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会計相談室

【アメリカでの会社設立】アメリカの事業形態

2026年6月14日

【アメリカでの会社設立】アメリカの事業形態

Q.アメリカに進出しようと考えていますが、初めて進出するときは、どの事業形態が進出しやすいのかを教えてください。また、時間をかけずに進出する方法があるのでしょうか?

 

A.日本から初めてアメリカに進出するならば、駐在員事務所、支店、株式会社などが進出する一般的な形態といえます。また、すぐにアメリカのマ―ケットに進出したい場合、現地の企業を買収(M&A)する方法もあります。

 

 はじめに、駐在員事務所または連絡事務所(Representative Office、以下Rep Office)について説明します。Rep Officeとは、駐在員のみが常駐する事務所のことです。つまり、駐在員がいるだけでそれ自体では会社としての機能を持たないため、営利活動は不可で棚卸資産も保持できません。進出方法としては非常に間接的ですが、マーケティングや本格的な進出の準備には適した形態です。しかもマーケティングや市場調査だけなら、連邦税は課されません。

 

 長所は、比較的お金がかからないことです。場合によっては設立登記なども必要なく、税務上の登録だけでも始められます。短所は法律面の守りが弱いことです。もし、Rep Officeが訴えられた場合、日本の本社がアメリカで訴えられたのと同じことになります。その場合、本社の責任者(代表取締役など)がアメリカの法廷に出廷しなければならなくなる可能性があります。

 

 次にアメリカ支店(Branch)を作る方法です。Rep Officeとは異なり営業活動を行います。Branchの設立は日本国内で支店を作る方法とほぼ同じです。長所は、Rep Officeと同じように、進出時のコストが比較的押さえられるということです。Branchの費用は、日本の本社で直接費用処理できます。短所はRep Officeと同じで、法律面での守りが弱いことです。

 

 3番目は株式会社(C Corporation、以下C Corp)を作る方法です。C Corpは、事業を行うときに日本の会社が最も多く採用している形態です。長所は、日本ではなじみのある会社形態であり、組織運営方法が大変シンプルでわかりやすいということです。また、Rep OfficeやBranchと比べると法律面での守りが格段に強くなります。

 

 極端な例としては、アメリカにある子会社が訴訟に巻き込まれ、負けてしまい、子会社の財務体力では支払いきれない場合、その子会社を清算すれば債務はなくなります。短所は、設立や維持のコストが比較的かかるということです。撤退するときの清算手続きにも、時間とコストが比較的かかります。また、配当に関しては連邦と州による二重課税になってしまう可能性があります。

 

 4番目は合同会社(Limited Liability Company=LLC)を作ることです。長所はあらゆる面で非常にフレキシブルに設立が可能で、進出したい理想の形で設立できることです。また、節税対策が可能です。アメリカで持ち株会社を作り、その100%子会社をLLCにすれば、税務上は一体と見なされるので子会社間の損益が通算されます。それによって赤字子会社と黒字子会社がある場合、自動的に節税できます。一方、法律上は全ての関連会社が別会社となるため、法律面の守りも十分です。

 

 LLCはアメリカでの分社化戦略や、不動産投資戦略に最適な会社形態です。我々の事務所での取り扱い例にて、最近のアメリカでの新規設立会社のほとんどがLLCであることにもうなずけます。短所としては、C Corpと比べるとわかりにくい形態の企業だということです。LLCは意思決定から利益、損失や配当まで全てメンバー同士の契約で決められるので、100%持分でない場合、注意を払って投資する必要があります。

 

  なお、日本の親会社がアメリカのLLCに直接投資する場合、日本の親会社にもアメリカでの法人税申告義務が生じます。したがって、LLCでのアメリカへの直接投資はあまりお勧めできません。設立費用も一般的にはC Corpよりも高くなります。

 

 この他のアメリカ進出形態としては、社員が無限責任もしくは有限責任を負うパートナーシップや、株主に配当する利益に法人税を支払う必要がない、つまり二重課税を回避できる、小規模株式会社(S Corporation、S Corp)があります。

 

 最後に企業買収などのM&Aによるアメリカ進出方法です。長所はM&Aを行うことですぐにアメリカのマーケットに進出でき、ゼロから組織を組み立てる必要がないことです。短所としては、進出時に弁護士費用や会計士費用など買収のための費用がかなりかかることと、相手企業の購入のために多額の資金が必要となることです。

 

  さらに購入自体は比較的簡単ですが、購入後の会社のマネジメントが非常に難しいということも挙げられます。例えば、購入してから購入先が思うように運営できず、失敗に終わるということもあります。

 

 アメリカへの進出は、目的に合わせて事業形態を選ぶことが大切です。



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