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会計相談室

2022年3月25日 13:00:00

Unrecognized tax benefitとはなんじゃ?

Inage Hawaii

「会計基準で読んだんじゃが、“あんこがないけど食べてね”とはなんじゃ?」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、譲謙ゆずけん)にたずねた。「Unrecognized Tax Benefit (UTB) のことですね。」「それじゃ。わしはあんこが好きなんじゃがのぉ」「UTBは決算書の税金計算の数値が税務調査を受けた場合に否認され追加計上される可能性の高い税金費用のことです。」「それって永久差異や一時差異のことか?いわゆる繰延税金資産や負債のことか」「似ていますが、ちょっと違います。税務上と会計上の税金費用の違いであることは同じですが、税務申告書上で税務調査が行われた場合に否認される確率が50%超である場合の税務費用を言います。この50%の確率はMLTN (More-Likely-Than-Not Standard)といわれています。」「なんじゃか、よくわからんのう。例をあげて教えてくれんか?」「例えば減価償却費は申告書で税務上のルールに基づいて行っていれば、たとえ、帳簿上と税務上の減価償却方法が異なっていても税務申告書上の減価償却費は否認されません。しかしながら、これを税法上認められない短い減価償却期間で処理していた場合には税務調査で否認されることになります。この場合にはUTBが計上されることになります。ある会社が減価償却費を会計上$100,000、税務上$500,000計上していた場合、税務上の利益(Tax benefit)は$84,000 (= ($500,000 -$100,000) x 21%)ですが、税法上は減価償却費が本来$200,000しか認められない場合には、$300,000 (=$500,000-$200,000)が税務調査に入られると否認されてしいます。したがって、$63,000 (=$300,000x21%)がUTBとして税金費用が会計上計上されることになります。」「それって、繰延税金で調整されるよな?」「その通りです。一時差異はたとえUTBを計上しても税金費用の影響は損益にはなく、ペナルティや支払税金利子のみが損益に影響を与えることになります。したがって、それらも見積計上しなければなりません。また、それらは、UTBの金額とともに注記でも開示が求められています。」「じゃあ、UTBで実質的に問題となるのは永久差異のみか?」「その通りです。」「どんなものがあるのじゃ?」「例えば、繰越欠損金(NOL)の利用金額の税務調整による減額、移転価格ポジションの税務調査による変更などです。」「それは大きな影響があるな。」「その通りです。したがって、監査を受けている会社は移転価格については、内国歳入法に準拠した移転価格スタディを必ずしておく必要があります。」「わしの会社は監査を受けていないから必要ないな。ありがとうよくわかった。」


米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saikos.com):齊藤幸喜

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