会計相談室
2018年6月3日 13:00:00
連結ってなんじゃ
「譲謙(ゆずけん)さん、グループ会社にはコンソメスープが必要だとか聞いたのじゃが?何のことかのう?」会社経営者の鬣は会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称ゆずけん)に聞いた。
「それは、ひょっとしてコンソリのことですか?」
「そうかもしれん。」
「コンソリはConsolidation(コンソリデーション)のことです。グループ会社のすべての決算書を合算して決算書を作成することです。」
「何でそんなことをしなければならないんじゃ?」
「企業グループは同一の経営体として損益や資産負債を把握したほうが業績をみやすいからです。また、連結させて業績を見なければ経営判断を見誤る恐れもあります。よく社会で問題となるのが、損失を子会社に移転させ、その結果グループ内の成績の悪くなった会社を連結からはずし、損失を隠すケースです。この方法で大スキャンダルになったのが、エンロン事件です。エンロンはそれまでの会計ルールの盲点をつき、投資先の損失を公表しませんでした。その結果、最終的には巨大損失を抱えて倒産していきました。この事件が社会に与えた影響は大きく、様々な会計ルールが変わりました。」
「エンロンか?聞いたことがあるぞ。一体、どんな風に変わったんだ?」
「エンロンの前までは、他の会社の50%超の議決権を持っていると連結しなければなりませんでした。その後、連結の範囲は50%超だけではなくなりました。」
「何だそれじゃ、わしの会社が投資している2人の友達の会社もコンソリをしなければならないということか?わずか1%くらいしか持分はもっていないぞ。」
「その場合もありえます。例えば、鬣さんがそのお友達の会社を実質的に支配している場合です。」
「実質的な支配とはどういうことじゃ?」
「たとえば、そのお友達の会社はあまりうまくいっておらず、借金なしにはなりたたない状態で鬣さんが貸付をしていて、それがないとその会社はつぶれてしまう状態の場合です。あるいは、鬣さんが提供する商品なしでは成立しない会社です。いずれも鬣さんがその会社を支配している場合です。」
「確かに1つの会社は友達の経営がうまくいっておらず、わしが貸付を行っているぞ、そして、わしが貸付をやめたらつぶれるのは間違いない。」
「そうすると鬣さんの会社はそのお友達の会社を連結しなければならない可能性があります。」
「なぜじゃ?」
「鬣さんはその会社を支配している可能性があるからです。」
「それじゃ、その会社が利益をだして、わしからの借金が必要なくなったらコンソリはいらないということか?」
「その通りです。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com, info@saikos.com):齊藤幸喜