top of page

会計相談室

2009年11月15日 14:00:00

新連結会計基準 4

Inage Hawaii

Q. 来年度より米国の会計基準は新連結会計基準が適用になると聞きましたが、国際会計基準とはどのような違いがあるのでしょうか?


A. 前回に引き続き米国会計基準と国際会計基準の違いについて述べていきます。


8. 資産負債に買収者が認識測定の原則以外の会計基準を適用した場合:米国会計基準と国際会計基準は特定の資産や負債に認識測定の原則の例外を認めています。例えば、税金費用の計算や従業員福利厚生費用の計算は既存の米国会計基準や国際会計基準に基づいて計算されます。現存する両基準の相違は連結会計についても影響を与える可能性があります。


9. 株式報酬報償金:株式報酬による報償金は米国会計基準と国際会計基準がそれぞれの株式報酬規則に従って計算しなければなりませんが、両基準は全く同一ではないため連結会計基準に差が生じる可能性があります。


10. 条件付き買収費用(contingent consideration)の処理:米国会計基準と国際会計基準は条件付き買収費用について資産、負債あるいは資本に計上することを要求しています。しかしながら、その資産、負債あるいは資本の認識測定の方法が米国会計基準と国際会計基準では全く同じではないため、連結会計に差が生じる可能性があります。米国会計基準では資産または負債として計上された条件付き買収費用は、毎期公正価値で測定し直されることになります。公正価値の変動した金額はヘッジ会計が適用されない限り当期損益に反映されます。国際会計基準では、第39号「金融商品の取り扱い」に該当すれば資産、負債と認識し、当期の損益かその他の包括損益として認識します。第39号に該当しなければ、取り扱いは他の基準に従うことになります。


11. 資産、負債または負債の買収後の測定:一般的に買収後の買収者の資産、負債または資本の測定は米国会計基準と国際会計基準によってそれぞれ適切な会計処理が行われていきます。両基準は全く同一ではないため、連結会計には差が生じる可能性があります。


12. セグメント別の営業権の開示:米国会計基準のセグメント別の会計基準では原則としてセグメント別の営業権の開示が求められています。国際会計基準では、このような開示は要求されておらず、合計金額のみでよいことになっています。


13. 前期と異なる会計処理を行った場合の情報の開示:米国会計基準では公開会社に対してのみ前期と異なる会計処理を採用した場合、前期の会計処理での金額の開示を求めています。これは比較可能性を高めるためです。国際会計基準ではすべての企業に前期の会計処理を行った場合の情報の開示を求めています。


14. 営業権の内容開示:米国会計基準でも国際会計基準でも営業権がどのような要素あるいは原因で生じたのか内容開示が求められています。したがって、考え方に大きな違いはありませんが、営業権の計算過程に若干の違いがあります。


15. 連結会計上、生じた調整額の財務的な影響の開示:米国会計基準では連結会計上、生じた調整額の財務的な影響の開示は要求されていません。国際会計基準では、買収者に対して連結によって生じたゲインやロスについて関連のある資産や負債、大きさや性質などを開示する必要があります。


16. 効力日:米国会計基準では2008年12月15日以降の買収による企業連結から適用開始になります。早期適用はできません。国際会計基準では09年7月1日以降の買収による企業連結から適用開始になります。早期適用ができます。


17. 税金費用:米国会計基準でも国際会計基準でも買収後の繰り延べ税金費用の便益は認識しなくてはなりませんが、両基準には、買収後の便益の認識に違いがある可能性があります。また、米国会計基準は税務費用の偶発債務についての認識をより厳格にしています。


米国公認会計士

大島斉藤会計事務所

齊藤幸喜

bottom of page