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税金相談室

2002年5月5日 22:00:00

非課税贈与枠

Inage Hawaii

贈与を受けても贈与税が課されない金額を教えてください。 まず、日本側の贈与税について考えてみます。 ●日本の贈与税  02年現在、贈与税の基礎控除額である110万円までが、非課税で贈与を受け取れる金額です。この金額は、受贈者がアメリカ在住者(日本非居住者)であっても同じです。  親または祖父母が負担する子や孫の教育費、養育費、生活費、医療費は、日本でもアメリカでも贈与税の対象となりません。教育費、養育費、生活費、医療費として確実に使用されていれば特に金額上の制限もなく、日本からアメリカへの非課税の送金が可能です。子どもの結婚費用を親が出したとしても、結婚して初めて1人前という考え方からすれば、そこまでは親の責任ということになります。  ただし親から結婚祝いと称して車や不動産、あるいは投資資金などまとまった大きな物を贈られたりすると、そうした援助は親の扶養義務の常識的な範囲を超えているとして、贈与税の問題が途端に発生します。  受贈者がアメリカ在住者で日本の非居住者であっても、日本国内の受贈者の場合と同様、一定枠の非課税措置の適用を受け、受贈者1人につき年間110万円までの非課税枠(基礎控除)を使うことができます。  例えば、アメリカ在住の夫婦と子ども2人の家族が日本の実家の父親から上述の教育費などの送金のほかに、年に440万円(110万円×4=440万円)までの財産の贈与を受けても、正しく各人に贈られている限り基礎控除額の枠内に入り、日本の贈与税は課されないことになります。  1人110万円の基礎控除額を超えた金額の贈与については、超過分に10%から70%までの累進税率による日本の贈与額が課されます。日本での納税義務者は受贈者であるため、アメリカ在住の各人が日本で期限内に贈与税の申告を行う必要があります。  日本の居住者(親)が海外の銀行に開設した本人名義の口座に振り込んだ資金(国外財産)の、海外在住日本人(子)への贈与は、以前は日本の贈与税の対象外でしたが、2000年4月1日以降、贈与税の対象になりました。日本の国税庁が絶えずそうした資金の動きに目を光らせていることを忘れてはなりません。 ●アメリカの贈与税  次にアメリカの贈与税を検討します。贈与税の納税義務者は受贈者ではなく贈与者であり、日本とは逆になっています。日本の居住者(父)からアメリカの居住者(子)への贈与は、アメリカ国外(日本)財産がかかわる場合、アメリカの贈与税は生じません。アメリカの贈与税の対象となるのは、アメリカの非居住者(日本の父)のアメリカ国内財産を贈与したときです。ただし、有形資産あるいは無形資産という財産の種類によって課税・非課税が決まります。  非居住者のアメリカ国内財産が有形資産(不動産、現金、宝石、貴金属、自動車、美術品など)であれば課税対象となり、無形資産(株式、債券、ミューチュアル・ファンドなどの有価証券、手形、著作権など)であれば非課税となります。有形資産の贈与に関しては、アメリカにおける年間贈与の非課税枠、受贈者1人につき1万1000ドル(消費者物価指数によるインフレ調査で毎年変わる)の規定を利用することができます。この枠を超えた贈与を行った場合、贈与者には18%から5%までの累進税率による連邦贈与税が課されます。  受贈者が配偶者でありアメリカ市民である場合は、贈与税は一切かからず贈与できますが、受贈者にアメリカ国籍がない場合は上限があり、年間10万1000ドルまでが非課税となっています。  また、コネチカット、デラウェア、ルイジアナ、ニューヨーク、ノースカロライナ、テネシーの6州で贈与が行われた場合は、連邦税のほかに州の贈与税の申告および納税が必要となります。 米国公認会計士 大島 襄会計士事務所所長 大島襄

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