会計相談室
2011年10月26日 13:00:00
米国のBookkeepingについて (6)
Q. 米国では会計の共通化が急速に進んでいると聞きました。最近の流れと会計士の展望について教えてください。
A. 最近の会計の共通化の流れは以下のようなキーワードで表すことができます:
1. USGAAP & IFRS:米国の会計基準(USGAAP)と国際会計基準(IFRS)の共通化。この二つの会計基準のそれぞれの設定主体である米国財務会計基準審議会(FASB)と国際会計基準審議会(IASB)が共通化に向け、米国ノーウォーク合意が2002年9月になされてから来年で早10年になろうとしています。着々と共通化は進んでいますが、米国証券取引委員会(SEC)は、IFRSをどのように適用するのか未だに結論を公表していません。
2. GAAS Clarity project & IAASB:10年前にできたSOX法(サーベンス・オクスレー法)が、米国公開会社会計監視委員会(PCAOB)をつくりましたが、それによって、米国公認会計士協会(AICPA)の監査基準委員会(ASB)の主な作業は非上場会社のための監査基準の設定になり、その後、監査基準明確化作業(Clarity project)を開始しました。ASBと国際監査および証明基準委員会(IAASB)は、お互いに基準の明確化作業を行うことによって、 米国監査基準と国際監査基準の調整連携作業を進めています。
3. Small GAAP & IFRS for SMEs:上場会社の会計基準が、より国際化し複雑になり高度化する中で、中小企業用の会計基準がより注目を集めています。そこで、2009年にはAICPA、財務会計財団(FAF)と全米州政府会計評議会協会(NASBA)が、非公開会社のための会計基準について検討するためにブルーリボン委員会(Blue-Ribbon panel)を立ち上げました。同委員会は、非公開会社用の会計基準を作成するため、現在、非公開会社会計基準向上審議会(Private Company Standards Improvement Council)を立ち上げるか否かを検討しています。
4. CPA Exam:米国の会計士試験が今年から日本や中近東(バーレーン、クウェート、レバノン、アラブ首長国連邦=UAE=)で受験することが可能となりました。これは、米国のCPA資格が国際的な資格へと着実に歩み始めている過程と考えられます。すでに米国の公認会計士制度は、オーストラリア、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、メキシコと資格相互承認制度を導入しています。シンガポールの資格も取得できやすくなっているようです。
5. AICPA Ethics Codification Project:AICPAの倫理委員会であるPEECは、国際会計士連盟(IFAC)の倫理委員会であるIESBAと倫理基準の共通化に向けて作業を行っています。そのための具体的な作業として、AICPAの倫理基準のコード化による整理整頓が始まっています。
齊藤幸喜