top of page

会計相談室

2021年11月26日 15:00:00

日米の通勤手当の違い

Inage Hawaii

「譲謙(ゆずけん)さん、今度うちの会社に日本の友人の会社から研修でくるのじゃが、通勤手当を支払おうと思っとるんじゃが、何か、気を付ける点があるかのう?」会社経営者の鬣(たてがみ)がおもむろに会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、譲謙)に尋ねた。「そうですね。違いがあります。」「何が違うんじゃ?わしの会社は通勤費として従業員が精算してくる経費をそのまま、支払っているがそれでいいんだよな?」「その方法は、間違っておりますので、直ちに修正したほうがよいと思います。アメリカでは通勤費は給与扱いしかありませんので、給与項目にCommuting Allowanceなどとして加えなければなりません。」「ええええ、わしのアメリカの経営者仲間もわしと同じように通勤手当は給与に加算しなくてよいと思っていて、通勤費を従業員にそのまま経費精算して、通勤費処理をしているぞ。」「結構アメリカには、通勤費のことを勘違いしている方が多くて、給与処理していない会社があるようです。」「何か問題があるか?」「給与の過少計上を招くことになりますが、それは失業保険税や疾病保険の過少計上につながるので、気を付けなければなりません。」「そうか、それではどうすればいいんじゃ?」「まずは、先ほど言いましたように、給与に加算しなければなりません。そのうえで、会社で内規を整備して、通勤費は$xxx.xxまで非課税扱いするという規定を作るのです。ちなみに2021年は$270が非課税限度の上限です。」「そうか、結構簡単じゃな。」「それからが結構面倒なのですが、通勤費は現物支給が原則です。現金で渡す場合も通勤費以外で使用できる方法で渡してはなりません。」「なんだ、それは?」「定期券(Metro card)や通勤費専用小切手(Transit Check)、自分の通勤圏でしか使用できない通勤費専用のデビットカード(Commuting Debit Card)で従業員に支給しなければならないということです。」「それは面倒じゃな。」「そうです。したがって、ある程度の従業員を抱える会社では通勤費専業の会社を使ってデビットカードを配布するのが一般的です。」「現物支給にする理由はなんじゃ?」「現物支給にしなければ通勤費支給額が通勤費以外の目的に使用されていても止められないからです。この場合には単なる追加の給料を支払ったことになります。」「それなら、通勤費の領収書との精算でも同じだろう?」「所得税の観点からはそうですが、失業保険や疾病保険等の観点からは納税不足が生じますし、法律ではアメリカでは通勤費は給料扱い以外は認められていないということです。」「ふむふむそうか、勉強になった。ところで日本はどうじゃ?」「日本ではアメリカより物価は低いのですが、非課税通勤費は非常に高く、¥150,000まで税金がかかりません。支給方法も会社が任意に決めることができ、公共の交通機関以外でも適用され、アメリカでは認められない車通勤にも適用されます。」「日本は本当にいい国じゃのう」


米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saikos.com):齊藤幸喜

bottom of page