会計相談室
2014年5月27日 13:00:00
決算のスピードをあげるぞ
「決算はいつ締まりますか?」譲矢謙吉(ゆずりやけんきち)通称;譲謙(ゆずけん)は鬣(たてがみ)に聞いた。
「1か月だ。すごいだろう。以前は3か月かかっていたのだから、大変な進歩じゃ。」
「それでは、まだまだですね。」
「何、それじゃどれくらいならいいというんじゃ?」
「その前にまず、決算の定義からいきましょう。決算は簡単に言ってしまえば、特定の日の最終の売上と経費を固めてしまう手続きです。利益は売上と経費の差額から算出されます。」
「特定の日とは、うちの決算日の12月31日のことだよな?」
「いえ、そうとは限りません。鬣さんの会社の年度末決算日は確かに12月31日ですが、決算日には中間決算日の6月30日があったり、第一四半期の3月31日があったりします。月次決算ならば、毎月の月末が決算日になります。究極の決算は日次決算で毎日が決算日です。」
「そんなに決算日はあるのか?」
「利益が常に出るようにするには、今の数字を把握する必要があります。」
「何、それじゃ、1か月後に受け取った決算数字じゃ役にたたないということか?」
「そうです。役にたちません。」
「それじゃ。どうしたらいい?前に教えてもらった時には1対1の対応ができていないから遅いということじゃったな。それを改善して満足していたが、どうしたらいい?」
「1対1ができているのならば、会計システム自体とそれにインプットしている部門に改善のヒントがあるかもしれません。」
「うちのシステムは、営業用のシステムと会計のシステムが全く別々にあって、営業のシステムは営業マンがインプットして、会計システムはその営業システムを基にして経理のスタッフがインプットしているぞ。」
「会計システム導入のコストが高いことや会社の歴史的な背景から営業のシステムと会計のシステムを別々にしている中小の会社は結構あります。しかしながら、これが決算を遅くしている原因の1つであることは否めません。現在のクラウドコンピューティングが発達した世界では、ローエンドの会計システムでも、ほとんどのことが解決可能です。その場合、営業のシステムを別に稼働させないことが決算を速める方法の1つです。一方、会計システムのインプットを全て経理のスタッフにさせていることにも問題があります。なぜならば、売上とその回収は営業の方たちがより関心を持っており、営業がインプットに責任をもつべきだからです。経理は売上について現場で直接かかわっていません。したがって、売上や回収に一旦問題が生じると解決するまでに時間がかかってしまい、決算処理を遅らせることになります。」
「そうか?それじゃ譲謙さん、さっそく営業のシステムと経理のシステムを見てくれんか?そして、何かアドバイスをくれんかのぉ?」
「もちろんです。」
米国公認会計士齊藤事務所:齊藤幸喜