会計相談室
2017年1月18日 14:00:00
監査基準
「譲矢(ゆずりや)さん、今日は監査基準について教えてくれんか?」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)に尋ねた。
「もともとアメリカの監査基準(SAS)は監査基準審議会(ASB)が作成していました。上場会社の監査基準を決める公開会社会計監査委員会(PCAOB)が2002年にできるとASBの役割はPCAOBとの無駄な混乱をさけつつ国際監査基準との融合を図ることや米国監査基準をわかりやすくするためのクラリティ作業を行いました。」
「ほう、そうか、それじゃ、監査基準もわかりやすくなったということじゃな。」
「そうです。」
「現在、以下の2つの監査基準がペンディングです。①企業としての継続性に問題がある場合の監査。②監査免除の証券発行の監査基準です。」
「なんだそれは?」
「まず、企業の継続性について説明したいと思います。継続企業を前提にした会計では、決算書は企業が合理的な一定期間継続することを前提にして作成されます。一般的な目的の決算書は、清算基準の会計の方が適切だとみなされない限り、継続企業を前提として作成されます。」
「それで何が言いたいのじゃ?」
「監査では継続性についての十分で適切な監査の証拠を入手し、経営者が継続性を前提とした決算書を作成することの根拠を得ます。逆に企業の継続性に疑いがある場合には、そのことについて十分な証拠を入手しなければなりません。さらに企業の継続性について十分な開示がされているかどうかも評価することになります。最終的に監査基準に準拠して監査報告書が作成されることになります。」
「難しいことを並べているが、要するに、企業の継続性は大変重要なんだということだな。わしも会社経営をしているので、継続することが大変なことは身に染みてわかっているぞ。」
「さずが鬣さん、経営者なので感覚的にこの継続性の監査基準の重要性がわかっておられるのですね。」
「つぎに監査免除の証券についてです。いくつかの種類の証券は1933年証券取引法の適用除外になっています。」
「何、それじゃ、わしでも証券を発行してお金が集められるということか?」
「そうです。例えば私募債の発行(private placement offering)、免除公募(exempt public offering)や地方債の発行です。しかしながら、いくら免除でも不正防止条項の対象にはなります。そのような証券は証券取引委員会(SEC)の管轄外なので監査の要求がされていません。したがって、監査は一般的にそのような証券発行では要求されません。連邦取引委員会(FTC)でのフランチャイズの販売も同様です。監査基準では、このような監査についての中間監査と期末監査での監査人の責任を規定しています。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com, info@saikos.com):齊藤幸喜