでもあります。急性のストレスは、短期間で終わるものであり大きなダメージにはならないと言われています。」 「それじゃ、慢性的なものはどうなんじゃ?」「慢性的なストレスは急性ストレスよりもシリアスです。例えば、記憶を失ったり、空間認識をなくして物体が三次元空間に占めている状態がわからなくなったり、無性に食欲がわいたりします。」 「たしか、両方とも何か行動に影響を与えると聞いたが。」 「ストレスは急性であれ慢性であれ、喫煙、食習慣、行動様式に影響をあたえると言われています。」 「そうか、それは気を付けんといかんな。」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saikos.com , info@saikos.com ):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 日本の相続⑤ 代襲相続| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 日本の相続⑤ 代襲相続 2020年7月27日 日本の相続⑤ 代襲相続 日本では、故人(被相続人)の子が相続開始以前に既に死亡している場合は、死亡した子の子、つまり被相続人の孫に相続権が移ります。この場合の孫を「代襲相続人」、死亡した子を「被代襲者」といいます。身代わりの相続人である孫は、死亡した子と同じ第一順位の血族相続人とみなされます。代襲相続人となる孫がいるときは、第二順位の父母(直系尊属)と第三順位の兄弟姉妹は相続人になることができません。 被相続人に子がなく、父母も既に死亡している場合は、兄または弟(姉妹)が相続人になります。兄弟が既に死亡しているケースでは、その子であるおい(またはめい)が兄弟に代わって相続人になります。この場合、おいが「代襲相続人」であり、死亡した兄弟が「被代襲者」となります。「代襲相続人」となるべきおいも既に死亡していた場合は、再代襲は認められず、おいの子は相続人になりません。子の代襲相続人になるべき孫が死亡していた時は、ひ孫がというように再代襲が繰り返し認められますが、兄弟姉妹の代襲は、おいかめいの段階で打ち切られます。 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 住居売却の免税範囲| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 住居売却の免税範囲 2007年10月15日 質問: 住居売却益が免税扱いとなる範囲について教えてください。 答え: 「主たる住居」の売却益は、独身25万ドル、夫婦合算申告50万ドルまでが免税扱いとなります。免税のための「所有条件」と「居住条件」の2条件を満たす必要があります。 主たる住居 「主たる住居」を売却して得たキャピタル・ゲイン(売値から譲渡費用、取得費、改築費を差し引いた後の譲渡所得のことで、譲渡益、売却益とも呼ばれる)は、独身25万ドル、夫婦合算申告50万ドルまでについて、連邦所得税および州所得税が免税(非課税)となります。「主たる住居」とは、本人と家族が日常的に生活を営んでいる居所のことです。免税限度額を超えた譲渡益は、連邦税15%のキャピタル・ゲイン税率が、州税は通常の税率が適用されて課税されます。売却損が生じた場合、他の所得との損益通算は認められません。「主たる住居」以外の不動産、たとえば2軒目の住居や別荘、投資不動産などを売却した場合に生じる譲渡益は、全額が課税対象となります。 免税の条件 免税扱いを受けるためには、次の二つの条件を同時に満たす必要があります。 「所有条件」――売却前の5年間のうち2年間、納税者本人が住居の所有権を有していた 「居住条件」――売却前の5年間のうち2年間、納税者本人の主たる住居として実際に日常的に使用していた 「所有条件」を満たすためには、不動産登記上、納税者本人名義でなければなりません。既婚者の場合、一方の配偶者名義であっても、夫婦の両方が「居住条件」を満たして夫婦合算申告を適用すれば、50万ドルまでの免税措置が受けられます。 所有する二つの住居を交互に使っている場合、次の点を考慮して「主たる住居」を決定します。 1 年間の過半数の使用日数 2 雇用主の場所 3 家族の日常的居所 4 連邦税・州税申告書上の住所 5 取引銀行の場所 6 運転免許証・車の登録証の住所 7 請求書等の住所 8 市民活動の場所(教会、スポーツクラブ等) 免税の適用範囲 この免税措置は、住居売却から2年が経過した後であれば、「所有条件」と「居住条件」の2条件さえ満たせば、一生に何回でも利用することが認められます。日本へ帰国して非居住者となってから米国の持ち家を売却する場合をはじめ、非居住者の身分で滞在して米国内の住居を売却する場合(10%源泉徴収税の対象)や、日本からの転勤で米国居住者となってから日本の住居を売却する場合、また永住権保持者が外国在住中に住居を売却する場合にも、2年間の「所有条件」および「居住条件」さえ満たしていれば、所得除外による免税措置が適用されます。 免税の報告方法 住居の売却益が限度額(25万ドル/50万ドル)以下であるため全額免税となる場合、取引や金額を申告書で報告する必要はありません。限度額を超える売却益の場合は、スケジュールD(Capital Gains and Losses)に取引の詳細(取得日、売却日、売値、取得費、キャピタル・ゲイン)と「税法121条による免除」(Section 121 exclusion)の記述と金額を記入して、申告書フォーム1040に添付して提出します。 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- バランスシート 2 バランスシートの指標| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > バランスシート 2 バランスシートの指標 2013年2月5日 「鬣(たてがみ)さん、続けてバランスシートの重要な指標を見ていきましょう。まず、会社にとって最も重要な財産であるの現金からです。現金は、自分の純資産とほぼ近いことが理想です。自分の純資産とは、資本金と未処分利益の合計です。貴社ではどうなっていますか?」譲謙(ゆずけん)は鬣に聞いた。 鬣は「ふーん、現金が$100で純資産が$60+$80で$140だ。」 「その通りです。ここでは、売掛金も現金と同じと考えると現金の合計は$100+$20で$120と考えられます。