会計相談室
2016年9月26日 13:00:00
非営利団体とはなんじゃ
「非営利団体という名前をよく聞くのじゃが、いったいどういう団体なんじゃ?」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称譲謙(ゆずけん))に聞いた。
「非営利団体(Not-for-Profit Entity = NFP)とは、多額の拠出金や寄付金に対してその拠出者が見返りを期待していないこと、利益を追求する目的で商品やサービスを提供するのではなくてその団体の活動自体を目的としていること、団体には持ち主がいないということを特徴としています。」
「なんだ、ずいぶんわしの会社とは違うな。だいたい持ち主がいないということは、オーナーや株主がいないということか?」
「そうです。非営利団体にはオーナーや株主はいません。なお、非営利団体の会計基準はFASB(米国財務会計基準審議会)で決められています。」
「何だ、その“おむすび”とかやらは?」
「“ファスビ”です。“おむすび“ではありません。アメリカで、いや世界で最も権威のある会計基準の設定団体の1つです。ちなみにこの団体も非営利団体です。」
「ほう、そうか?それはすごいな。ところで、非営利団体の収益はいったいどんなものを受け取るのじゃ?」
「非営利団体では、受け取った収入を収益とは呼びません。利益を目的としていないからです。それで、収益ではなく寄付金収入といいます。寄付金収入として受け取るものは、現金、現金以外の資産、サービスがあります。ちなみに現金以外の資産には、有価証券、土地、ビルディング、設備やユーティリティの使用する権利、原材料や消耗品、無形固定資産や将来の条件付きの約束などがあります。サルベーションアーミーなどで古着を購入した場合も寄付になります。ただし、地方の放送局に車を寄付した場合、それが寄付金になるかどうかは、それだけでは定かではありません。その車が売却されて何に使用されるかなどがわからないからです。」
「いろいろあるなぁ。それじゃ非営利団体のうけとった収益はすべて寄付金ということじゃな?」
「すべてではありません。寄付金は自発的な譲渡でなくてはなりません(Voluntary transfer)。」
「え、自発的ではない譲渡などあるのか?」
「自発的でない譲渡とは、係争関係で法律上の解決によって支払われた罰金などがあります。それは寄付金といては取り扱われません。」
「ふーん、そうか、いろいろあるな。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com, info@saikos.com):齊藤幸喜