税金相談室
2007年10月15日 22:00:00
住居売却の免税範囲
質問: 住居売却益が免税扱いとなる範囲について教えてください。 答え: 「主たる住居」の売却益は、独身25万ドル、夫婦合算申告50万ドルまでが免税扱いとなります。免税のための「所有条件」と「居住条件」の2条件を満たす必要があります。 主たる住居 「主たる住居」を売却して得たキャピタル・ゲイン(売値から譲渡費用、取得費、改築費を差し引いた後の譲渡所得のことで、譲渡益、売却益とも呼ばれる)は、独身25万ドル、夫婦合算申告50万ドルまでについて、連邦所得税および州所得税が免税(非課税)となります。「主たる住居」とは、本人と家族が日常的に生活を営んでいる居所のことです。免税限度額を超えた譲渡益は、連邦税15%のキャピタル・ゲイン税率が、州税は通常の税率が適用されて課税されます。売却損が生じた場合、他の所得との損益通算は認められません。「主たる住居」以外の不動産、たとえば2軒目の住居や別荘、投資不動産などを売却した場合に生じる譲渡益は、全額が課税対象となります。 免税の条件 免税扱いを受けるためには、次の二つの条件を同時に満たす必要があります。 「所有条件」――売却前の5年間のうち2年間、納税者本人が住居の所有権を有していた 「居住条件」――売却前の5年間のうち2年間、納税者本人の主たる住居として実際に日常的に使用していた 「所有条件」を満たすためには、不動産登記上、納税者本人名義でなければなりません。既婚者の場合、一方の配偶者名義であっても、夫婦の両方が「居住条件」を満たして夫婦合算申告を適用すれば、50万ドルまでの免税措置が受けられます。 所有する二つの住居を交互に使っている場合、次の点を考慮して「主たる住居」を決定します。 1 年間の過半数の使用日数 2 雇用主の場所 3 家族の日常的居所 4 連邦税・州税申告書上の住所 5 取引銀行の場所 6 運転免許証・車の登録証の住所 7 請求書等の住所 8 市民活動の場所(教会、スポーツクラブ等) 免税の適用範囲 この免税措置は、住居売却から2年が経過した後であれば、「所有条件」と「居住条件」の2条件さえ満たせば、一生に何回でも利用することが認められます。日本へ帰国して非居住者となってから米国の持ち家を売却する場合をはじめ、非居住者の身分で滞在して米国内の住居を売却する場合(10%源泉徴収税の対象)や、日本からの転勤で米国居住者となってから日本の住居を売却する場合、また永住権保持者が外国在住中に住居を売却する場合にも、2年間の「所有条件」および「居住条件」さえ満たしていれば、所得除外による免税措置が適用されます。 免税の報告方法 住居の売却益が限度額(25万ドル/50万ドル)以下であるため全額免税となる場合、取引や金額を申告書で報告する必要はありません。限度額を超える売却益の場合は、スケジュールD(Capital Gains and Losses)に取引の詳細(取得日、売却日、売値、取得費、キャピタル・ゲイン)と「税法121条による免除」(Section 121 exclusion)の記述と金額を記入して、申告書フォーム1040に添付して提出します。