税金相談室
2007年2月6日 23:00:00
非居住者用の申告用紙
質問:非居住外国人の所得税の申告用紙には、フォーム1040NRとフォーム1040NR-EZの二つがありますが、これらはどのように違うのでしょうか? 答え:非居住外国人の申告用紙には、ショート・フォームである簡易用紙1040NR-EZと、ロング・フォームである1040NRの二種類があります。 非居住外国人は、税法用語であるNonresident Alienの訳語です。文字通り米国に居住していない外国人のことを指します。例えば、直接投資により米国の株式または不動産を保有しながら、日本に住む日本人のことを米国税法上、非居住外国人と呼びます。 ビザの種類によっては、米国に住んでいても非居住外国人となる場合があります。F(学生)、J(交換訪問者)、M(専門学校生)、Q(交流訪問者)のビザで米国に滞在している留学生は、米国入国から5年間にわたって非居住外国人とされます。また、Jビザ、Qビザによる教授または研究者は、入国から2年間は非居住外国人として扱われます。A(外交官)およびG(国際機関職員)のビザの場合は年数に制限なく、どれだけ長い間米国に滞在していてもたえず非居住外国人となります。 それ以外のビザ、例えばE(条約商人・条約投資家)、H(短期就労者)、L(転勤管理職)ビザ保持者は、「実質的滞在条件」の適用により、滞在期間が183日未満の場合は非居住外国人と判断されます。 非居住外国人の所得は、「実質関連所得」と「非実質関連所得」の二種類に分類され、それぞれ異なる税率が適用し課税されます。前者は、給与や自営業事業損益、不動産レント所得のように米国内での勤務活動・商活動から得る所得のことであり、通常の10%~35%までの6段階の累進(るいしん)税率が適用となります。後者は、利子や配当、キャピタル・ゲインのように納税者の米国内の活動とは無関係に生み出される不労所得のことで、一律30%、あるいは日米租税条約による0%または10%の低減税率を適用します。 1040NR-EZ 1040NR-EZは、限られた収入や控除を報告する非居住外国人用の簡易様式です。ページ数が1040NRの5ページに対して、2ページと極めて簡素化されています。使用条件を満たしていれば、1040NRではなく1040NR-EZを使用することにより、時間の節約ができます。 フォーム1040NR-EZの使用条件は次の通りです。 ① 課税所得は10万ドル未満の「実質関連所得」である ② 所得は、給与、チップ収入、奨学金、州市所得税還付金だけ ③ 所得調整控除は、学生ローン支払利子控除、奨学金控除だけ ④ 項目別控除は州市所得税控除だけ ⑤ 税額控除はない 1040NR 1040NRは、簡易用紙では報告できないあらゆる種類の収入や控除を申告する用紙です。簡易用紙の使用が可能な場合でも、1040NRを使って申告してもかまいません。 1040NRで申告しなければならない所得の例は次の通りです。 ① 給与、自営業事業損益を含む「実質関連所得」の課税所得が10万ドル超ある ② 不動産レント収入から関連必要経費を控除して不動産レント所得を申告する ③ 不動産売却に際して課された10%源泉税を清算して、還付金を請求する ④ 利子や配当などに30%の源泉税が課されたが、日米租税条約の低減税率の適用により還付金を請求する