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会計相談室

2008年2月12日 14:00:00

監査人の独立性とは

Inage Hawaii

監査人の独立性とはどのようなことでしょうか?


監査人の独立性には、精神的な独立性と外見上の独立性があります。

精神的な独立性は、判断を中立に行い、信頼のおける客観的な専門家としての懐疑的な見方をまっとうできる状態をいいます。外見的な独立性は、第三者からみて、専門家としての信頼性や懐疑主義が全うされている状態が保たれていることについて、疑惑を招かないような行動をとっていることや状況を維持することです。

以下、米国公認会計士協会の基準をみていきたいと思います。  


独立性が要求される会計士のサービスを証明業務といいます。

証明業務は、監査、レヴュー、そして独立性の要求される財務諸表作成業務が含まれます。

非証明業務は、これら以外のサービスをいいます。非証明業務には、記帳代行、給与計算および支払業務や年金管理業務等があります。

会計士は、独立性を維持しながら、非証明業務についてどのようなサービスを顧客に対して提供できるかを考慮する必要があります。それぞれの非証明業務について、独立性を維持できる場合とできない場合についてみていきたいと思います。 




①記帳代行:顧客会社の経営者が承認を行ったり判断したりしている場合、試算表の情報を基にして財務諸表を作成する場合、顧客が承認した仕訳を転記する行為、会計士が提案する財務諸表に対する標準的な仕訳や修正仕訳、その他の修正が顧客によって査閲されており、かつ経営者がそれらの修正による影響を理解していた場合などは独立性が維持されているといえます。しかしながら、顧客の承認なしに会計士が仕訳をいれたり、勘定科目の設定を変更したり、計上方法を変更することや、取引を承認する行為、バウチャーパッケージ等の原資料を作成する行為などは独立性が維持されていないといえます。 



②給与計算:顧客が承認を行い提供された勤務時間表に基づいて、サインなしのチェックを作成したり顧客の給与計算を行ったりする行為、顧客の承認と許可を得た上で、支払先を従業員に限定して給与支払の設定を金融機関に行う行為、ただし支払の承認自体は顧客が必ず行わなければなりません。法律に基づいた給与税の振込支払先の設定を税務当局に限定して行う行為等は独立性を維持しているといえます。しかしながら、顧客の資金の移動や支払を特別なケースを除き許可されている場合、顧客のチェックのサインを許可されている場合(緊急事態の時だけのサインも含まれます)。顧客の銀行口座の管理を直接している場合、給与税申告書のサインを顧客に代わってしている場合、様々な支払の承認をしている場合には独立性は維持されていないといえます。 


③年金管理業務:年金計画の内容について信託機関と話す行為、顧客会社の経営者に年金計画の申請書や影響について助言をする行為、会計士の入手した独自の情報によって取引をプロセスする行為や年金加入者の対応、年金プランの評価、明細表の送付等は独立性を維持しているといえます。しかしながら、経営者に代わる年金ポリシーの決定や経営者の確認を得ない経営者の代行として行うの年金加入者とのやりとり、年金の支給、年金資金の管理を行う行為は独立性が維持されていません。この他、接待や贈答についても規定があります。接待や贈答については以下の点を合理的に判断しなければなりません。  

①接待や贈答の性質

②接待や贈答の理由

③接待や贈答の金額

④その他の接待や贈答の提供や授受についての性質、頻度、金額

⑤接待がビジネスの前か期間中か後か⑥接待には他の顧客、仕入先等が参加しているか

⑦接待への顧客先企業、仕入先企業からの参加者や会計事務所からの参加者  





米国公認会計士  大島斉藤会計事務所 齊藤幸喜 

 

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