会計相談室
2015年11月2日 14:00:00
決算書の読み方―貸借対照表、借入金
「譲謙(ゆずけん)さん、わしは決算書が読めんのじゃが、今日はその読み方を教えてくれんかのう」会社経営者の鬣(たてがみ)は、会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)通称、譲謙に聞いてみた。
「わかりました。鬣さん、それでは今日は決算書のうちの貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)のお話をしましょう」
「代謝体操法(たいしゃたいそうほう)?それは新陳代謝を促す体操の方法か?」
「バランスシートのことです。略してB/S(ビーエス)とも呼ばれています」
「なーんだ、B/Sのことか、最初からそう言ってくれ」
「まず、B/Sは簿記で使う“資産”“負債”“純資産”“収益”“費用”という5つの項目のうち“資産”“負債”“純資産”の3つを集めたものです。資産を左側に書き、負債と純資産を右側に書きます。これによって会社の財政状態がわかります。」
「会社の財政状態って何だ?」
「会社の財政状態とは人間でいうと健康状態です。会社ではどこから資金を調達し、どのように保有をしているかということを示します。資産は会社資産の在高を示しますし、負債と純資産(または資本)は資金の出所を示します。財政状態がよいといえば、人間にたとえると健康体を保っていることをいい、さらには、普通の体なのか、筋肉質なのかをも示すことになります。財政状態が悪いということは、体力がなく弱々しい状態をいいます。最悪は死にそうな状態をいうこともあります。また、純資産の増加額によって会社がどれくらい成長したにかを見ることもできます。したがって、純資産が増えず、借入金ばかりが増えると財政状態は不安定になっていきます」
「借入金はいけないことなのか?」
「借入金が悪いかどうかは、結果的にその借入金が原因で会社が倒産するかしないかで決まると思います。 会社は利益が出ているかいなかよりも、資金が回っているかいないかで倒産するかしないかが決まります。」
「何、それじゃ、利益が出ていても倒産をすることがあるというのか?」
「もちろんあります。たとえ黒字が出ていようと出ていまいと借入金の返済額は一定金額です。利益の金額が減ったからと言って返済額が減ることはありませんし、赤字になったからと言って、返済額はゼロにはなりません。したがって、黒字になっていたところで、借金の返済額が大きすぎると資金がなくなり倒産をしてしまうことがあるのです。これを黒字倒産といいます。」
「それは、いかんな。いくらぐらいまでなら借金をしてもよいのじゃ?」
「一般的には、売上高の3か月分を超えると要注意、6か月分を超えるとかなり危なくなります。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com):齊藤幸喜