税金相談室
2000年10月20日 22:00:00
納税者番号
Q:ソーシャル・セキュリティー番号は、新生児にも必要と聞きましたが、なぜですか。ビザの種類によっては、ソーシャル・セキュリティー番号を取得できない場合がありますが、その時はどうすればよいのでしょうか?
A:ソーシャル・セキュリティー番号はアメリカの社会保障体系であるソーシャル・セキュリティー制度の整理番号で、米国市民およびほとんどの合法滞在者の外国人に発行されます。
ソーシャル・セキュリティー番号は、単に社会保障制度の管理目的だけでなく、アメリカ国民および居住者の総背番号制度の役割を果たしています。
住所、職歴、銀行ローンおよびクレジットカードの借入バランスと返済状況、訴訟の有無などの個人情報がソーシャル・セキュリティー番号ごとにデータバンクに記録されていて、個人の信用調査に役立ちます。学校では学生のIDとしても使われます。銀行預金の口座開設や運転免許申請の際にも必要です。
●所得がなくても必要
また、ソーシャル・セキュリティー番号は、納税者番号としても機能しています。給与所得や投資所得を受け取っている納税者本人はもちろんのこと、所得のない配偶者や扶養家族であっても、必ずこのソーシャル・セキュリティー番号が必要です。それは、配偶者控除および扶養控除を申告するためになくてはならないからです。
子供が生まれた年から、扶養控除を受けるには、子供のソーシャル・セキュリティー番号の取得が求められます。親が、病院から発行される出生証明書(Birth Certificate)を申請書と共にソーシャル・セキュリティー・オフィスに提出すれば、新生児のソーシャル・セキュリティー番号を取得できます。
アメリカ国内での労働が認められているビザ保有の外国人は、パスポートとビザをソーシャル・セキュリティー・オフィスに持参すると、ソーシャル・セキュリティー番号が発行されます。
アメリカ国内での労働が認められていないビザを保有する外国人の場合、ソーシャル・セキュリティー番号が原則として取得できません。学生ビザ、短期観光(Visa Waiver)などがその例です。
ソーシャル・セキュリティー・オフィスによっては、労働が認められていないビザのための条件付きソーシャル・セキュリティー番号を発行してくれる場合もあります。
●個人納税者番号
ビザの種類のためソーシャル・セキュリティー番号が取得できない人が、配偶者控除や扶養控除を申告する場合、あるいは日本からの直接投資に関してIRSに申告書を提出しなければならない場合は、ソーシャル・セキュリティー番号の代わりに、個人納税者番号(Individual Taxpayer ID Number)を取得することが義務付けられています。
個人納税者番号またはソーシャル・セキュリティー番号がない場合は、ペナルティーが課されます。人的控除、配偶者控除、扶養控除が否認され、合算申告も認められなくなり、追加の税金および延滞利息などのペナルティーを払わなければなりません。
個人納税者番号は、申請者フォームWー7に必要事項を記入して、パスポートと運転免許証、または戸籍謄本(英訳)をIRSへ持参すれば、申請できます。
KPMG特別顧問、米国公認会計士 大島襄