top of page

税金相談室

2007年7月25日 22:00:00

配偶者の死亡

Inage Hawaii

質問:夫(米国居住者)が亡くなりました。税金がどうなるか教えてください。


答え:所得税は、死亡年度は「夫婦合算申告」で、翌年以降は「独身」、「生存配偶者」または「特定世帯主」で申告納税します。非課税枠を超えた遺産が遺された場合、遺産税の申告も必要とします。


所得税

夫の死亡年度は、「夫婦合算申告」(Joint Return)の税率を適用して連邦所得税を計算することが認められます。ただし生存配偶者が年末時点で再婚していないことが条件です。報告内容は、死亡配偶者分については1月1日から死亡日までの所得と控除であり、生存配偶者分については年間のすべての所得と控除です。申告書には、生存配偶者が署名をし、そして死亡配偶者に代わって遺産管理人・執行人が署名をします。遺産管理人・執行人が指定されていない場合は、生存配偶者の署名の後に “filing as surviving spouse”(生存配偶者による申告)と記入し、死亡配偶者の署名をする必要はありません。


死亡年度の翌年以降、扶養家族がいない場合は「独身」(Single)の税率を適用して申告します。扶養家族がいる場合、死亡年度の翌年から2年間、「生存配偶者」(Surviving spouse)の税率を適用することができます。「生存配偶者」の税率は、「夫婦合算申告」の税率と同じ効果がある優遇税率です。3年目以降は、「特定世帯主」(Head of household)の税率で申告します。


死亡の翌日から12月31日までの間に遺産に加算された利子、配当、レントなどの収益は、遺産所得税申告書(Income Tax Return for Estates)で申告して納税します。税率は15%~35%の5段階の累進税率です。遺産所得税申告書は、遺産が分配される年度まで、毎年提出します。


遺産税・相続税

夫の死亡によって受け取る遺産は、生存配偶者が米国市民である場合に限り、夫婦間の無税相続である婚姻控除の作用により連邦遺産税(Estate Tax)を課されることなく、全額を非課税で受け取ることができます。生存配偶者が永住権またはビザ保持者(外国人)である場合には、夫婦間の無税相続(婚姻控除)の規定は適用されず、連邦遺産税の課税対象となります。死亡した夫が米国市民または遺産税法上の居住外国人である場合は、課税対象の全世界財産のうち非課税枠の200万ドル(2009年は350万ドル)を超える部分が連邦遺産税の対象となります。死亡した夫が非居住外国人である場合は、非課税枠の6万ドルを超える米国内財産が課税対象となります。連邦遺産税の税率は18%~45%の累進税率です。非課税枠以下の遺産は、連邦遺産税の対象外です。


日本国籍者が関わる場合は、日本の相続税の申告も必要となります。


生命保険の課税

死亡時に支払われる生命保険金(死亡給付金)は、連邦所得税の対象となりません。雇用者グループ保険、障害健康保険、労災保険などの補償額の一括支給を生存配偶者が受け取る場合も、所得税は非課税です。一括支給の代わりに生存配偶者の予想存命期間にわたる分割支給を受ける場合は、利息分についてだけが課税対象となります。


生命保険金(死亡給付金)は、保険契約によっては連邦遺産税の対象となる場合とならない場合とがあります。死亡した保険加入者(被保険者、例えば夫)が保険証書上、保険の所有者としての権利を有していると、死亡給付金は連邦遺産税の対象となります。保険を掛けられている被保険者(保険加入者、夫)が、保険証書上、所有者としての権利や決定権(受取人の変更、保険契約の解約、保険証書の譲渡、保険に基づく借入の権利)を有していない場合の死亡保険金については、連邦遺産税は非課税です。


日本国籍者が関わる場合、日本の相続税申告も検討する必要があります。日本で保険業法に基づく免許を受けた生命保険会社と、日本の免許を受けていない外国生命保険会社と締結した生命保険契約では、生命保険金の課税上の取り扱いが異なります。前者は、掛け金負担者が誰か、保険金受取人が誰かによって、相続税、所得税、または贈与税が課税され、後者は一時所得として所得税の対象になりますが、相続税・贈与税は対象外です。

bottom of page