税金相談室
2007年10月5日 22:00:00
自宅事務所控除
質問: 自宅事務所控除について教えてください。 答え: 自宅の一部を事業目的のため使用している場合、一定条件を満たすと自宅事務所控除が認められます。 占有的・恒常的使用 自宅の一部を事業目的のために使用している場合、個人所得税の計算上「自宅事務所控除」が認められます(IRC(内国歳入法)第280A条)。控除が認められるためには、自宅が事業目的に占有的および恒常的に使用されていなければなりません。「占有的使用」とは、部屋または住居の一定空間を事業用に占有使用していることを言います。事業用と個人生活用に併用している場合は、占有使用とは認められず否認されます。「恒常的使用」とは、部屋または住居の一定空間を事業用に常時使用していることを言います。偶発的・臨時的な使用だけの場合は、常用使用とは認められず否認されます。 雇用主の便宜 自営業が自宅を事業目的のために使用している場合、占有的使用と恒常的使用の条件を満たしていれば自宅事務所の控除が認められます。会社勤めの従業員の場合、それらの条件に加えて、「雇用主の便宜」の条件も満たさなければなりません。自宅事務所の控除が認められるためには、雇用主の便宜のために、雇用主の要請により従業員の自宅を事業用に使用する必要があります。単に自宅使用が勤務遂行上便利で役立つという理由だけでは、控除は認められません。従業員が自宅事務所の控除を取っているケースが自営業と比べて少ないのは、「雇用主の便宜」の条件を満たすのが容易ではないためです。 控除の対象となる経費 自宅事務所の経費項目として、次が考えられます。 ・ 固定資産税 ・ 住宅ローン支払利子 ・ 水道光熱費 ・ 保険料 ・ 修繕費 ・ 減価償却費 ・ 維持管理費 ・ 賃借料(貸家住まいの場合) 経費合計額を、自宅事務所の面積が自宅総面積に占める割合で按分配賦した金額が控除額です。 自営業 自営業の自宅事務所の控除には制限が設けられています。フォーム8829(自宅事務所経費)で詳細計算を行い、自営業事業所得(スケジュールC)の計算上、必要経費の一つとして扱います。控除が認められるのは、暫定純利益(総収入から他のすべての必要経費合計額を差し引いた後の額)までの金額です。暫定純損失の場合は、自宅事務所の控除は全額否認となります。この制限により控除が認められなかった超過額は、翌年に繰延べられます。繰延年数は無限です。フォーム8829とスケジュールCは、確定申告書フォーム1040に添付して提出します。 従業員 従業員は、自宅内事務所を項目別控除の一つとして控除します。他の勤務活動経費を加えた合計額が調整総所得の2%を超える部分が実際に控除できる金額です。詳細計算は、IRSパブリケーション587(Business Use of Home)のワークシートを参考にすると便利です。