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税金相談室

2007年7月20日 22:00:00

短期滞在者免税

Inage Hawaii

質問: 日本の会社から出張の形で米国に滞在しています。滞在が長くなると米国で税金がかかると聞きましたが? 答え: 長期出張や研修のため日本から派遣されて米国に滞在する日本人は、合計滞在日数が183日以下で一定条件を満たすと、日米租税条約の「短期滞在者免税」の適用を受けて、給与にかかる連邦所得税が免除されます。滞在日数が183日を超えるなど一定条件を満たさない場合は、入国日に遡って給与が課税対象となります。 米国の税法上、外国人は非居住者または居住者に区分されます。どちらに該当するかによって、課税対象となる所得の範囲が異なり、認められる控除の種類や適用される税率に違いがあります。非居住者は、米国源泉所得だけが連邦所得税の課税対象になるのに対して、居住者は米国源泉、外国源泉の区別なく年間に得たすべての所得が課税対象となります。 居住者・非居住者の別は、原則としてビザの種類によるのではなく、「実質滞在条件」と呼ばれる183日を基準とした税法規定が適用されて、滞在日数の長短によって判定されます。「実質滞在条件」を満たして183日を超えた場合は居住者、183日以下の場合は非居住者と判定されます。非居住者と判定された日本人が、さらに日米租税条約第14条の「短期滞在者免税」の4条件を満たすと、連邦所得税の課税が免除されます。 日米租税条約第14条の「短期滞在者免税」の4条件は次の通りです。 1.日本の税法上、日本の居住者である        2.米国での合計滞在日数が183日以下である  3.報酬は日本法人から支払われる 4.報酬が日本法人の米国支店によって負担されない 1は、住民票上の住所が日本にあり、日本の居住者として納税していることが条件です。ビザの種類に関係なく日本本社に属したままの長期出張者や研修生、駐在員事務所に勤務する日本人を含みます。 2は、暦年内の入国日から出国日までの滞在日数が183日以下である場合、または、年を越えて(2暦年にわたって)滞在したときの合計滞在日数が183以下である場合に、当条件を満たします。日数の計算は、物理的に存在する日を基準として算出し、入国日や出国日、祝日、休日などが含まれます。2004年まで有効であった旧日米租税条約では、183日ルールが暦年単位で計算することが認められていたため、合計滞在日数が183日を超えても、年をまたがって滞在することによって各暦年中の日数が183日を超えていない限り課税対象とならず、両年とも全額免税扱いとなっていました。


3は、給与を支払う雇用主が日本法人であることが必要条件です。日本からの出張者や研修生が、現地法人子会社などの米国法人から給与が支給されると短期滞在者免税は適用されなくなります。 4は、雇用主である日本法人が米国に支店を有する場合、給与が米国支店によって負担されないことが求められます。すなわち、米国支店の帳簿上、費用計上されないことであり、日本本社から直接、出張者に対して給与が支給さる必要があります。 上記の租税条約の4条件をひとつでも満たさない場合は、非居住者の米国源泉給与に連邦所得税が課税されます。例えば、現地法人子会社または日本法人の米国支店から支給された給与を受け取る日本人は、滞在期間が短くても、短期滞在者免税の適用を受けられず、支給額のすべてが課税対象となります。長期出張者の滞在予定が変更となり、 滞在日数が183日を超えた場合も、免税の適用は受けられず、入国日に遡って給与が課税対象となります。場合によっては、居住外国人と判定されて、全世界所得が連邦所得税の課税対象となります。 租税条約は連邦税だけに適用となり、州税や地方税には適用されません。従って、租税条約の「短期滞在者免税」の規定によって連邦所得税が免税になっても、州所得税や市所得税が免税になるとは限りません。州・市所得税の計算上、連邦所得税申告書の金額(ゼロ)を出発点とするため、事実上無税の立場を採っています

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