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税金相談室

2007年11月10日 23:00:00

日本からの米国不動産直接投資(個人)――(1)

Inage Hawaii

質問:日本へ帰国するにあたり、米国の持ち家を処分せず人に貸してレント収入を得るつもりです。税金上の取り扱いについて教えてください。


答え:日本人が米国で不動産を所有して日本から直接運用する場合、米国と日本の両国で納税申告をする義務があります。今回は米国での課税を説明します。


米国での課税

永住権以外のビザを保持する日本人が日本へ帰国すると、その人の米国税法上の身分は「非居住外国人」となります。非居住外国人が受け取る米国不動産の家賃収入は、米国で所得税の対象となります。所得税の課税は、連邦政府(IRS)、不動産が所在する州、そして場合によっては市、郡(カウンティ)の各段階で課税されます。


連邦税

非居住外国人が所有する不動産を人に貸して受け取る家賃収入に対して、後述の「ネット・レント課税方式」を選択しない場合、「源泉徴収課税方式」が適用されます。源泉徴収課税方式は、家賃から税金が源泉された時点で課税関係が完了する日本の源泉分離課税に相当します。一方のネット・レント課税方式は、確定申告書に必要事項を記入して提出する総合課税に相当します。


源泉徴収課税方式では、家賃を支払う際、テナントまたはその代理人が家賃の30%を差し引き、その金額をIRS(内国歳入庁)へ納付します。家主が受け取るのは残りの70%分です。税金計算上、必要経費の控除は一切認められず、たとえ経費が多いため赤字になることが分かっていても、たえず家賃収入の30%を税金として支払わなければなりません。


ネット・レント課税方式では、納税者が非居住外国人用の申告用紙フォーム1040NRに不動産所得の明細スケジュールEを添付して、毎年確定申告します。この方式を適用するためには、初年度の申告書で、その旨を選択します。家賃収入から、固定資産税や支払利子、修繕費、管理費、維持費、保険料、不動産周旋手数料、減価償却費などのあらゆる必要経費を控除して、ネット・レント純利益または純損失(不動産所得または赤字)を算出し、通常の連邦所得税率(10,15,25,28,33,35%の6段階の累進税率)を適用して税金を計算します。必要経費控除後の金額が純損失(赤字)になれば税金は発生しません。他の年度の不動産所得との損益通算、および、不動産譲渡益との損益通算のため、赤字を繰り越すことによる有効利用が認められます。

必要経費が控除できるネット・レント課税方式は、税金が少なく計算され源泉徴収課税方式よりも常に有利であるためお勧めします。

州税

税金は連邦政府だけでなく、州政府、また場合によっては市や郡に対して申告し、納付する義務があります。ただし、アラスカ、フロリダ、ネバダ、サウスダコタ、テキサス、ワシントン、ワイオミングの7州には所得税の制度が存在しないため、これらの州に不動産がある場合は、連邦税だけが課税されます。州(および市、郡)の税金は、たえず「ネット・レント課税方式」を適用して計算します。したがって、連邦税について「源泉徴収課税方式」を選択した場合、州(および市、郡)の税金のためには「ネット・レント課税方式」での計算をしなければならないため、二重手間になります。このことからも、連邦税は最初から「ネット・レント課税方式」を選択して計算することをお勧めします。


米国で支払った連邦税および州税は、日本側で不動産所得を報告して税金を計算する際、外国税額控除の適用により二重課税の回避が認められます。

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