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会計相談室

Peer Review #142 新監査基準対応版

2026年8月21日

Peer Review #142 新監査基準対応版

「譲謙(ゆずけん)さん、最近、おたくの事務所で検査があったとスタッフから聞いたんじゃが、何かあったのか?」会社経営者の鬣(たてがみ)が、会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、譲謙)に聞いた。

 

「はい、それはPeer Reviewのことですね。」

 

「何だ、そのピアスとかいうのは?」

 

「ピアレビューです。現在は、米国公認会計士協会(AICPA)の品質マネジメント基準、いわゆるSQMS(Statements on Quality Management Standards)に基づいて行われています。」

 

「ほう、昔とは違うのか?」

 

「はい。以前はSQCS8という“品質管理(Quality Control)”の基準でしたが、現在は“品質マネジメント(Quality Management)”へと大きく考え方が変わっています。」

 

「どう違うんじゃ?」

 

「簡単にいうと、決められた手続きを守るだけではなく、各事務所が自分たちのリスクを特定し、それに応じた仕組みを作って、継続的に改善していくことが求められています。」

 

「ほう、なかなか難しそうじゃな。」

 

「ええ。単なるチェックリストではなく、“自分たちで考える品質管理”になっています。」

 

「その基準の中身はどうなっとるんじゃ?」

 

「大きく分けて8つの要素から構成されています。」

 

「前より増えとるな。」

 

「はい。具体的にはこうです。 ①リスク評価プロセス②ガバナンスとリーダーシップ③倫理要件④クライアントの受嘱と継続⑤業務の実施⑥人的資源やITなどのリソース⑦情報とコミュニケーション⑧モニタリングおよび改善です。」

 

「ほう、“改善”まで入っとるのか。」

 

「はい。特に重要なのは、リスクを考えて仕組みを設計し、それが本当に機能しているかを継続的に見直す点です。」

 

「Peer Reviewはその中でどういう位置づけになるんじゃ?」

 

「今は少し意味合いが変わっています。以前は外部チェックという側面が強かったですが、現在は事務所自身がまず品質マネジメントシステムを運用・評価し、そのうえで外部が確認する、という位置づけです。」

 

「つまり、自分で管理して自分で直していくのが基本ということか。」

 

「その通りです。いわば“外に頼る品質管理”から“自律的な品質マネジメント”への転換です。」

 

「厳しくなっとるな。」

 

「はい。ただ、その分、事務所ごとの実態に合わせた柔軟な仕組みが作れるようになっています。」

 

「ところで、レビューにも種類があるんじゃろう?」

 

「はい、Peer Review自体の枠組みはありますが、新しい基準では“Engagement Quality Review”という個別業務レベルのレビューも別基準(SQMS2)として明確に定められています。」

 

「つまり、事務所全体と個々の仕事、両方を見るようになったということか。」

 

「その通りです。事務所全体の品質マネジメント(SQMS1)と、個別業務の品質レビュー(SQMS2)が分かれて整理されています。」

 

「なるほどのう…。昔より“考えること”が増えた気がするわい。」

 

「まさにそこが一番の変化ですね。単に“守る”から、“設計して改善する”へと変わっています。」


米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saitollp.com):齊藤幸喜

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