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会計相談室

2024年3月1日 14:00:00

BOI Report

Inage Hawaii

譲謙(ゆずけん)さん、最近新しい規則ができて会社のオーナーシップについて米国財務省(U.S. Department of the Treasury) に報告をしなければならなくなったと聞いたんじゃが、本当か?」会社経営者の鬣(たてがみ)がおもむろに会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称:譲謙)に聞いた。


「はい、2024年1月1日から米国財務省の一部署であるFinancial Crimes Enforcement Network (FinCEN(フィンセン);金融犯罪取締ネットワーク)に対して国内企業だけではなく、外国企業もBeneficial Ownership Information (BOI;実質的なオーナー情報)を報告することになりました。」


「どんな会社がファイルをしなければならないんじゃ?」


「株式会社、LLCLimited Partnership, Limited Liability Partnershipを含めて、アメリカの法律で設立された会社のほとんどが対象です。また、外国の法律で設立された会社もアメリカに届け出をしている場合には対象になります。」


「適用の対象外はないのか?」


「あります。次の会社は適用外です。個人会社、ゼネラルパートナーシップ、上場会社、NPO、政府系の会社、銀行、クレジットユニオン、会計事務所、非課税企業、休眠会社など23種類の企業が報告対象外として挙げられています。」


「いつまでに報告が必要じゃ?」


20231231日以前から存在する会社は20241231日前までに報告が必要です。今年(202411日以降)設立した会社は、設立日から90日以内に報告しなければなりません。来年(202511日)以降に設立する会社は30日以内になります。」


「もしも、報告しなかったら、どうなるんじゃ?」


「期日まで報告をしないと最高で1日当たり$500の罰金がかかることになります。もしも虚偽の報告をした場合には、2年以下の懲役と$10,000までの罰金が課される可能性があります。」


「ほう、それは、きちんと報告をせなあかんな。ところで、具体的には何を報告するんじゃ?」


「まずは会社の情報です。①会社のフルネーム、屋号があれば屋号、アメリカの主たるビジネスアドレス、設立州(国)、IRSの納税者番号です。次にオーナー情報です。①法律上のフルネーム、誕生日、住所、パーソナルIDナンバー、次のいずれかのイメージ;USパスポート、運転免許証、その他の州のID、外国のパスポートです。」


「結構厳しいのう。しかし、誰が実質的なオーナーとみなされるのじゃ?」


「直接または間接的に会社を実質的に支配(コントロール)している個人、または、25%以上の持分を有している個人です。実質的なオーナーは実質的なコントロールと25%以上の持分の両方をもつこともあります。会社には複数の実質的なオーナーがいる可能性がありますが、その場合には、全ての実質的なオーナーの情報を報告しなければなりません。未成年者や1社以上の会社を通じて持分を持っている個人は除外されます。」


「実質的に支配している個人とは何じゃ?」


「次のうちの1つでもみなしている個人です。①最高レベルの承認権をもっている個人、例えば、社長、CFOCEOCOOや法律顧問、②上級役員の指名や排除をできる権限をもつ個人、取締役会での意思決定権をもつ個人、③重大な経営意思決定や重大な財務決定に影響力を持っている個人、④その他の形式で実質的な支配をしている個人です。」


「報告はどうやってするのじゃ?」


「フィンセンのウエブサイトでE-Fileします。報告すると受取の確認書が送られてきます。」


「わしは必ず報告するぞ。ありがとう。」


米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saitollp.com):齊藤幸喜

 

 

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