会計相談室
2012年11月5日 14:00:00
部門別会計の重要性
鬣(たてがみ)は譲謙(ゆずけん)に聞いた。
「1対1対応のBookkeepingの重要性はよーくわかったし、そのために例外規定のない統一的な伝票制度も採用した。」これで、異常な月次の損益のぶれはなくなったはずだ。どうだ、恵、見せてみろ」恵は修正した損益計算書を鬣に渡した。
「何だこれは。毎月の粗利益率の異常な増減はそのままだぞ。譲矢(ゆずりや)先生、これはいったいどうなっているのかね?」
「鬣さん、御社の主な収益源はいったい何ですか?」
「うーんそうだな。うちはニューヨークでの不動産業と日本からの生地の輸入、それと日本へのアメリカ雑貨の輸出を行っているな。」
「鬣さん、それでは、それぞれのビジネスの利益率は、かなり違うと推定されます。それぞれのビジネスの種類ごとに損益を出す必要があります。」恵はこのうちの生地の輸入事務のために雇用されたのだが、今では、鬣の会社のすべての業務の経理と総務をまかされているらしい。
「それと御社では、営業の方は何人いますか?」
「営業マンというか何でもやっているのが、それぞれのビジネスで1人づついるぞ。それに経理総務の恵と私で計5人だ。」
「会社はニューヨークだけですか?」
「本社はニューヨークで支店がロサンジェルスにある」鬣の回答に対して譲謙は言った。
「それでは、ビジネスの種類毎に部門別の損益計算書を行う必要があります。さらに地域毎で損益計算書も必要になりますね。ついでに営業マンごとの稼ぎも把握すると完璧に近いでしょう。」
鬣は「えっ、そんなことができるのか?」
「もちろんん、できますよ。逆にそれができなければ、鬣さんの会社にとって会計の存在意義はなくなります。」
<解説>譲謙は、業種別、地域別、営業マン別の損益計算書を出せる会計組織をつくるべきだと言っています。これは、会社の経営者が何を最も知りたいのかの視点に立った会計組織の作り方です。会計組織は、決して安易に簡単な方法や費用の安いという視点で創り上げてはいけません。もしも、あなたの会計組織があなたの見たい数値が即座に出せないのならば、問題があると考えてよいでしょう
齊藤幸喜