会計相談室
2017年8月1日 13:00:00
New York State Paid Family Leave Program
「譲矢(ゆずりや)さん、最近よくプリペイドファミリーマートとかいうわけのわからないコンビニエンスストアみたいな名前を聞くのじゃが、いったい何じゃ?」会社経営者の鬣(たてがみ)が会計コンサルタントの譲矢謙吉におもむろに尋ねた。
「鬣さん、それはニューヨークファミリーリープログラムのことです。ニューヨーク州のほとんどの会社が2018年の1月1日から適用しなければならなくなります。これに伴い、従業員規則に明記しポスターを社内に貼って告示しなければなりません。これには保険会社でカバーする方法と自己保険でカバーする方法があります。」
「ファミリーリーブとはいったい何じゃ?」
「ファミリーリーブとは何らかの個人的な事情で会社を長期間休まなければならない状況になった場合、会社に帰ってきたときに以前のポジションを保証するものです。今回の制度では医療保険も維持してあげなければなければなりません。個人的な事情の例としては、産後の子供の世話、子供の養子縁組、里子引き受け等から12か月間の世話、近親者(州外も含む)の重病の看病等です。これは従業員がアメリカ人であるかないかに関わらず提供する義務があります。」
「パートタイムにも支給しなければならないのか?」
「175日以上働いたパートタイムには支給しなければなりません。ちなみに週に20時間以上働いているとフルタイム扱いになり、26週以上連続して働くと支給しなければなりません。」
「それでいくら支給しなければならないんじゃ?」
「2018年は8週間支給し従業員の給与か州の平均給与の低い方の50%です。これが2019年には10週で55%、2020年には同じく10週で60%、2021年には12週で67%になる予定です。従業員は有給休暇などと組み合わせて100%請求することも可能です。」
「フリーランスも対象か?」
「いいえ、フリーランスは対象外です。」
「財源はどうするのじゃ?」
「ニューヨーク州は従業員が財源を拠出すると言っています。したがって、従業員は自ら保険料を支払う義務があります。ただし、給与天引きできる金額は2018年は従業員の週給給与か州の平均週給賃金$1,305.92の小さい方の0.126%が限度になります。」
「ニューヨーク州以外でこんな制度を採用している州はあるのか?」
「もちろんあります。カリフォルニア州、ロードアイランド州、ニュージャージー州です。」
「いくらなんでもいきなり休みますということはないよな?」
「はい、従業員は原則として30日前までに証拠書類を添付して雇用主に休みを申請をする義務があります。また、例外的に今年の7/1から天引きを開始することも可能です。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com, info@saikos.com):齊藤幸喜