ほぼ、現金と純資産が近いので、このバランスシートは正しいものと推定できます。次に自己資本比率を計算してみましょう。自己資本比率は、自己資本の総資本に占める割合をいいます。自己資本とは先ほどの純資産です。総資本は自己資本と他人資本(=借金)の合計です。この比率が高いほど会社の貯金が多いことを示しています。」 「ほほう、そうすると、さきほどの純資産の$140を総資産とやらの借金($10+$50)と純資産$140の合計$200で割ったものか?70%となるな?」 「その通りです。70%とは非常に高い水準です。自己資本が充実していると言えます。」 「次に流動比率です。流動比率は、流動資産と流動負債の比率をいいます。これにより、財務ポジションが分かります。もしも1未満であれば、会社はかなり資金繰りに困っていることを意味します。」 「なるほど、流動資産$150を流動負債$10で割るのだな。それでは15だ。」 「流動比率が4以上となるとかなり資金は安定していることになります。これまでの指標を総合評価すると、鬣さんの会社は、大変の財務体質が強いといえると思います。 現金 $100 短期借入金 $10 売掛金 $20 流動負債合計 $10 棚卸資産 $30 長期借入金 $50 流動資産合計 $150 資本金 $60 固定資産 $50 未処分利益 $80 資産合計 $200 負債資本合計 $200 <解説>謙譲は、現金が純資産とほぼ近いことが望ましいと言っていましたが、それでは現金はどれくらいあれば安心なのでしょうか?これは、年間の経費の3年分と言われることがあります。3年分などは、そう簡単に貯まるものではありませんが、これだけ現金があれば、3年売上げがなくても会社は継続することができ、その間に必ず次の勝機につなげることができることになります。 齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 新しい会計のルール| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > 新しい会計のルール 2015年7月27日 「譲謙(じょうけん)さん、今年はずいぶん新しい会計のルールが出たみたいじゃが、ちょっとまとめてくれんかの?」会計コンサルタントの譲謙は、会社社長の鬣(たてがみ)の質問に答えた。 「はい、わかりました。公表されたナンバー順に説明したいと思います。 2013-04、共同債務の表示方法。今まで、共同で借入をしていた場合の表示方法が不明であったものを明確にしました。 2013-06非営利団体が関係団体のスタッフからサービスを受ける場合には、原則としてコストで計上することになりました。 2013-07、清算基準をどのようなタイミングでどのように適用するかを明確にしました。2013-11、税務上の繰越欠損金が存在する場合の未認識の税務上の便益の表示方法は、原則として繰越欠損金の繰延税金資産の控除項目として取り扱うことになりました。 2013-12、首尾一貫性のなかった公開会社の定義を次のように規定しました。SECの要件を満たした会社、1934年の証券取引法に該当する会社、証券をマーケットで取引されている会社。 2014-01、適格な手頃価格住宅プロジェクトに投資した場合の会計処理方法では、実行利回り法を適用できるようになりました。今までは持ち分法か原価法しか選択の余地がありませんでした。 2014-02、“のれん”すなわち営業権は、非公開会社については10年以下で償却ができるようになりました。減損テストもその前兆があった場合にのみ実施すればよいことになり、その方法もワンステップ方式でよくなりました。2014-03、非公開会社は、ごく単純な金利スワップの場合のデリバティブ会計処理は、公正価格ではなく、決済価格で処理をきるようになりました。 2014-05、空港、道路や橋などの運営を引き受けた場合の営業権の会計処理は、リースとして会計処理できなくなりました。 2014-07、一般的なリース契約下にある変動持分に対する会計処理は、非公開会社については、連結の範囲から外してよいことになりました。 2014-08、業務を停止した部門(ディスコンテニュド オペレーション)の会計処理では、業務停止の意味を明確にしました。 2014-10、開業準備会社(デベロップメントステージカンパニー)。この会計基準は削除されました。これは連結での例外を省きリスクと不確実性を公開するためです。 2014-15、企業継続性に関する開示。継続性に問題があると見える会社が継続企業として開示するには、レポートが発行されてから少なくとも1年間のサポートが経営者には必要とされます。 2014-17、買収先の会社のプッシュダウン会計が認められるようになりました。 2014-18、非公開企業のみですが、連結時の無形固定資産の測定について、カスタマー関係の資産や競業避止義務などは営業権から分離しなくてよくなりました。 2015-01、特別損益項目(Extraordinary)が削除されました。アメリカの基準では特別損益なるものは会計上存在しなくなりました。」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saikos.com ):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- アメリカの個人税申告書の流れ| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > アメリカの個人税申告書の流れ 2019年11月15日 アメリカの個人税申告書の流れ 「譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)さん、日本の友達がアメリカに進出しようとしてるのじゃが、気を付けなければならない点を教えてくれんか?」 会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢(通称、譲謙ゆずけん)に尋ねた。 「そうですね。アメリカでの駐在員の税務は特殊です。まずは、アメリカの個人税申告書の基本的な流れをお話します。」 「おう、よろしく頼む。」 「アメリカの個人税の申告書の流れは次のようになっています。 まず① 総所得の計算(Gross Income)を行います。給与所得、利子所得、配当所得、年金所得、キャピタルゲイン譲渡所得などの全ての所得を合算します。 