会計相談室
2022年2月25日 14:00:00
財務諸表のプリパレーションとはなんじゃ?
「財務諸表のプリパレーションとはなんなんじゃ?なにが、コンピレーションが違うのじゃ?」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉(よろずやけんきち、通称、譲謙(ゆずけん)に尋ねた。「プリパレーションもコンピレーションも会計士による財務諸表の作成業務なので、よく混同しがちです。どちらも契約書を作成しなければならないということも同じです。」「じゃ、違いは何じゃ?」「違いは、1.コンピレーションは会計士の報告書(レポート)が添付される点です。これは、コンピレーションが監査やレビューと同じ証明業務の一部だと考えられているからです。証明業務であるので、注記が原則として財務諸表には含まれますが、省略することもできます。省略した旨はレポートに書きます。 また、コンピレーションでは、証明業務ですが、監査もレビューも実施しませんので、そのこともレポートに記載します。2. プリパレーションではレポートをつけてはいけません。証明業務ではないと考えられているからです。さらにプリパレーションでは、財務諸表の各ページに証明業務ではないことを記載しなければなりません。もしも、それができない場合には、Disclaimer(証明業務は一切していないことを明記した免責条項)のステートメントを添付します。3. プリパレーションでは、財務諸表のみならず財務情報の作成も行います。例えば、支払家賃のスケジュール作成業務などです。4. プリパレーションは証明業務ではないので、業務遂行にあたり会計士の独立性は関係ありません。5.注記もまったく自由ですが、部分表記の場合には財務諸表の各ページか注記に記載します。」「ほう、それじゃどんな基準で財務諸表をつくってもよいのか」「プリパレーションの目的は、選択された会計基準で財務諸表を作成することです。選択された会計基準は受け入れ可能なものでなければなりません。例えば、現金主義、税務基準、法令準拠主義、契約基準、その他、合理的な基準や理論的な基準、一般に公正妥当と受け入れられた会計基準などです。特別な基準で財務諸表を作成した場合には、財務諸表の表題か注記に記載をしなければなりません。プリパレーションでの財務諸表とは一般的に貸借対照表、損益計算書、資金計算書をいいます。経営者からの要請でどれか1つのみの財務諸表でも発行できます。」「それじゃ、その財務諸表がまったくでたらめで間違っていたら、そうするのじゃ?」「その場合には、財務諸表の各ページにその旨を書くか、注記に書きます」「なんとなくわかった。ありがとう」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saikos.com):齊藤幸喜