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税金相談室

OBBBAによる2025年分税務申告の主な変更点

2025年10月31日

OBBBAによる2025年分税務申告の主な変更点

Q. One Big Beautiful Bill Act(新税法)により、2025年度分の税務申告から適用される主な変更点を教えてください。


A. トランプ大統領の前任期時に施行された大きな節税をもたらした税制改革法(Tax Cut and Jobs Act、「TCJA」)により様々な減税策が施されましたが、殆どが2025年度までの時限立法になっていました。今回の新税法では、期限切れとなるTCJAの多くの減税策を延長、もしくは、恒久的なものにしました。主な変更点としては、以下が挙げられます。


1. 所得税率の恒久化

TCJA以前は個人所得税率が10%、15%、25%、28%、33%、 35%、39.6%の7段階の累進税率でした。TCJAでは税率を引き下げ、10%、15%、25%、28%、33%、35%、37%に変更しました。当軽減税率は2025年まで有効でしたが、今回の新税法で恒久化されました。


2. 概算額控除額の増加と恒久化(インフレ調整あり)

TCJAでは2018年から2025年にかけて概算額控除をそれ以前の額の約2倍に引き上げました。2026年以降は概算額控除が税制改革法以前の金額に戻る予定でしたが、2026年以降以下のように高額な概算額控除を恒久化しました。それに伴い2025年度の金額も以下のとおり引き上げられました。

 

 夫婦合算申告者

 および寡婦(夫)

 世帯主(Head of   Household)

夫婦個別申告者

および独身

  2025年

     $31,500

     $23,625

     $15,750

  2026年

     $32,000

     $24,000

     $16,000

3. 人的控除の廃止と65歳以上の高齢者向け追加控除

トランプの税制改革法で人的控除が一時的に廃止されていましたが、新税法により永久廃止になりました。また、65歳以上の高齢者に対しては、2025年〜2028年まで$6,000 の追加の控除が与えられます(所得制限あり)。


4. Child Tax Credit(子女税額控除)の増額

子ども1人あたり控除額が現行の$2,000から $2,200(インフレ調整あり)に、ソーシャル・セキュリティ番号(SSN)がない子女に与えられるその他の税額控除は引き続き $500に、また、払い戻し可能な税額控除額も $1,700(インフレ調整あり)で恒久化されました。


5. 州税・地方税控除(SALT)の上限引き上げ(2025年~2029年の時限措置)

項目別控除のSALT控除の上限額が、現行の$10,000(夫婦個別申告者は半額)から$40,000(夫婦個別申告の場合は$20,000、その後4年間は毎年1%増加)に引き上げられました。2030年以降は、以前の水準に戻る予定です。ただし、納税者の修正後調整総所得(ほぼ年収に相当)が一定の基準額を超える場合、その超過額の30%が減額されます(最低$10,000、夫婦個別申告者は$5,000)。


6. 適格チップ(Tip)の所得控除(2025年〜2028年の時限措置)

「適格チップ」とは、2024年12月31日以前に慣習的、かつ、定期的にチップを受け取る職業から受けるチップで、支払者が何の義務もなく任意で支払う現金チップを指します。

正しくチップ所得として報告されていることを条件に、最高で $25,000 までの所得控除を受けることができます。ただし、調整総所得が$300,000(夫婦合算申告者、夫婦個別申告書や独身は半額)を超える場合には控除額が減額されます。また、既婚者の場合には夫婦合算申告が条件になります。


[報告義務]

雇用主は、従業員の源泉徴収票(Form W-2)に適格チップを記載、または雇用主に未報告のチップがある場合には従業員自身がForm 4137で報告

ビジネスを営んでいるサービス受領者は、非従業員への支払いに対して支払調書(Form 1099-NECまたはForm 1099-K)で適格チップを報告

チップ受領者のソーシャル・セキュリティ番号(SSN)が必須


7. 残業代の所得控除(2025年〜2028年の時限措置)

年間最高で$12,500(夫婦合算申告の場合には$25,000)までの所得控除を申請することができます(前述チップ控除と同様の所得制限あり)。控除を受けるには、納税者のSSNが必須であり、従業員の場合は Form W-2に、非従業員の場合はForm 1099-NECに残業代を記載することが条件になります。


8. 自家用乗用車購入ローン利息控除(2025年〜2028年の時限措置)

新車購入のためのローン利息を最高$10,000まで控除ができます。ただし、調整後総所得が $200,000(夫婦合算申告者、夫婦個別申告書や独身は半額)を超えると段階的に減額されます。対象車は最終組立が米国内で行われた新車に限定されており、年間 $600以上の利息を受け取った利息受領者は報告書を作成し、一部を利息支払者に提供する必要があります。


ご自身の状況に応じて恩恵の受けられる部分をしっかりと把握することが重要です。


Noriko Mochizuki

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