日米会計税務アドバイザリーサービス
03-3476-2405
212-599-4600
ニューヨーク本社:150 W 51st Street, Suite 1510 New York, NY 10019, U.S.A.
東京支店:〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-10-5 渋谷プレイス9F コンパッソ税理士法人(気付)
Topics
会計相談室
新監査基準の具体的な運用
2025年11月26日

「譲謙(ゆずけん)さん、新監査基準が今年の12月15日から導入しなきゃならんと言っておったが、具体的な導入方法を教えてくれんか?」会社経営者の鬣(たてがみ)が会計コンサルタントの譲矢謙吉(通称、譲謙)におもむろに聞いた。
「はい、新監査基準はリスクベースアプローチを採用しています。それは会計事務所が事務所のリスクを洗い直しそれぞれの事務所の状況に応じて品質管理マネジメントシステムをカスタマイズすることを要求しています。それぞれの事務所はQuality Objective(品質目的)を設定し、その目標に対するリスクを特定、評価し、そのリスクへの対応を策定します。リスクベースアプローチは個別のエンゲージメントごとではなく品質管理マネジメント全体に適用されます。品質目標とは、会計士が職業的専門家としての責任の下に、適切なレポートが作成されることを保証するために品質管理マネジメントシステムにおいて達成されるべきものです。この目標は、ガバナンスとリーダシップ、倫理要件、業務と受託継続、エンゲージメントパフォーマンス、リソース、情報とモニタリングなどにそれぞれ設定されています。それぞれのプロセスで品質目的が達成されれば、監査基準や会計基準に準拠して業務が実施されたことを合理的に保証することになります。」
「具体的はどう進めるのじゃ?」
「まずは事務所のリスク評価を行います。事務所がQuality Objective(品質目的)を達成することに障害になりうるような要素を書き出します。それらは次のようなものです。①事務所の構成要素:サイズ、ロケーションの数、事務所の構成、事務所の活動など ②事務所の意思決定方法:財務や事務所運営の意思決定方法など ③事務所のリーダーシップやマネジメントスタイル:スタッフの階層や承認権の付与の仕方、リーダーシップのモチベーションやカルチャーなど ④事務所のリソース:事務所のスタッフのバックグランドやテクノロジー、サービスプロバイダーなど ⑤事務所が準拠するべき法律、規制やプロフェッショナル基準:事務所やエンゲージメントに影響を与える規制や会計基準など ⑥ネットワーク:事務所が所属している組織的なネットワークとその影響 ⑦エンゲージメントの種類:監査、レビュー、コンピレーションなどの提供しているサービスの種類や発行したレポートの使途など ⑧顧客のタイプ:顧客のサイズや複雑さなど ⑨その他のリスクです。」
「それからどうするのじゃ?」
「その後6つのプロセス(①ガバナンスとリーダーシップ、②倫理要件、③業務の受託継続、④エンゲージメントパフォーマンス、⑤リソース、⑥情報とコミュニケーション)でそれぞれの品質目的、品質リスク、リスクのレベル、 対応方法、手続き、責任者、テストの実施時期、報告者などを文書化していきます。」
「その他にも何かあるのか?」
「その他に新たに増えた主な手続きや書類は次の通りです。1. 品質マネジメントポリシーの作成、 2. 事務所のスタッフの品質マネジメントトレーニングへの参加、 3. データ保護に関するAcknowledgement、4. インフォメーションおよびテクノロジーのサマリー、5. サービスプロバイダーの評価、6. QMシステムが目標を達成できたかのマネージングパートナーの年次宣誓書などです。」
「よくわかった。経理部に言っておく。ありがとう。」
米国公認会計士齊藤事務所(Saito LLP):齊藤幸喜 (www.saitollp.com, info@saitollp.com)
