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会計相談室

2021年9月24日 14:00:00

金融資産の表示

Inage Hawaii

「譲謙(ゆずけん)さん、貸借対照表(BS)では金融資産は時価でのせなければならないのかのう?」会社社長の鬣(たてがみ)はおもむろに会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、譲謙(ゆずけん)に尋ねた「かつてのエンロン事件やリーマンショック以前から金融資産は時価評価または時価の開示をしなければ、投資家や債権者ひいては世の中の経済の安定を守ることはできないと考えられてきました。そこで、現在の金融資産と金融負債はほとんど時価評価がされてきています」「そうか、ところで、金融資産や金融負債とはなんじゃ?」「金融資産は、金銭債権(預金、受取手形、売掛金、貸付金等)とデリバティブ、オプション、債券、株式などです。金融負債は、金銭債務(買掛金、借入金、社債等)とデリバティブ、オプションなどです。」「それらは、全部BSに時価で載せるのか?」「いいえ、そうでもありません。金銭債権債務と満期まで保有する目的の債券は額面金額(プラスマイナス未償却プレミアムまたはディスカウント)になります。それ以外は全て時価表示になります。なお、1年以内の期日の金融債権債務と債券や変動金利の貸付金や借入金は時価とほぼ同額になりますので1年以上の期日の固定金利の金銭先権債務と満期まで保有する目的の債券だけが時価評価ではないということになります。」「そうか、貸付金や借入金以外のほとんどが時価評価ということだな。時価は財務諸表の注記に書かなくていいのか?」「昔は非上場会社でも100ミリオンドル以上の会社は要求されていましたが、2013年から非上場会社では要求されていません。」「それはよかった。うちみたいな零細企業でそんなことを要求されてもできる人材がいないからのう。」「ところで、時価の動きは全て損益計算書(IS)に計上されるのか?」「いえ、時価評価される金融資産と負債のうち、売却可能な債券と公正価値オプション負債の一部の時価の変動はその他の包括利益として計上されます。それら以外の時価の変動は全てISに損益計上されます。」「その他の包括利益??いったいなんじゃ?」「簡単に言うと含み損益です。未だ実現していない損益です。そして当期利益とその他の包括利益を合わせたものが包括利益と呼ばれています。」「なんだ?時価の変動は実際に売買したわけじゃないのだから全て未実現損益じゃないのか?それなら、全てその他の包括利益じゃないのか?」「鬣さんのおっしゃる通りだと思います。ですから、将来包括利益は普通の利益となるかもしれません。」「そうか。それじゃ、持分法や連結対象の株も時価か?」「いいえ、それらは、持分法を適用したり、連結決算をしますので、時価評価にはなりません。」「そうか、よくわかった。ありがとう。」


米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saikos.com):齊藤幸喜

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