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会計相談室

2019年11月15日 17:00:00

アメリカの個人税申告書の流れ

Inage Hawaii

アメリカの個人税申告書の流れ


「譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)さん、日本の友達がアメリカに進出しようとしてるのじゃが、気を付けなければならない点を教えてくれんか?」

会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢(通称、譲謙ゆずけん)に尋ねた。

「そうですね。アメリカでの駐在員の税務は特殊です。まずは、アメリカの個人税申告書の基本的な流れをお話します。」

「おう、よろしく頼む。」

「アメリカの個人税の申告書の流れは次のようになっています。


 まず① 総所得の計算(Gross Income)を行います。給与所得、利子所得、配当所得、年金所得、キャピタルゲイン譲渡所得などの全ての所得を合算します。

 

 次に②所得調整額(Adjustments)を計算し、総所得に調整を行います。例えば個人事業税、個人事業年金繰入額、個人年金繰入額などです。


 次に③調整後所得の計算(Adjusted Gross Income)を行います。これは先の①から②を差し引いて計算します。


 次に④所得控除額の計算(Deduction)を行います。標準控除または項目別控除の大きい方の所得控除を選びますが、2018年の税法の改正により標準控除の金額が大幅にアップされたことの対して、項目別控除の項目が大幅に制限されたため、標準控除をとるケースが圧倒的に多くなりました。


 次に⑤課税所得(Taxable Income)の計算をします。先の③調整後所得から④所得控除額を差し引いて課税所得を計算します。


 次に⑥税額の計算(Tax)をします。先の⑤課税所得に税率をかけて税額を計算します。税率は10%から37%の累進税率になっています。


 次に⑦税額控除(Tax Credits)の計算をします。外国税額控除、子女税額控除など税額控除を計算します。


 次に⑧最終税額(Final Tax Liability)の計算をします。先の⑥税額から⑦税額控除を差し引いて最終税額を計算します。


 次に⑨前払税金(Tax Payments)の計算をします。源泉徴収税額や予定納税額を合計して前払税金の金額を計算します。


 最後に⑩納税額(Tax Due)また還付額(Tax Refund)の計算をします。先の⑧最終税額から⑨前払税金の金額を差し引いて納税額または還付額を計算します。」


「結構複雑じゃのう。頭がいっぱいいっぱいなので今回はこれくらいにしておいてくれ。」

「そうですね。次回は駐在員の給与計算のサイクルを解説したいと思います。」


米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saitollp.com):齊藤幸喜

 

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