次に②所得調整額(Adjustments)を計算し、総所得に調整を行います。例えば個人事業税、個人事業年金繰入額、個人年金繰入額などです。 次に③調整後所得の計算(Adjusted Gross Income)を行います。これは先の①から②を差し引いて計算します。 次に④所得控除額の計算(Deduction)を行います。標準控除または項目別控除の大きい方の所得控除を選びますが、2018年の税法の改正により標準控除の金額が大幅にアップされたことの対して、項目別控除の項目が大幅に制限されたため、標準控除をとるケースが圧倒的に多くなりました。 次に⑤課税所得(Taxable Income)の計算をします。先の③調整後所得から④所得控除額を差し引いて課税所得を計算します。 次に⑥税額の計算(Tax)をします。先の⑤課税所得に税率をかけて税額を計算します。税率は10%から37%の累進税率になっています。 次に⑦税額控除(Tax Credits)の計算をします。外国税額控除、子女税額控除など税額控除を計算します。 次に⑧最終税額(Final Tax Liability)の計算をします。先の⑥税額から⑦税額控除を差し引いて最終税額を計算します。 次に⑨前払税金(Tax Payments)の計算をします。源泉徴収税額や予定納税額を合計して前払税金の金額を計算します。 最後に⑩納税額(Tax Due)また還付額(Tax Refund)の計算をします。先の⑧最終税額から⑨前払税金の金額を差し引いて納税額または還付額を計算します。」 「結構複雑じゃのう。頭がいっぱいいっぱいなので今回はこれくらいにしておいてくれ。」 「そうですね。次回は駐在員の給与計算のサイクルを解説したいと思います。」 米国公認会計士齊藤事務所 ( www.saitollp.com , info@saitollp.com ):齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 日本の相続37 生命保険金と相続税| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 日本の相続37 生命保険金と相続税 2021年4月12日 日本の相続37 生命保険金と相続税 死亡を原因として支払われる生命保険金は、亡くなった人が生前から所有していた財産(遺産)ではなく、契約上受取人として指定された相続人の固有の財産であり、民法上遺産には含まれません。そのような生命保険金は遺産分割協議の対象にはなりません。また、相続放棄をしても生命保険金を受け取ることができます。ただし、相続税法上は取り扱いが異なります。被相続人が保険料を負担していた契約については相続税の計算上はみなし相続財産とされて、相続税の課税の対象となります。 本来は相続財産ではないが、被相続人の死亡を原因として、相続人のもとに入ってきた財産を税法上みなし財産として課税対象とするものに次があります。 ● 死亡保険金(生命保険金・損害保険金)-被相続人が保険料を負担したもの。生命保険金は法定相続人一人につき500万円が非課税となります。 ● 死亡退職金、功労金、弔慰金-死亡後3年以内に支給が確定したもの。法定相続人一人につき500万円が非課税となります。 ● 生命保険契約に関する権利-保険契約者・受取人が死亡して被保険者が生存の場合に継承される権利 ● 個人年金など定期的に現金が給付される定期金の権利 ● 遺言によって受けた利益(借金の免除など) 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 新連結会計基準 3| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > 新連結会計基準 3 2008年12月17日 Q.v来年度より米国の会計基準は新連結会計基準が適用になると聞きましたが、国際会計基準とはどのような違いがあるのでしょうか? A.米国会計基準第141号の改訂版と改訂版国際会計基準第3号は米国会計基準審議会(FASB)と国際会計基準審議会(IASB)が連結会計による財務報告を共同で改良した結果公表されました。2002年にFASBとIASBは国内でも海外でも適用できる一般的で普遍的な連結基準を設定することを目的とした買収法(Acquisition methodかつてのPurchase method)の適用方法の改良するにあたって、共同作業を行うことに合意しました。両者はほとんどの部分で同意に至りましたが、幾つかの部分で異なる結論となっています。 異なる結論のほとんどは、FASBが他の既存の米国会計基準との整合性を保つために生じたものか、国際会計基準との統一を目指すために議論が進行中か将来議論がなされるものとなっています。そのため、FASBではこれらの差をあえて残しました。以下差異について述べていきます。 1. 非営利団体への適用:米国会計基準では新連結会計基準は非営利団体には適用されませんが、国際会計基準ではそのような例外規定はありません。これはFASBでは非営利団体の買収合併の会計基準については現在議論が進行中であるためです。 2. 買収者の定義と買収者の明示:FASBでは変動持分企業体の主たる便益受益者(Primary beneficiary)を除いて買収者を明示しなくてはなりません。変動持分企業体の主たる便益受益者は常に買収者です。主たる便益受益者は米国会計基準解釈指針(Interpretation)46号で定義されています。国際会計基準(IAS)第27号では主たる買収者という用語が使用されていますが、改定版国際会計基準(IFRS)第3号では主たる便益受益者が定義されていません。 3. コントロールの定義:米国会計基準では会計研究公報(ARB)第51号により、コントロールとは財務的な持分の支配を意味します。国際会計基準ではコントロールとは企業の財務および経営を支配する力をいい、それによって便益を得ることをいいます。 4. 公正価値の定義:公正価値の定義は米国会計基準では第157号によって定義されていますが、それによると通常の取引によって、資産の売却によって受取る可能性のある価格や負債の移転によって支払う可能性のある価格をいいます。国際会計基準では、現在別の作業が進行中ですが、現状では公正価値は適切な知識があり売買の意思がある第三者間による資産の交換金額または負債の決済金額をいいます。 