税金相談室
2007年12月10日 23:00:00
日本にある不動産の賃貸
質問: 米国在住の日本人です。日本の持家を人に貸していて、レントは日本の銀行に毎月入金されます。その際、20%の源泉徴収税が差し引かれています。日本と米国での税金の正しい取り扱いについて教えてください。 答え: 米国居住者である日本人が、日本に所有する不動産を賃貸してレント収入を受け取る場合、日本と米国の両国で確定申告をする義務があります。今回は日本での課税を説明します。 日本の源泉徴収 非居住者(日本に住所のない海外在住者)の所得のうち、日本国内で発生した賃貸所得については、日本の所得税法が適用となり、一定以上(20万円超)の金額の場合、毎年確定申告をしなければなりません。賃借人が法人の場合、非居住者へ支払われる不動産賃貸料は、20%の税率で源泉徴収する義務があります。 個人の賃借人から不動産賃貸料が支払われる場合は、源泉徴収税が課税されずに賃貸料の全額を受け取ります。20%源泉徴収税が差し引かれている場合も、源泉徴収されずに賃貸料を全額受け取っている場合も、確定申告を必要とします。源泉徴収税は最終的な税金ではなく、確定申告をして精算しなければなりません。計算結果によっては還付となる場合と追加税金の支払いとなる場合とがあります。 確定申告 家やアパート、マンション、土地などを貸したり、月極駐車場を経営している人は、「所得税収支内訳書(不動産所得用)」に明細を記入して、申告書Bに添付して提出します。不動産所得は1月1日から12月31日までに得た家賃や地代の総収入金額から必要経費を引いて求めます。不動産所得が赤字になった場合、他に所得がなければ税金はゼロとなります。他に報告する所得があれば、赤字を差し引く(損益通算する)ことができて税金が低くなります。非居住期間に確定申告の必要がある海外勤務者は、出発の日までに納税管理人を選任して税務署に届け出ることが勧められます。納税管理人とは、確定申告書の提出や税金の納付などを非居住者に代わって行う人のことです。 賃貸収入 不動産所得の収入として、賃貸料、礼金、更新料が含まれます。敷金や保証金などは、入金があってもいずれ借り主に返還する予定のあるため収入になりません。ただし、返還する必要がなくなった時点で収入に計上します。 必要経費 必要経費とは、不動産所得を得るために必要とした支出のことです。管理費、固定資産税、火災保険料、修繕費、支払利子、広告宣伝費、周旋手数料、減価償却費(建物部分、家具)などがその例です。土地を買うために借入れをして、その利子で赤字になった部分は、ほかの所得から引くことはできません。土地購入のための支払利子があるときは、按分計算を行ない、土地購入のための支払利子を損益通算の対象からはずします。なお、借入金額が建物の取得価格よりも高い場合は、その超えた部分を土地購入のための借入金とみなします。 減価償却 不動産は、使用に耐えられなくなるまで収入を上げるために役立つことから、賃貸を開始した年度に建物取得費の全額を必要経費として控除することは認められず、建物の耐用年数にわたって費用化(減価償却)していかなければなりません。木造22年、木造モルタル20年、鉄筋コンクリート47年と、建物の種類ごとに規定された耐用年数を使って、定額法で減価償却費を計算します。