税金相談室
2000年6月20日 22:00:00
税金のペナルティー(2000年)
Q:4月に中旬の提出期限に間に合うように確定申告書「フォーム1040」を提出し、税金も支払いました。ところが先日、IRSからペナルティー請求の通知書が送られてきました。どのような時にペナルティーが課されるのですか。
A:申告書の計算の結果、税金が還付されることになった人は、ペナルティーが発生することはありません。ペナルティーが発生するのは、追加納税することになった人のうち、申告書提出と税金納付が期限に間に合わなかった場合、また、納付金額が一定の条件を満たさなかった場合です。 ペナルティーには次の3つがあります。 ●遅延申告加算税 遅延申告加算税は、申告書の提出が遅れた場合に加算されるペナルティーで、1ヵ月遅れるごとに(端数は1日でも1ヵ月に繰り上げられる)、追加税額の5%、最高5ヵ月分で25%までが加算されます。 申告書の提出は、「当日消印有効」が原則です。申告書の送付には、郵便のほか、DHL、AIRBORNE、UPS、FEDEXなどの手段が使えますが、今年の申告(99年度分)の場合は、それらに4月17日以前の消印があれば有効でした。 期限前に申告書を発送したことを示す送付状の控えやレシートは、大切に保管しておく必要があります。期限内に送ったにもかかわらず提出が遅れたという理由でペナルティーの通知が送られてきた場合は、それらをを提出して説明すれば、遅延申告加算税を撤回してもらえます。 次に説明する延滞納付加算税と予納過少加算税は、税金納付のタイミングと額に関するペナルティーです。 ●延滞納付加算税 延滞納付加算税は、申告書提出時に納付すべきだった税金が支払われなかった場合、実際に納付されるまでの間、1ヵ月(端数は繰り上げ)につき延滞税額の0・5%、最高50ヵ月分で25%までが加算されます。 申告書の提出が「当日消印有効」であるのに対して、税金納付は原則として「期日必着」です。したがって、確定申告の計算をした結果、追加納税が必要と分かった場合は、申告書と納付税金の両方が期限までにIRSに到着するように送り出さなければなりません。また、先方が受け取ったことを証明する「配達証明書(Return Receipt)」が手元に戻ってくる送付方法を選ぶことが大事です。 納付が遅れる税額が確定税額の10%未満である場合は、税金申告の自動延長申請書「フォーム4868」を提出することによって、このペナルティーを回避することができます。ただしこの場合も、通常の延滞利息は加算されます。延滞利息の利率は、短期フェデラルレート+3%で、四半期ごとに更新されます。2000年第2四半期の利率は、年率10%です。 ●予納過少納付加算税 予納過少納付加算税は、源泉徴収税および予定納税によりすでに支払った金額が、確定税額の90%未満であった場合、不足分に対して延滞利息の利率(2000年第2四半期現在10%)で課されるペナルティーです。 確定申告の計算をした結果、それまでに源泉徴収や予定納税で支払っていた税金が確定税額の90%に満たなかった、という事態を避けるには、まず、給与所得を得ている人は、給与に対して十分な源泉徴収が行われているかどうかを確認する必要があります。源泉徴収が不十分な場合は、「フォームW―4」に必要事項を記入して会社に提出することにより、源泉徴収額が調整されます。来年4月の申告に向けて、2000年度分の源泉徴収額を調整するには、今年の年末までにこの手続きが必要です。 自営業者、また会社員でもレント収入やその他の一時所得、臨時所得がある場合、銀行預金、株式やミューチュアルファンドの投資、不動産投資などによって利子、配当、キャピタルゲインがある場合は、年4回に分けて予定納税することで、予納過少納付加算税は回避できます。 前年度と比べて所得が大幅に増加した場合や、上半期に比べて下半期にかなり多額の収入を得た場合などは、源泉徴収や予定納税額が足りずにこのペナルティーの対象となる確率が高いので要注意です。申告書作成の段階で、このペナルティーを回避する計算をすることも可能です KPMG特別顧問、米国公認会計士 大島襄