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税金相談室

2007年9月15日 22:00:00

遺言について

Inage Hawaii

質問: 遺言がある場合とない場合とでは、どう違いますか。リビングウィル(死亡選択遺言)は必要ですか。 答え: 遺言とは遺言を遺した人が死亡した後の財産処分の法律関係について、本人単独の意志表示を記した法的書類のことです。遺言がない場合とある場合を比較してみます。 遺言がない場合 遺言を残さずに死亡した場合、検認(プロベート)裁判所が遺された財産の管理を行う相続代理人を指名します。州法に基づいて相続人(配偶者および子などの直系の家族)を特定し、故人名義の財産、動産、不動産などの所有権を確認し、誰がどの財産を受け取るかについて命令を下します。プロベートには、所有権の名義変更と相続税(遺産税)の納付も含まれます。 最終的に、遺産は法定相続人に分配されるものの、通常、州のプロベート裁判所での手続きに1~2年またはそれ以上を必要とします。そのため、相続分配を確実に、早く執行させることは望めません。時間がかかる分、弁護士手数料も高くなります。 遺言がある場合 遺言があると、時間は6ヶ月ほどに短縮され、遺言が無い場合と比べて有利と言えます。遺言がある場合でも、プロベート裁判所での検認手続きが無いわけではありません。死亡後、まず弁護士が裁判所に遺言を提出すると、遺言の有効性が確認されます。次に、遺言執行人の任命、財産目録の作成提出、負債の返済、相続人への遺産の分配などを含む単純な手続があります。 遺言によって個人または組織が遺言執行人として選択指名され、故人に代わって財産を遺言通りに分配処理します。遺言には、州法とは異なる遺産分割方法の指定、法定相続人以外への遺贈、慈善団体への遺贈、相続人の廃除、未成年相続人に対する後見人の指定などの事項に関する意思表示が明記されます。すなわち遺言には、誰にどの財産をどのように分配するかが書かれています。故人に子がなく親や兄弟に相続権があり、家系が複雑な場合、遺言は大変重要です。遺言には、通常18才以上の利害関係のない(遺産の受取人でない)証人2人(ルイジアナ州とバーモント州では3人)の署名が必要です。円滑かつ速やか、そして確実な相続の執行を確保するために遺言は是非とも必要なわけです。 最近の相続対策には、遺言の作成のほかに、死亡選択遺言(Living Will)、医療に関する永続的委任状 (Durable Power of Attorney for Health Care)、および、財務に関する永続的委任状(Durable Power of Attorney for Finance)を作成するのが一般的です。いずれも検討する価値があります。 死亡選択遺言(Living Will) 致命的な病気や怪我で床に伏し、昏睡状態になり、または、回復不可能の脳損傷の状態になった場合に、自分の尊厳死を守るために医師による治療の制限を宣言しておくのが死亡選択遺言です。この遺言が無ければ、医師は訴訟を恐れて長期間にわたって人工呼吸器などの延命装置をつなげておくでしょう。延命装置と入院費の支出が個人の資金から出ている場合は、財産を圧迫されかねません。この遺言があれば、医師は合法的に人工呼吸器、栄養補給、水分補給などの人工的延命装置を切り、患者の命を自然に断つことができます。 医療に関する永続的委任状 (Durable Power of Attorney for Health Care) 自分の医療に関する決断を下せない状態、例えば一時的な意識不明、精神の混乱、医療願望伝達不能の状態に陥った場合に、医療上の決定の権限を特定人物、例えば家族の一員に与える委任状です。尊厳死のための死亡選択遺言とは異なり、健康維持または回復のための医療決定を委任します。 財務に関する永続的委任状 (Durable Power of Attorney for Finances) 精神状態の低下のため自分の財産を管理することが不能に陥った場合に、手紙の開封、請求書の支払、税務申告と納税、資産管理、ソーシャルセキュリティー手当の受領、投資管理、銀行取引の遂行、保険請求の申請、事業の遂行、退職基金管理などの財務上の決定の権限を特定人物に与える委任状です。

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