税金相談室
2007年4月15日 22:00:00
早期退職とソーシャルセキュリティー手当
質問:ソーシャルセキュリティー手当を62歳になってすぐ受け取り始めると、受給額が減らされると聞きましたが本当ですか?
答え:
ソーシャルセキュリティー手当の早期受給は62歳から可能ですが、受給額は一定削減率によって減額されます。収入レベルが高い場合には、受給額はさらに追加削減の対象となります。
●早期受給による給付削減
アメリカで10年以上働いて税金を納めたソーシャルセキュリティー受給資格者は、老齢退職年金手当を受け取ることができます。満期受給年齢は2002年までは65歳でしたが、2003年から1938年生まれ65歳2ヵ月、1939年生まれ65歳4ヵ月、1940年生まれ65歳6ヵ月という具合に少しずつ延びて、1960年生まれ以降の退職年齢は67歳になります。早期受給を選択して、62歳から年金手当を受け取ることもできます。その場合は、満額給付ではなく削減された給付額が支給されます。
給付削減率は満期受給年齢によって異なります。満期受給年齢が65歳であった1937年以前生まれの人が、62歳で早期に受給開始した場合の削減率は20%です。したがって、例えばこの人の満期給付額が月$1000 とすると、削減された給付額は月$800です。給付開始年齢62歳9ヵ月、63歳6ヵ月、64歳3ヵ月の場合の削減率は、それぞれ15%、10%、5%であり、早期受給年齢と満期受給年齢との間隔が短ければ短いほど削減率も低くなり、給付額が増えます。2004年に62歳 (1942年生まれ) で早期受給の場合の削減率は24.17%です。この人の満期給付額が月$1000と仮定すると、削減給付額は月$758.30になります。早期給付を受けると、最初の削減給付額が生涯にわたって毎月支払われます。消費者物価指数に基づくインフレ調整が施されて、金額が調整されることはあります。満期受給年齢後に受給開始した場合は、生涯、増額給付を受けます。
●収入レベルによる給付削減
収入レベルが高い場合、年金手当の給付額が上記削減に加えてさらに削減されることがあります。収入レベルによる給付削減は早期受給者だけに適用されます。早期給付を受けず、満期受給年齢に達してから給付開始した人は、収入がどんなに多くても、年金手当の給付額を削減されることはありません。
早期受給者が、「一定額」以上の課税対象となる役務所得を稼得すると、超過額2ドルにつき1ドルの給付が削減されます。この「一定額」は毎年インフレ調整されるため変ります。2004年の「一定額」は1万1640ドル(2003年1万1520ドル)です。役務所得とは、働いて得た給与、自由業事業所得などの勤労所得を指します。仕事以外の収入、例えば企業年金手当、保険年金手当、および利子、配当、キャピタル・ゲインなどの投資所得は、どんなに高額になってもかまいません。給付額に直接影響を与える収入のある人は、給付額の調整計算のため、ソーシャルセキュリティー・オフィスに収入金額の変更を、その都度逐一報告する義務があります。
例1
1941年生まれのAさんは62歳に達した時点で、削減された早期給付額として月$800(年$9600)の受給権があり、2003年に年金手当を受給し始めた。2004年にAさんは働いて月$1470 (年1万7640ドル) の給与を受け取った。この給与1万7640ドルが「一定額」1万1640ドルを超過する額 $6000 の2分の1、$3000が削減されて給付される。したがって、2004年の実際の給付額は削減されて年額 $6600 ($9600 - $3000 = $6600) 、月額 $550 ($800 -$3000÷12 = $550) となる。Aさんが2006年に満期受給年齢である65歳8ヵ月に達した月以降は、収入レベルによる削減なしに毎月$800の給付を受けることになる。
早期給付を受けていて役務所得がある場合の削減額は、満期受給年齢に達する年度については異なる計算が適用されます。上記の「一定額」の役務所得は1万1640ドルのかわりに「3万1080ドル」となり、削減率は超過額2ドルにつき1ドルのかわりに「3ドルにつき1ドル」となります。すなわち、給与などの役務所得が3万1080ドル以上ある場合、超過額3ドルにつき1ドルの給付が削減されます。役務所得が3万1080ドル以下であれば、所得レベルによる削減はありません。
例2
1939年生まれのBさんは、月$800(年$9600)の早期給付の受給権があり、62歳から早期給付を受けてきた。2004年9月に65歳4ヵ月に達して満期受給年齢を迎える。Bさんは2004年1月から8月までの間に3万3000ドル、9月から12月までの間に1万6500ドルの給料を受け取った。3万3000ドルが「一定額」3万1080ドルを超過する額 $1920 の3分1、$640が1月から8月までの間の削減額であり、毎月$80($640÷8=$80)削減されて $720 が給付される。9月以降は、収入レベルによる削減なしに毎月$800の給付を受けることになる。
早期受給による給付削減、収入レベルによる給付削減、満期受給年齢での満額給付、受給延期による給付増加、企業年金、保険年金、投資資産などからの分配金、退職後の資金状況などについて、各自の退職プランに照らし合わせて検討することが勧められます。