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税金相談室

2007年7月10日 22:00:00

留学生の税務

Inage Hawaii

質問: 学生ビザで米国の大学で’勉強しています。米国での税金申告について教えてください。 答え: 日本から支払われる教育または生計維持のための給付は、日米租税条約によって米国での課税が免除されます。学生ビザなどの一定ビザ保持者は、米国内での就労による課税対象所得がない場合でも、情報申告書をIRS (内国歳入庁)へ提出する義務があります。アルバイト収入がある場合は、確定申告書による申告納税が必要です。 日本からの送金給付は非課税 教育を受けることを主たる目的として米国に滞在する学生は、教育または生計維持のために受け取る日本からの給付や仕送りについて、米国での課税が免除されます(新日米租税条約第19条)。免税となる給付とは、本人および家族のための親からの送金や会社からの手当、政府等からの交付金など、あらゆる日本からの送金を含みます。04年まで適用されていた旧条約では、課税免除に5年間の期間制限が設けられていました。新条約には期間の制限がなく、フルタイムの学生として公認の教育機関で勉学をしている限り、日本からの送金給付は5年を超えても非課税です。 留学生は所得が無くても申告義務がある 留学生は、日本からの送金給付だけで勉学と生計を維持し、米国内での就労による課税対象所得がない場合でも、申告書フォーム8843 (Statement for Exempt Individuals)をIRS (内国歳入庁)へ提出する義務があります。 通常、外国人は「実質的滞在条件」の税法規定によって、米国滞在日数が183日を超えると居住者となり、183日以下であれば非居住者となります。ただし、Fビザ、Jビザ、Mビザ、Qビザを保持する学生は、最初の5年間、「実質的滞在条件」の計算から除外されて、たとえ年間滞在日数が183日を超えても非居住外国人となります。フォーム8843は、学生が長期滞在しているにも関わらず「実質的滞在条件」の日数計算からの除外個人であることを届け出るための申告用紙です。6年目以降の滞在からは、原則「除外個人」ではなくなり、「実質的滞在条件」が適用されて居住外国人となります フォーム8843 には、学生の氏名、日本の留守宅住所、米国住所、入国ビザの種類、米国入国年月日、現在のビザの種類、現在のビザへの変更日、国籍、パスポート発行国、パスポート番号、過去3年間の米国滞在日数、過年度の滞在日数のうち「実質的滞在条件」上除外する日数、過年度に勉学していた学校の名称、同住所、電話番号、所属学科の学部長の氏名、同住所、電話番号、過去6年間の保有ビザの種類などの情報を記入します。日本からの仕送りだけでアルバイト収入もなく、奨学金の給付も受けていない留学生は、サインをしたフォーム8843だけを所定のIRS住所へ送付すればよいことになっています。 収入がある場合の申告義務 留学生にアルバイト収入がある場合は、フォーム1040NR (Nonresident Alien Income Tax Return)に必要事項を記入し、フォーム8843を添付して、IRSへ提出する必要があります。年間アルバイト収入の金額が基礎控除(本人の人的控除、2007年3400ドル)以下であれば税金は発生しません。基礎控除を超える所得は、10%~35%までの6段階の累進税率(通常の所得税率)が適用されて課税が生じます。ソーシャル・セキュリティー税(6.2%)、メディケア税(1.45%)は、Fビザ、Jビザ、Mビザ、Qビザであるため個人、雇用主とも非課税です。 OPT 留学生が学校を修業または卒業し、その後移民局の許可を得てOPT (Optional Practical Trainee) の資格で企業研修を受けている間の給与は、所得税の対象となります。ソーシャル・セキュリティー税、メディケア税については、5年以下の滞在である以上、個人、雇用主とも非課税です。 就労ビザ OPTの期限修了後、H-1Bなどの就労ビザを取得した年度に、新しいビザでの米国滞在日数が183日超になると、非居住外国人から居住外国人になります。同一年度に二種類の身分を有する「Dual-Status」(二重身分)の取り扱いとなるため、非居住者と居住者の二種類の方法による税金計算をする必要があります。 教授・研究者 Jビザ、Qビザで、学生としてではなく、教授あるいは研究者として米国に滞在する場合、「実質的滞在条件」の除外個人としての年数は2年までとなっています。すなわち、Jビザ、Qビザの教授・研究者は、米国入国後の最初の2年間は、たとえ年間滞在日数が183日以上となっても、居住者扱いとはならず、非居住外国人となります。2年経過後には 「実質的滞在条件」 が適用されて、非居住者あるいは居住者となります。 大学、その他の教育機関での教育または研究に対して支給される給与は、米国到着から2年間についてアメリカでの税金は非課税となります(新条約第20条)。教授、研究者は、非居住外国人である期間についてはフォーム1040NRおよびフォーム8843による申告を必要とします。2年経過後、居住者になるとフォーム1040での申告となります。

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