5. オペレーティングリース:米国会計基準では被買収者がレッシー(リースを受けている方)であるかレッサー(リースをしている方)であるかに関わらず市場価格との比較において益や損がある場合、買収者は別建ての無形固定資産か負債を計上しなければなりません。国際会計基準では非買収者がレッサーでありリースアレンジメントによって市場価格との乖離がある場合には資産負債計上を求めています。被買収者がレッサーの場合には、リース資産自体を市場価格に変更するので、別建てで無形資産負債を計上する必要はありません。 6. コントール力がない株主の持分(かつての少数株主持分):米国会計基準では公正価値で測定し、その測定方法と重要な計算要素を開示する必要があります。国際会計基準では公正価値か簿価での計上の2つの方法を認めています。したがって、どちらの方法を採用したのか、また公正価値による場合にはその測定方法と重要な計算要素を開示する必要があります。 7. 偶発資産負債:米国会計基準では全ての契約上の偶発資産負債(契約偶発資産負債)を計上しなければなりません。また、米国会計基準コンセプト第6号に定義される資産負債に該当するその他の偶発資産負債で50%超の起こる確率があるもの(非契約偶発資産負債)は資産か負債の計上をしなければなりません。 これら以外の偶発事象は米国会計基準第5号に従って処理されます。国際会計基準では、過去の事象に起因し、信頼できる公正価値が測定できる場合に偶発債務を計上しなければなりません。その後の再評価は、米国会計基準では新しい情報に基づいて負債が簿価の計上金額を超える場合、資産は簿価を下回る場合にはそれぞれ評価をし直す必要があります。国際会計基準では偶発債務はその後ふくらんだ場合には、ふくらんだ金額で測定し直す必要があります。開示項目にはそれほど違いはありません。また、非契約偶発資産負債ですが、米国会計基準では50%基準について詳細な説明がありますが、国際会計基準にはそもそも非契約偶発資産負債という概念がないため記載はありません。 米国公認会計士 大島斉藤会計事務所 齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 支払利子控除| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 支払利子控除 2008年2月15日 質問:どのような借り入れの場合に、支払利子控除が認められるのか教えてください。 答え :支払利子控除が認められる借り入れは、住宅ローン、投資ローン、教育ローンの3種類です。住宅ローンと投資ローンは項目別控除として、教育ローンは所得調整控除として、それぞれ支払利子の控除が認められます。住宅ローンと投資ローンは、適格借入となるための条件を満たさない場合、消費者支払利子となり控除が認められません。 その他すべての個人消費目的の借入利子は、控除が認められません。 ただし、事業所得や不動産賃貸所得の計算上の必要経費としての支払利子は、控除が認められます。 住宅ローン 支払利子が控除の対象となる住宅ローンとして認められるためには、次の3つの条件のすべてを満たさなければなりません。 ● 住宅2軒まで ● 合計借入上限額が100万ドルまで ● 住宅を担保にした融資 (Mortgage loan) である 納税者が住んでいる主たる住居 (プリンシパル・レジデンス) ともう1軒 (セカンド・レジデンス)2軒分の住宅ローン支払利子の控除が認められます。 住宅ローンの借入上限額100万ドルまでの支払利子は全額控除の対象となりますが、100万ドルを超える金額分の支払利子は消費者支払利子と見なされ控除できません。 住宅を担保に供したローンでない場合、たとえば無担保の社内ローンを住宅購入資金とした場合などでは、その支払利子は消費者支払利子と見なされて控除は認められません。 通常、モーゲッジ銀行から年明けに送られてくるフォーム1098に記載された金額が支払利子控除として認められる金額です。 住宅ローンの契約に伴い、借り手が借入金に対してあらかじめ支払う割増利子であるポイントは、住宅ローン支払利子として借入年度に全額控除が認められます。第2住居のための住宅ローン取得ポイントは、ローンの返済期間にわたって、毎年小額ずつの控除の対象となります。 住宅の値上がり含み益を担保にして借り入れるホーム・エクイティー・ローンでは、借入上限額10万ドルまでは支払利子の控除が認められます。 投資ローン 株式や証券、ミューチュアル・ファンドなどの投資資産の購入、または維持を直接目的とした投資目的の借り入れの支払利子は、控除が認められます。ただし、控除が認められるのは、利子や配当、キャピタル・ゲインなどの投資所得の金額までになっています。投資所得を超過したため否認された投資支払利子は、翌年に繰延べられます。繰り延べ年数は無期限なので、控除が認められる投資所得が生じるまで何年でも、控除の恩典を保留できます。 投資支払利子は、フォーム4592で控除額を計算して、項目別控除スケジュールAと共に申告書フォーム1040に添付して提出します。まず、投資所得から支払利子以外の投資費用(例えば、証券投資顧問料、証券保管料など)を差し引いて、ネット投資所得を算出し、その金額を控除限度額とします。この場合の投資費用とは、2%の足切制限を超えて「その他項目別控除」として別途控除が認められた金額です。 教育ローン 教育ローンの支払利子控除は、年間2500ドルまでが所得調整控除の対象となります。大学や大学院、専門学校、職業訓練学校の授業料、教科書代などの学費、寮費、食費、交通費を支払うための借り入れで、納税者、配偶者または扶養家族の50%超パートタイム学生の教育費として支出していることが必要条件です。 高額所得者は所得レベルによる段階的削減規定の対象となります。所得が独身5万5000ドル、夫婦合算申告11万ドルを超えると段階的に減額し、独身7万ドル、夫婦合算申告14万ドルに達すると控除額はゼロとなります。 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 国境を越える贈与・相続 (14)| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 国境を越える贈与・相続 (14) 2011年8月15日 国境を越える贈与・相続 (14) 米国在住の米国籍の夫の死 米国籍の夫が遺言を遺して亡くなりました。ニューヨーク在住、国際結婚暦25年、生存配偶者はグリーンカードを保持する日本人と日米二重国籍の子二人。