会計相談室
2025年3月10日 13:00:00
Disability Insurance

「譲謙(ゆずけん)さん、Disability Insuranceとはなんじゃ?」会社経営者の鬣(たてがみ)がおもむろに会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称:譲謙)に聞いた。
「はい、傷病保険ともよばれていますが、従業員が仕事の業務外でのケガや病気によって仕事の業務を続けられなくなった時に、その期間の補償として支給される保険です。」
「ほう、それは助かるな。」
「はい、労災保険とともに会社に義務付けられている保険です。」
「じゃが、業務外のケガや病気なら、会社が支払う義務があるのかのう?」
「そうですね、従業員を守る義務は第一に会社にあるので、労災保険は会社が100%負担するのが通常なのに対して、傷病保険は一部従業員負担部分を認めている州がほとんどです。」
「どんな場合に支払われるのじゃ?」
「州によって若干異なります。」
「それじゃニューヨーク州ではどうじゃ?」
「ニューヨーク州では雇用者が原則として保険料を負担しますが、一部を従業員から徴収することが認められています。」
「いくら徴収できるんじゃ?」
「給与の0.5%ですが、上限が週給システムで$0.60、月次給与システムで$2.60、2週毎の給与システムで$1.20、月2回の給与システムで$1.30が上限となっています。年間では$31.20が上限です。」
「そうか結構細かいな。ところで、どんな場合に保険がでるんじゃ?」
「ケガや病気をしてから8日目からになります。7日間は猶予(免責)期間となっています。」
「雇用主は何かをしなければならないのか?」
「はい、従業員が業務不能になったと知らされてから5日以内にStatement of Rights というフォーム(Form DB-271S)を従業員に渡さなければなりません。」
「最初の支払いはいつされるのじゃ?」
「業務不能になった日から14日目から4日以内に支払われなければなりません。」
「業務不能になったことはどうやってクレームするのじゃ?」
「Notice and Proof of Claim for Disability Benefits(Form DB-450)を30日以内に雇用主か保険会社に提出する必要があります。そこには医師や専門家の診断を受けて疾病名と重症度も記載してもらう必要があります。」
「そうか、それで、いくらくらい支給されるのじゃ?」
「その従業員の平均週間給与の50%、最高で$170までが、連続する52週間で1週間おきに最高で26週間まで支給されます。」
「ほう、そうか。それと妊娠出産のときにも支給されると聞いたが、本当か?妊娠出産は病気ではないよな?」
「その通りです。妊娠出産は病気ではありませんが、病院に通いながら仕事の業務遂行ができなくなるという点では同じですので疾病保険金が支給されます。」
「そうか、よくわかった。ありがとう。」
米国公認会計士齊藤事務所(Saito LLP):齊藤幸喜 (www.saitollp.com, info@saitollp.com)