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会計相談室

2014年3月31日 13:00:00

製造をはじめるぞ

Inage Hawaii

「譲矢(ゆずりや)さん、今度、弊社は新規事業として、日本から生地を買うだけでなく、その生地を使って、カバンの生産を始めるのじゃが、何かアドバイスがあるかな?」鬣(たてがみ)は譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称;譲謙ゆずけん)に聞いた。


「鬣さん、それでは原価計算(げんかけいさん)を始めなければなりません。」


「何だ、その玄界灘計算(げんかいなだけいさん)というのは?」


「これから作る、または、作ったカバンの1個当たりのコストを計算することです。それによって、適切な価格の設定や売上原価、棚卸資産の価格が計算できることになります。この計算は会社の損益にとても大きな影響を与えるので、きちんとした計算システムを組み立てなければなりません。」


「何、わしは、買ったものを全て原価として費用計上すればよいと考えていたんじゃが、それではだめなのか?」


「管理会計と呼ばれる採算を重視した会計ならば、究極のかたちは鬣さんがおっしゃっているとおり、買った材料は全て費用でおとし、労賃もその期で全額費用化していくことになります。しかしながら、現在の制度(財務)会計では、その方法が認められておりません。製造のために購入した材料費や労賃または共通費は、生産されたものや売り上げられたもの、さらに在庫品にも配分されなければなりません。そのために支出した費用はまず原価として集計され、製造工程によって配分計算されていくのです。この計算は時として大変複雑になります。」


「そんな複雑なことはしたくないなぁ」


「そうですね、見方によっては原価計算は、鬣さんのおっしゃるように何でもかんでも買った時に費用で落としてしまた方がシンプルでより強力な管理方法になります。そこでは、余分な購入は経営の生産予想や販売予想の見積もり間違いとみなされることになり、究極の筋肉質経営でかつキャッシュフロー経営を行うことにもなります。」


「じゃ、わしの会社はそれを採用しよう。」


「その場合の問題点は在庫をどうやってバランスシートに載せるかです。在庫は、売れるものだけを評価して、売れる価格(売価)を基準として原価に割り戻して計算することになります。それでは鬣さん、制度(財務)会計と管理会計の2つの計算システムを同時に成立しうる方法を採用してはどうでしょう?」


「そんなことができるのか?さすが譲謙、そうしようじゃないか。」


<解説>制度または財務会計とは税金を計算するためや投資家に報告するための会計です。一方、管理会計とは経営者が経営において意思決定をするための会計です。


米国公認会計士齊藤事務所:齊藤幸喜

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