遺産は、米国にある不動産や銀行預金、401(k) プラン、ペンションなどです。このケースの場合、納税・申告を必要とするは、米国の遺産税だけです。日本の相続税の納税・申告は必要ありません。 米国の遺産税 (Estate Tax) は、故人 (被相続人) が遺した財産(遺産)の価値(時価評価額)に対して課税される税金であり、相続人 (生存配偶者と二人の子) の人数に関わりなく計算されます。財産を受け継ぐ遺族(相続人)に対する課税である日本の相続税 (Inheritance tax) の納税義務者とは逆で、被相続人(実際には遺産管理人・遺言執行人)が遺産税の納税義務者です。州 レベルの税制度が存在する場合があります。ニューヨーク州がその一例で、州遺産税の納税・申告も必要とします。 ネブラスカ州、ペンシルバニア州、ケンタッキー州、インディアナ州のように、遺産税のかわりに相続税を課す州があります。連邦遺産税の税率は、2011年、2012年18%~35%、2013年以降18%~55%の累進税率です。課税対象となる遺産の金額が基礎控除2011年、2012年500万ドル、2013年以降100万ドルを超える場合に税金が発生します。 夫婦間の財産移転を、無税で行う制度であるMarital deduction (婚姻控除、配偶者控除) は、相続を受ける側の配偶者の国籍が米国である場合にのみ適用されます。このケースは、受益者が永住権を保持する外国籍であるため、婚姻控除による非課税財産移転は認められません。QDOTと呼ばれる信託を利用すると、外国籍配偶者に遺される遺産に対して婚姻控除と同じ効果が得られます。 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 米国税務上の法人の清算について| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 米国税務上の法人の清算について 2022年8月8日 Q.米国税務上の法人の清算について教えてください。 A. 米国税法は米国法人が清算する際の課税関係について様々な規定を設けています。米国法人、特に、C-corporationが清算される際に適用される規定とそれぞれの課税関係について紹介します。 株式の売却扱い 米国法人の清算手続きは、一般的に、当該法人が株主に対して最終配当を行い、これに対し、会社株式の償還をすることによって行われます。米国税法上、例外規定(以下参照)が適用できる場合を除いて、このような取引は株主が法人株式を売却したとみなされます。従って、最終配当(現金またはその他の資産)が株主の株式原価を超過した場合は、売却益を認識することになります。株式原価が配当を下回る場合は売却損を認識します。法人株式取引の際に発生する売却益・損は一般的に譲渡所得または損(キャピタルゲインまたはロス)と取り扱われます。(以下、例1と例2を参照してください。) もし最終配当が現金以外の資産でなされた場合は、当資産の市場価格が、株主の売却益・損の決定のために用いられます。また、この際、配当した法人は当該資産を株主に売却したとみなされ、配当時に認識された資産原価と市場価格の差を法人が売却益または損と認識します。 法人清算の際、最終配当が複数回にわたって行われる場合もあります。その際は、株主は受領した配当が自己の株式原価を超えない限り、売却益を譲渡所得として申告する必要はありません。また、もし清算による売却損が予想される場合は、全配当が終了するまで、この損を認識することはできません。(以下、例3と例4を参照してください。) 最終配当の際、法人の債務も株主に移転された場合は、債務額の分は配当額の減額が可能で、株主が認識する売却益の減額か、場合によっては売却損が発生することになります。このルールは法人には適用されず、法人が現金以外の資産配当の際に発生する売却益・損の計算の際に、資産の市場価格を株主に移転される債務以下の金額とすることは禁じられています。もし、株主に移転される債務が税配当金額を超過した場合は、株主が法人に対し増資したとみなされます。 例外規定 もし清算配当を受領する株主が米国法人であり、また当該法人が、清算される法人の株式の80%、またはそれ以上(米国歳入法第1504条の規定に基づいて決定)を保有する場合、株主法人に課税関係は発生しません(米国歳入法第332条による非課税清算)。この場合、株主法人が受領する資産の原価は、清算法人のものが引き継がれます。 申告手続き 法人の清算計画が最終決定された際、清算される法人は、その旨を米国内国歳入庁に報告する必要があります。これはForm 966によって行われます。また、配当金額などの内容もForm 1099-DIVで、株主と米国内国歳入庁に申告する必要があります。また、清算される法人の株主も、税法上大株主とみなされた場合、清算配当の内容を各自の申告書で開示する必要があります。 法人がLLCに変換された場合 法人がLimited Liability Corporation(LLC)に変換された場合、株主が複数の場合、変換後、LLCは税務上はパートナーシップとして取り扱われることがあります。従って、変換時、当該法人は清算されたとみなされ、上述に説明した課税関係が発生します。また、新LLCは法人の株主が清算配当された資産を投資することによって設立されたと考えられます。法人清算時に、株主が売却益・損を認識するため、当該株主によって新LLCに投資された資産原価は市場価格(ステップ・アップ)が用いられます。法人からLLC へ返還は上述以外の方法もあります。 以上に説明したルールについて、具体例を挙げて説明します。 例1: X 法人はAとBの二人の株主に保有され、10万ドルの現金を資産として保有しています。債務はありません。AとBはそれぞれ30%および70%のX株式を保有し、A保有のX株式原価は2万ドル、B保有のX株式原価は9万ドルです。X法人の清算の際、XはA に3万ドル、またBに7万ドルを配当することに決定しました。上述に紹介したルールの基、Aは1万ドルの売却益、Bは2万ドルの売却損を認識します。 例2: 例1の事実の中で、Xの債務をゼロから5万ドルに変更します。その際のAは5千ドルの売却損、Bは5万5千ドルの売却損を認識します。 例3: 数年前、BはX法人の株を2万ドルで購入しました。2019年度にX法人の清算計画が決定され、この計画により、Bは2019年6月1日に1万5千ドル、2020年6月1日に1万5ドルの最終配当金を受領しました。