日米会計税務アドバイザリーサービス
03-3476-2405
212-599-4600
ニューヨーク本社:150 W 51st Street, Suite 1510 New York, NY 10019, U.S.A.
東京支店:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-10-5 渋谷プレイス9F コンパッソ税理士法人(気付)
Topics
会計相談室
アメリカで不動産賃貸をした場合の申告方法について
2025年9月19日

Noriko MochizukiQ. 日本に住む日本国籍を持つ日本居住者でアメリカの非居住者ですが、アメリカ国内の不動産に投資し、賃貸収入を得た場合の申告方法について教えてください。
A. 不動産所得が発生した場合には、源泉徴収方式か、ネット・レント課税方式のいずれかで報告・納税します。
1. 連邦所得税について
連邦所得税の納税は、以下の2つの方法のいずれかで納めることができます。
① 源泉徴収課税方式で源泉徴収によって納める方法
この場合、通常は不動産管理会社などが借主から回収した家賃を貸主に支払う際に、家賃の30%を源泉徴収しIRSへ納めます。
② ネット・レント課税方式で確定申告し納税する方法
ネット・レント課税方式(Tax on Net Rent Income)とは、家賃総収入から、管理費、修繕費、支払利子、固定資産税、保険料、減価償却費などの必要経費を差し引いたネット・レント・インカム(不動産所得)を確定申告書で報告し、算出された課税所得に所得税率(個人の場合、2025年は10~37%の累進税率)を適用して納税する方法です。
アメリカでは、連邦と不動産の所在州にそれぞれ所得税の申告書を提出しなければなりません。税法上、アメリカの非居住者はアメリカ源泉所得だけが課税対象となりますので、他に該当する所得がなければ、アメリカでの不動産所得だけを申告すればよいことになります。
上記の②を選択する場合、Form W-8ECI (Certificate of Foreign Person's Claim That Income Is Effectively Connected With the Conduct of a Trade or Business in the United States) を源泉徴収義務者に対して提出し、受理されたときは連邦税の源泉徴収(上記①)が行われなくなります。また、ネット・レント方式を選択する旨を記載したステートメントを物件の購入年度の連邦所得税確定申告書に添付します。
②を選択しなければ、①の方法を取ることになります。ただし、①の方法では、連邦への確定申告は必要ありませんが、ネット・レントで計算しても不動産所得が純損失だったとしても30%の連邦税を支払わなければならないため、通常は②の方法を選択するほうが有利となります。加えて不動産が所在する州でも確定申告が必要ですが、州税の計算はネット・レントで不動産所得を計算する必要があるため、たとえ連邦で源泉徴収による納税を行っても、州ではネット・レントを計算する必要があります。
2. 州所得税について
州所得税は、上述のとおりネット・レントで算出した不動産所得が課税対象となりますが、州によって税金の計算方法や税率が異なります。
<カリフォニア州の例>
カリフォルニア州の個人所得税申告書では、アメリカ国籍を持たない非居住者の場合、アメリカ国内外で得た全ての所得をもとに算出した税額に、カリフォルニア州に帰属する所得の割合をかけて税額を算出します。
例えば、上述のカリフォルニア州の場合、非居住者には7%の源泉徴収がされます。なお、過去2年間申告書を提出したなどの要件を満たし、申請をすれば、一定期間源泉徴収が免除されます。一方、州所得税の税率は、累進税率を課している州が多く、ニューヨーク州の個人所得税の税率は4.0~10.9%、カリフォルニア州は1.0~13.3%、ハワイ州は1.4~11%を課しています(2025年)。
| 源泉徴収課税方式 | ネット・レント課税方式 |
課税対象 | 家賃収入の総額(経費控除なし) | 不動産所得(家賃収入−経費) |
税率 | 30%の源泉徴収 | 累進課税(Form 1040-NR上の通常の所得税率10%~37%) |
経費控除 | 不可 | 可能(管理費・固定資産税・修繕費・減価償却など) |
申告書の提出 | 不要(源泉徴収のみで完結する場合あり) | Form 1040-NR(非居住者申告書)+ Schedule E 等が必要 |
Form W-8 の種類 | なし | W-8ECI |
選択方法 | 自動的に適用される | IRC 871(d) に基づき選択し、Form 1040-NRに選択声明を添付 |
納税方法 | 源泉徴収のみ(テナントや管理会社が税を送金) | 自己申告による納付(不足税額があれば支払い) |
税務上のメリット | シンプルで手続き不要 | 実質課税なので、経費や損失が大きい場合に有利 |
選択の持続性 | 取り消し・選択の手続き不要 | 一度選択すると、継続適用(解除にはIRSの同意が必要) |
Noriko Mochizuki
