税金相談室
2007年2月18日 23:00:00
自営業
質問: 自営業の申告方法について教えてください。 答え: 自営業は、関連するすべての必要経費を自営業収入から差し引いた純利益または純損失(事業所得)を報告して、その税金を納めます。 事業所得の計算 会社勤めをせずに自営業の形で生計を立てている場合は、関連するすべての必要経費を自営業収入から差し引き、純利益または純損失(事業所得)を計算します。自営業の事業所得はスケジュールC様式に明細を記入して計算し、申告書フォーム1040に添付して提出します。会社に勤務しながら、副業として自由業収入がある場合も同様です。 業務の遂行上、通常かつ必要なすべての合理的な経費の控除が認められます。しかし、給与所得だけの場合と比べ、内国歳入庁(IRS)による税務調査の対象となる確率が高いのが特徴です。自営業収入の申告漏れや、自営業者のみに認められる経費控除の証拠不備が疑われやすいためです。自営業者は税務調査に対処できるように、普段から収入と支出の詳細な帳簿記録を維持しておく必要があります。 諸控除 自営業の事業所得が給与所得者の給与に相当します。事業所得に利子や配当、給与、キャピタルゲイン、賃貸所得などすべての所得を加えて総所得を算出します。その金額から自営業だけに認められている (給与所得者には認められない) 自営業税の50%や健康保険料、自営業退職基金拠出金などの所得調整控除を差し引いて調整総所得を算出します。これらの控除は、概算額控除(スタンダード・ディダクション)、項目別控除(アイテマイズド・ディダクション)のいずれの控除方式を選択した場合でも、総所得から差し引くことが認められます。 次に給与所得者の場合と同じ諸控除が認められます。すなわち、調整総所得から項目別控除または概算額控除のいずれかの方式による控除、および人的・扶養控除を差し引いて、課税所得を算出します。課税所得に該当税率(10%から35%までの6段階の累進税率)を適用して所得税を計算します。 自営業税 さらに自営業者には、自営業税と呼ばれるソーシャルセキュリティー(SS)とメディケアの税金を計算して納付する義務があります。給与所得者の場合、これらの税金は給与からの源泉徴収による個人負担分と、雇用主負担分の半額ずつを合計してFICA税という名目の税金で納付しています。自営業者は全額を個人負担します。税率はSS税が12・4%、メディケア税が2・9%です。SS税には毎年、課税対象上限額が設定されます。SS税の課税対象上限額は、2006年9万4200ドル、2007年9万7500ドル、2008年10万2000ドル、2009年10万6800ドルです。メディケア税の課税対象額には上限がなく、事業所得の総額に同税が課されます。 予定納税 所得税と自営業税の合計額は、予定納税の形で年4回に分けてIRSへ納付します。的確な金額で予定納税を納付しないと予納過少納付ペナルティーが課されるため、注意が必要です。 損金繰越 事業所得が赤字(純損失)となった場合は、ほかの所得との損益通算が認められます。自営業の純損失を利子や配当、給与、賃貸所得などの所得と相殺控除することで節税が可能です。損益通算後にまだ純損失が残った場合は、過去2年、将来20年にわたっての繰り越しが可能です。繰越年度に純損失とほかの所得とを損益通算することで節税となります。 報酬通知書 年明けに役務の提供先から報酬の年間総額を記載した「非雇用報酬」の通知書フォーム1099が送られてきます。役務の提供先が複数であれば、それらの金額を合計してスケジュールCの収入欄に記入します。米国では、SSナンバーが納税者番号として効率よく機能しているため、IRSへ報告された支払通知書フォーム1099の情報と納税者が提出した申告書の内容は、コンピューターによる照合が行われます。申告漏れがあると、後日IRSから追徴通知が送られてくるので、この点十分気を付ける必要があります。なお、必要経費の領収書などの証拠書類は申告時に提出せず、IRSからの質問に備えて保管しておきます。