2019年に受領した1万5千ドルはBのX株式原価の2万ドルを上回らなかったため、当該原価が配当金額分減額されるだけで、課税関係(売却益の認識)は発生しません。しかし、2020年に受け取った配当金額はX株式原価(5千ドル)を超過した部分、X株式の売却益(一万ドル)と認識され課税されます。 例4: 数年前、BはX法人の株を2万ドルで購入しました。2019年度にX法人の清算計画が決定され、この計画により、Bは2019年6月1日に5千ドル、2020年6月1日に5ドルの最終配当金を受領しました。2019年に受領した5千ドルはBのX株式原価の2万ドルを上回らなかったため、当該原価が配当金額分減額されるだけで、課税関係(売却益・損の認識)は発生しません。2020年に受け取った配当金額もX株式原価(1万ドル)を超えなかったためBは1万ドルのx株式売却損を認識します。 シニアタックスアドバイザー 佐藤仁美 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- やさしい会計講座 2| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 会計相談室 < 前の記事 次の記事 > やさしい会計講座 2 2012年5月29日 第2回「会計組織の基礎は流れをスムーズに」 ニューヨークで、日系企業を中心にコンサルティング業を行っている譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、譲謙(ゆずけん))は様々な会社の会計コンサルテーションを手がけている。 今日は、先月の会計セミナーに来ていた恵が譲謙のオフィスに訪ねて来た。恵は「会計組織を構築するためにはどうすればよいのでしょうか?」と切り出した。譲謙は「まず、会計組織を知るためには、会社の主な業務の流れを把握する必要がある」と言った。恵は自分の会社のメインの業務を頭に思い浮かべ、思いつくままに言ってみた。「まず、商品の発注をし、その商品がきたら検品をして、仕入れの処理をします。それから、注文を受けていたお客様に商品を出荷し、お客様に商品の請求書を発行し、回収します。最後に仕入先に仕入れ代金を支払います」。 譲謙は「その通り。次に、その流れをグループ分けしてみよう」と言った。恵は「まず、商品の発注から仕入れまでが1つのグループで、お客様への発送と売上代金の回収がもう一つのグループかしら?」「そうだね。ただ、仕入れと売上げのグループは、それぞれ全く別々のグループではなくて売上げた瞬間に売上げとそのコストが同時にたつことで両者は結びついている。会計組織では、これらのグループの全ての取引が最初から最後まで一つの流れとしてスムーズに結びつく必要がある」と譲謙は言った。 「一つの流れですか?」何のことだろう。何だかわかったようなわからないようなことを譲謙が言い出したので、恵の頭の中はぐるぐる回りはじめた。 <解説> 仕入れのグループ(または仕入れサイクル)では、発注書から始まり、仕入伝票、棚卸資産元帳や買掛金の記帳、および支払いまで、多岐に渡る取引やインプットが必要です。売上げグループも同様です。 会計組織の構築では、これらの関係のある取引やインプットの流れをおさえ、その流れが全てスムーズに結びついていることが重要です。会計組織がうまく機能していない場合には、取引の実態が会計組織にうまく結びついておらず、スムーズな流れができていないケースがほとんどです。ただし、ここでいう取引の実態とは経営者がこうありたいと思う取引実態をいいます。 米国公認会計士齊藤事務所:齊藤幸喜 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- グリーンカードかアメリカ市民権か| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > グリーンカードかアメリカ市民権か 2002年11月20日 Q : グリーンカード(永住権)保持者です。アメリカ市民権を取得せずグリーンカードのままでいると、配偶者死亡時の遺産相続の際に不利になると聞きましたが、どういうことですか? A : グリーンカード保持者とアメリカ市民とで、税法上で異なるのが、配偶者間の財産の移転にかかる贈与税(Gift Tax)、および遺産税(Estate Tax)の取り扱いです。 アメリカ市民である場合、配偶者間の贈与および相続は、贈与税も遺産税も一切関係なく非課税となっています。税法上、婚姻控除(Marital Deduction)と呼ばれ、法的婚姻関係にある夫婦間の財産移転は、生前、死亡時を問わず、税金が一切かからずに行うことができるという規定です。この規定は、財産の贈与または相続を受ける配偶者の国籍がアメリカである場合にのみ適用されます。贈与する側、遺産を遺す側の配偶者が、アメリカ人であるかグリーンカード保持者であるかということは、一切無関係です。 日本の法律 日本の法律では夫婦間の相続は、法定相続分の2分の1、または1億6000万円(2002年現在)のいずれか多額な方の金額を非課税扱いにすることが認められています。従って、生存配偶者は、子など、ほかの相続人と比べてはるかに多額の無税相続が可能です。しかし、まったく税金がかからずに夫婦間の財産移転ができるアメリカと比べると、限度額のある日本の方が税負担が重いといえます。 アメリカの市民権がない場合 アメリカ市民権がなく、グリーンカードや、そのほかのビザを持つ外国籍の配偶者への贈与は、米国税法上、年間10万ドルの特別非課税枠が定められています。年間10万ドルを超える贈与を、非市民配偶者に対して行った場合には、生涯贈与非課税の枠(100万ドル)を使って、その超過分についても課税を免れることできます。 ただし、遺産相続に関しては、アメリカの市民権を有する生存配偶者のみ、全額非課税で遺産を受け取ることができます。遺産相続を受ける生存配偶者が、グリーンカードや、そのほかのビザ保持者である場合は、一定の非課税枠までの遺産は課税されませんが、超過額はアメリカ遺産税がかかります。 アメリカの遺産税 アメリカの遺産税は死亡者が遺した遺産に課される税金です。アメリカの遺産税の計算は、日本の相続税の計算のように各相続人ごとに行うのではなく、相続財産の総体で行います。生存配偶者がグリーンカード、そのほかのビザで、外国籍保持者の場合、その配偶者や子などの相続人の間の遺産分割は遺産税の総額に影響を与えません。