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税金相談室

2001年4月5日 22:00:00

短期滞在者の税金

Inage Hawaii

Q:私は日本の会社の社員で、出張の形でアメリカに滞在しています。滞在が長くなるとアメリカで税金がかかると聞きましたが、本当ですか? 


A:アメリカの税法上、Eビザ、Lビザ、Bビザ、Hビザなどのステイタスで滞在する外国人は、アメリカ滞在の長短によって居住者、または非居住者となります。非居住者は、米国源泉所得についてのみ課税対象になるのに対して、居住者は米国源泉、外国源泉のかかわりなく年間に得たすべての所得が課税対象となります。


年間で「実質滞在条件」と呼ばれる183日を超えた場合は居住者、183日以下なら非居住者となります。日本人の場合、アメリカ滞在日数が短いため税法上非居住外国人と判定されると、日米租税条約という法律の適用の対象となることがあります。


日米租税条約第18条


日米租税条約第18条によると、日本の会社の被雇用者としてアメリカに短期滞在する日本人は、日本の会社から支給される給与、賞与、手当などすべての報酬について、アメリカにおける課税が免除されます。その免除条件は次の通りです。


(1)日本の税法上、日本の居住者であること。すなわち、住民票の住所を有すること。

(2)アメリカの滞在日数が暦年中に183日以下であること。 

(3)日本法人または外国法人の日本国内支店の被雇用者であること。

(4)報酬がアメリカ国内にある日本法人の支店によって負担されていないこと。 


以上の条項は、ビザの種類に関係なく日本本社に属したままの長期出張者や研修生、駐在員事務所に勤務する日本人に適用されます。合計滞在日数が183日を超えても、年をまたがって滞在することによって、各暦年中の日数が183日を超えていない限り課税対象とならず、両年とも全額免税扱いとなります。


上記の租税条約の条件を満たさない場合は、非居住者のアメリカ源泉の所得に税金が課せられます。例えば、現地法人または日本法人のアメリカ支店の社員として勤務する日本人は、滞在期間が短いために非居住者の身分となっても、当条項の適用は受けられず、日本の会社からの支給額のすべてが課税対象となります。


日本の本社の社員が出張の形でアメリカに滞在して、暦年中の滞在日数が183日を超えた場合は、その年度はアメリカの居住者となります。


また、日本の税法上日本の居住者であり、同時にアメリカの税法上もアメリカの居住者である場合があり、これを双方居住者(Dual Resident)と呼びます。双方居住者の取り扱いについては次回検討します。


KPMG特別顧問 米国公認会計士 大島襄

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