税金相談室
2007年3月15日 22:00:00
IRA(個人退職基金口座)
質問:IRA(個人退職基金口座)がどういうものか教えてください。 答え:IRA とは、退職後の資金形成のための貯蓄奨励制度です。会社の年金制度に加入できない個人が、銀行などの金融機関に資金を積み立てると、収益は非課税となり拠出金は所得控除の対象となるという税金の優遇措置です。 課税繰越貯蓄の優遇制度 IRA(Individual Retirement Account個人退職基金口座)は、納税者が銀行や証券会社などの金融機関に保有する口座のことで、企業年金制度と異なり会社に所属していなくても個人名義で開設することができます。毎年一定額を退職後の資金形成目的で積み立て、利息や配当などの収益は非課税、拠出金は条件を満たせば税金計算上控除が認められ、元金、収益とも引き出しをしない限り課税されないという課税繰越貯蓄の優遇制度です。会社が企業年金制度を提供していない場合や、自営業者が自分で老後の資金を積み立てる場合は勿論、収入レベルによっては企業年金制度加入者であっても利用すると便利な制度です。 拠出限度額 個人所得税申告書の提出期限の4月15日までにIRA拠出(積立)を行なうと、税金計算上、所得調整控除が認められます。控除が認められるためには、一定条件を満たす必要があります。年間拠出限度額は、2007年一人当たり$4,000(2008年$5,000、2009年以降インフレ調整)、夫婦二人で$8,000です。加入者が50歳以上の場合は、$1,000の追加拠出および所得調整控除が認められます。 控除の条件 IRA加入者が会社の適格年金制度に加入していない場合は、収入レベルに関係なくIRA拠出金の全額について所得調整控除が認められます。会社のペンション・プランや401(k)プランなどに加入している場合、2005年の調整総所得が夫婦合算申告8万3000ドルから10万3000ドルの間(独身5万2000ドルから6万2000ドルの間)で、控除限度額 $8,000(独身$4,000)は段階的に減額します。 そして収入レベルが夫婦合算申告10万2000ドル(独身6万2000ドル)以上になると、IRAへ拠出しても税金の計算上、所得調整控除は認められません。この場合、将来IRAから引き出した時点で、分配金のうち元金分については非課税、利息などの収益分については課税対象となります。控除が認められなかったIRA口座がある場合は、拠出年度と分配年度に様式フォーム8606を記入して確定申告書に添付提出して、拠出、分配、課税繰越額の内容を明らかしておく必要があります。 専業主婦 専業主婦分のIRA拠出のための所得レベルには別枠が設けられています。夫が適格年金制度に加入していて収入レベルが高いため本人分の控除が認められなくても、合算所得が15万6000ドル未満であれば、配偶者分の拠出金$4,000全額の所得調整控除が認められます。ただし、調整総所得が15万6000ドルと16万6000ドルの間で控除金額は段階的に減額し、16万6000ドルに達すると控除額はゼロになります。 10%早期分配税 課税繰延べされてきたIRA分配(引出)は通常の所得税の対象となります。納税者が満59・5歳に達する以前にIRA口座から分配を受けた場合は、下記の例外を除いて、通常の所得税のほかに10%の早期分配税が課されます。満59・5歳以前の分配であっても10%の早期分配税が課されない例外は、次の通りです。 ・ 直接または間接(60日以内)に他のIRA口座へロールオーバー(口座移し替え)した場合。 ・ 調整総所得の7.5%以上の医療費を支出した場合、または、加入者が身障者になった場合。 ・ 12週間以上継続して失業保険手当を受け、健康保険料の支払をした場合。 ・ 初回住宅購入資金として1万ドルを使う場合、または、高等教育資金として使う場合。 ・ 年金係数計算法に基づき分割分配を受ける場合。 ・ IRA口座名義人の死亡により受益者分配を受けた場合。 口座移し替え(ロールオーバー) 企業年金制度の加入者が会社を退職する際、401(k)プランなどから一括分配を受けると所得税が課されます。一括分配を受けずに401(k)プランの資産をIRA口座へ直接ロールオーバー(口座移し替え)すると、 その時点での課税は発生せず、再び課税繰延べされ、資産の積立を継続することができます。分配後60日以内にIRA口座へ移管する間接ロールオーバー(口座移し替え)も同じ扱いを受け、課税繰延べが達成されます。