一方、生存配偶者が米国市民の場合は、その配偶者への分割遺産に対しては、上述の婚姻控除の適用により、遺産税が発生しません。従って、遺産分割が遺産税の総額に影響を与え、配偶者の取得財産額によって遺産税の総額が変わってきます。 婚姻控除による夫婦間の無税贈与および相続という観点だけからは、グリーンカードでいるよりもアメリカ市民権を取得した方が有利といえます。しかし、アメリカの贈与税・遺産税は、アメリカ市民以外の場合にも、日本と比べてはるかに多額の非課税枠が定められていて、その規定を利用するだけで税金を最小限に抑えることが可能ですから、わざわざグリーンカード保持者がアメリカ市民権を取得する必要はないわけです。 婚姻控除を利用して無税贈与・相続を行っても、生き残った配偶者の死亡によって、子や孫などが遺産相続する時点で、多額の遺産税を納付しなければならないのであれば、せっかく婚姻控除の恩典を利用した意味がないことになります。大切なことは、いかに上手に相続対策をしてそれを実行に移すかということです。 各種の信託の活用 グリーンカード保持者でも、各種の信託(Trust)を活用することにより婚姻控除と同様の扱いを受けることも可能です。適格内国信託(Qualified Domestic Trust)を設立してアメリカ国籍を有しないグリーンカード配偶者の死亡時にアメリカの課税が保証されるのであれば、その配偶者に対しても婚姻控除が認められます。 アメリカ市民権があっても無策でいるよりも、グリーンカードの方がはるかに有利な結果を得ることができる相続税対策を用意することの方が重要と言えます。有効手段として前述の適格内国信託のほかに、生命保険信託、バイパス信託などの検討が勧められます。 米国公認会計士 大島襄会計士事務所所長 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 婚約者Kビザと税金| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 婚約者Kビザと税金 2019年9月9日 婚約者Kビザと税金 K-1ビザは、アメリカ在住の米国市民と結婚することを前提として、海外に在住する婚約者がアメリカへ入国するためのビザです。永住権取得を前提としているため、K-1ビザ審査には永住権取得と同等の厳しさが伴います。K-1ビザの条件は、米国内にいる一方の婚約者が米国国籍保持者であること、そして他方の外国人婚約者が外国にいることです。入国は1回限りであり、他のビザへの変更はできません。入国後は婚約者と90日以内に結婚し、永住権への変更手続きを行わなければなりません。 Kビザ保持者は、「実質滞在条件」を適用計算した米国滞在日数が183日を超えていれば居住外国人となり、超えていなければ非居住外国人となります。12月31日現在、まだ結婚届けを出していない独身の場合、米国滞在日数は90日未満であるため、税法上の身分は非居住外国人となります。すなわち、米国源泉所得がある場合にのみ所得税の申告を必要とします。日本源泉所得などの外国所得は非課税であり、報告義務もありません。 結婚届けを出して12月31日現在既婚者になると、その年度以降、夫婦合算申告、または夫婦個別申告のうち、毎年いずれか有利な申告資格を適用して税金を計算することができます。夫婦合算申告は、一方の配偶者だけに所得があり、他方の配偶者に全く所得がなくても適用可能であり、個別申告よりも税金が低く計算されるため大変有利な申告資格です。配偶者の身分が非居住者の場合でも、選択により居住者として扱って夫婦合算申告を適用することが認められます。 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 日本にある不動産の賃貸| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 日本にある不動産の賃貸 2007年12月10日 質問: 米国在住の日本人です。日本の持家を人に貸していて、レントは日本の銀行に毎月入金されます。その際、20%の源泉徴収税が差し引かれています。日本と米国での税金の正しい取り扱いについて教えてください。 答え: 米国居住者である日本人が、日本に所有する不動産を賃貸してレント収入を受け取る場合、日本と米国の両国で確定申告をする義務があります。今回は日本での課税を説明します。 日本の源泉徴収 非居住者(日本に住所のない海外在住者)の所得のうち、日本国内で発生した賃貸所得については、日本の所得税法が適用となり、一定以上(20万円超)の金額の場合、毎年確定申告をしなければなりません。賃借人が法人の場合、非居住者へ支払われる不動産賃貸料は、20%の税率で源泉徴収する義務があります。 個人の賃借人から不動産賃貸料が支払われる場合は、源泉徴収税が課税されずに賃貸料の全額を受け取ります。20%源泉徴収税が差し引かれている場合も、源泉徴収されずに賃貸料を全額受け取っている場合も、確定申告を必要とします。源泉徴収税は最終的な税金ではなく、確定申告をして精算しなければなりません。計算結果によっては還付となる場合と追加税金の支払いとなる場合とがあります。 確定申告 家やアパート、マンション、土地などを貸したり、月極駐車場を経営している人は、「所得税収支内訳書(不動産所得用)」に明細を記入して、申告書Bに添付して提出します。不動産所得は1月1日から12月31日までに得た家賃や地代の総収入金額から必要経費を引いて求めます。不動産所得が赤字になった場合、他に所得がなければ税金はゼロとなります。他に報告する所得があれば、赤字を差し引く(損益通算する)ことができて税金が低くなります。非居住期間に確定申告の必要がある海外勤務者は、出発の日までに納税管理人を選任して税務署に届け出ることが勧められます。納税管理人とは、確定申告書の提出や税金の納付などを非居住者に代わって行う人のことです。 賃貸収入 不動産所得の収入として、賃貸料、礼金、更新料が含まれます。敷金や保証金などは、入金があってもいずれ借り主に返還する予定のあるため収入になりません。ただし、返還する必要がなくなった時点で収入に計上します。 必要経費 必要経費とは、不動産所得を得るために必要とした支出のことです。管理費、固定資産税、火災保険料、修繕費、支払利子、広告宣伝費、周旋手数料、減価償却費(建物部分、家具)などがその例です。土地を買うために借入れをして、その利子で赤字になった部分は、ほかの所得から引くことはできません。