会計相談室
2023年9月15日 13:00:00
Peer Review
「譲謙(ゆずけん)さん、最近、おたくの事務所で検査があったとスタッフから聞いたんじゃが、何かあったのか?」会社経営者の鬣(たてがみ)が会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、譲謙)に聞いた。
「はい、それはPeer Reviewのことですね。」
「何だ、そのピアスを何とかというのは?」
「ピアレビューです。これは、米国公認会計士協会(AICPA)の品質管理基準(SQCS=Statements on Quality Control Standards)8条に基づいて行われるもので、他の会計事務所から調査を受けるものです。」
「なになに、それはもしかすると会計事務所の品質を高品質に維持するためのものか?」
「簡単にいうとその通りですが、もう少し詳しく言うと監査および、証明業務の質を高品質にしておくことが目的です。ちなみにSQCS8は上場会社監査に適用されるSOX法やPCAOBで求められている品質管理基準とは別のものになります。」
「どんな内容なんじゃ?」
「大きく分けて6つからなります。①会計事務所の品質管理に関するリーダーの責任、②求められる倫理規範を理解すること、③クライアントとの関係および業務受託と継続の検討、④人事管理、⑤業務のパフォーマンス、⑥モニターリング、です。」
「ほーう、たくさんあるなー。」
「最後のモニターリングによって、会計事務所の品質が一定の基準に達しているかどうかの検査を行い結論を出します。そのモニターリングを外部の同業他社に調査をしてもらうことがPeer Reviewということになります。基準に達していれば“Pass”という証明をもらえることになります。」
「パスしなかったらどうなるんじゃ?」
「営業ができなくなります。」
「ほう、厳しいのう。」
「公認会計士は社会の安定を守るための一翼を担っているので、自分自身を厳しく律していかなければなりません。」
「Peer Reviewをしてくれる人はどうやって見つけるのじゃ?」
「それは各州のPeer Review機関やAICPAのサイトで見つけることができます。」
「Peer Reviewでは一体、何をされるのじゃ?」
「例えば、フィーを全額回収する前に翌年の契約を交わしていないかどうかなど管理手続きを見たり、業務がきちんとされているかワーキングペーパーの内容を見たり、事務所のスタッフとのディスカッションををしたり、事務所の出すガイドラインが適切かどうかを見たりします。その他、発行された監査レポートや会計士のレポートが適切かどうかなども見ます。事務所職員の専門家としての継続研修(CPE)の実施状況も見られます。また、CPAのライセンス保持者は全員のライセンスが適切に維持できているかも確認されます。」
「ほう、徹底的に調べられるな。」
「その通りです。」
「ピアレビューには何種類かあるのか?」
「AICPAのPeer Reviewには3種類あります。①System Review ②Engagement Review ③Report Reviewです。①は監査をしている事務所に対する調査で、②はReviewを実施している事務所、③はCompilationのみを実施している事務所に実施される調査です。我々はこのうちの①System Reviewを受けています。」
「わかった。がんばれよ。」
「はい。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saitollp.com):齊藤幸喜