土地購入のための支払利子があるときは、按分計算を行ない、土地購入のための支払利子を損益通算の対象からはずします。なお、借入金額が建物の取得価格よりも高い場合は、その超えた部分を土地購入のための借入金とみなします。 減価償却 不動産は、使用に耐えられなくなるまで収入を上げるために役立つことから、賃貸を開始した年度に建物取得費の全額を必要経費として控除することは認められず、建物の耐用年数にわたって費用化(減価償却)していかなければなりません。木造22年、木造モルタル20年、鉄筋コンクリート47年と、建物の種類ごとに規定された耐用年数を使って、定額法で減価償却費を計算します。 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 日本の相続26 相続人の不存在| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 日本の相続26 相続人の不存在 2021年1月25日 日本の相続26 相続人の不存在 天涯孤独の人が遺言を残さず死亡し、相続人がいないことがあります。身寄りがない人が亡くなり、自分の死後財産をどうするかという遺言を残していなかった場合、財産は一体誰のものになるのでしょうか。 まず、利害関係人(被相続人と何らかの関係があった人)あるいは検察官の請求により、家庭裁判所が相続財産管理人を選任します。相続財産管理人は、相続財産の管理や負債の清算をして、債権者や受遺者に対して請求催告の公告をします。また、一定公告期間を定めて不明の相続人を捜索し、期間内に相続権利の主張の名乗りがなされなければ、管理人に知れなかった相続人、相続債権者、受遺者は権利を失い、相続人不在が確定します。 次に家庭裁判所が「特別縁故者」からの申し立てを受け付けます。「特別縁故者」とは生計を同じくしていた内縁の妻や事実上の養子、療養看護に努めた親族・知人・看護士などです。内縁の妻は相続できないのが常ですが、相続人がいない場合で「特別縁故者」と認められれば財産の一部または全部が分与されます。 家庭裁判所の審判により相続管理人の報酬が決定され、精算・分与後なお残余財産があれば、国庫に帰属します。 米国公認会計士 大島襄 < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る
- 短期滞在者免税| 米国公認会計士 Saito LLP
T opics 税金相談室 < 前の記事 次の記事 > 短期滞在者免税 2007年7月20日 質問: 日本の会社から出張の形で米国に滞在しています。滞在が長くなると米国で税金がかかると聞きましたが? 答え: 長期出張や研修のため日本から派遣されて米国に滞在する日本人は、合計滞在日数が183日以下で一定条件を満たすと、日米租税条約の「短期滞在者免税」の適用を受けて、給与にかかる連邦所得税が免除されます。滞在日数が183日を超えるなど一定条件を満たさない場合は、入国日に遡って給与が課税対象となります。 米国の税法上、外国人は非居住者または居住者に区分されます。どちらに該当するかによって、課税対象となる所得の範囲が異なり、認められる控除の種類や適用される税率に違いがあります。非居住者は、米国源泉所得だけが連邦所得税の課税対象になるのに対して、居住者は米国源泉、外国源泉の区別なく年間に得たすべての所得が課税対象となります。 居住者・非居住者の別は、原則としてビザの種類によるのではなく、「実質滞在条件」と呼ばれる183日を基準とした税法規定が適用されて、滞在日数の長短によって判定されます。「実質滞在条件」を満たして183日を超えた場合は居住者、183日以下の場合は非居住者と判定されます。非居住者と判定された日本人が、さらに日米租税条約第14条の「短期滞在者免税」の4条件を満たすと、連邦所得税の課税が免除されます。 日米租税条約第14条の「短期滞在者免税」の4条件は次の通りです。 1.日本の税法上、日本の居住者である 2.米国での合計滞在日数が183日以下である 3.報酬は日本法人から支払われる 4.報酬が日本法人の米国支店によって負担されない 1は、住民票上の住所が日本にあり、日本の居住者として納税していることが条件です。ビザの種類に関係なく日本本社に属したままの長期出張者や研修生、駐在員事務所に勤務する日本人を含みます。 2は、暦年内の入国日から出国日までの滞在日数が183日以下である場合、または、年を越えて(2暦年にわたって)滞在したときの合計滞在日数が183以下である場合に、当条件を満たします。日数の計算は、物理的に存在する日を基準として算出し、入国日や出国日、祝日、休日などが含まれます。2004年まで有効であった旧日米租税条約では、183日ルールが暦年単位で計算することが認められていたため、合計滞在日数が183日を超えても、年をまたがって滞在することによって各暦年中の日数が183日を超えていない限り課税対象とならず、両年とも全額免税扱いとなっていました。 3は、給与を支払う雇用主が日本法人であることが必要条件です。日本からの出張者や研修生が、現地法人子会社などの米国法人から給与が支給されると短期滞在者免税は適用されなくなります。 4は、雇用主である日本法人が米国に支店を有する場合、給与が米国支店によって負担されないことが求められます。すなわち、米国支店の帳簿上、費用計上されないことであり、日本本社から直接、出張者に対して給与が支給さる必要があります。 上記の租税条約の4条件をひとつでも満たさない場合は、非居住者の米国源泉給与に連邦所得税が課税されます。例えば、現地法人子会社または日本法人の米国支店から支給された給与を受け取る日本人は、滞在期間が短くても、短期滞在者免税の適用を受けられず、支給額のすべてが課税対象となります。長期出張者の滞在予定が変更となり、 滞在日数が183日を超えた場合も、免税の適用は受けられず、入国日に遡って給与が課税対象となります。場合によっては、居住外国人と判定されて、全世界所得が連邦所得税の課税対象となります。 租税条約は連邦税だけに適用となり、州税や地方税には適用されません。従って、租税条約の「短期滞在者免税」の規定によって連邦所得税が免税になっても、州所得税や市所得税が免税になるとは限りません。州・市所得税の計算上、連邦所得税申告書の金額(ゼロ)を出発点とするため、事実上無税の立場を採っています < 前の記事 次の記事 > 最新トピックスに戻る

















