会計相談室
2017年5月31日 13:00:00
新収益認識基準のアップデート
「その後、売上の計上基準には何か変化があったか?」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称譲謙(ゆずけん))におもむろに聞いた。
「ありました。2015年以降に4つの追加の修正/アップデートが出ています。」
「なに、4つも出ているのか?どんなものか教えてくれるか?」
「はい、わかりました。まずは、新基準の5ステップの復習からいきましょう。何か憶えていますか?」
「うーん、何だったかのう。確かパーフォーマンスがおんぶしていると売上を計上することじゃ。」
「おしい、ちょっと違います。それは、5番目のステップでパーフォーマンスオブリゲーションを果たしたときに売上を計上するということです。まず、1つ目が、お客様との契約があること。2つ目が、契約上のパーフォーマンスオブリゲーションがあること、3つめが、価格を決めていること、4つめが、その価格をパフォーマンスオブリゲーションごとに振り分けることです。」
「ふー、1つだけでも当たってよかった。」
「まず、1つめの修正では、この新基準の適用時期が延期されました(ASU No.2015-14)。もともと上場会社は、2016年12月15日後から始まる事業年度からで、非上場会社は、それから1年遅れて2017年12月15日後から始まる事業年度からだったのですが、それぞれ、2017年12月15日と2018年12月15日に1年づつ延期されました。」
「それはよかった。全く準備ができていないどころか、よくわかっていなかったしな。」
「2番目の修正では、売っている人が、本人(Principal)か代理人(Agent)かという議論がされています(No.2016-08)。本人の場合、自身の商品やサービスを提供しパフォーマンスオブリゲーションを果たしたときに売上を計上します。代理人は、他の人が提供した商品やサービスをアレンジすることによってパーフォーマンスオブリゲーションを果たすことになり、その時にコミッションなどのフィーを計上します。」
「それはわかるような気がするな。」
「3つ目は、パーフォーマンスオブリゲーションの識別についてです(No.2016-10)。重要でないものは分けなくてもよくなりました。発送費や手数料は、商品が相手のものになった後で生じてもよくなりました。さらにライセンスの販売に関しては売切り型ライセンス販売と使用型ライセンス販売について説明されています。最後は、回収可能性や売上税の表示方法、ノンキャッシュ取引や完了した契約と契約に修正が生じた場合について解説されています(No.2016-12)。」
「何かたくさんあるのう。」
「新しい基準なのでいろいろな疑問点や問題点が浮上することはしかたないですね。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com, info@saikos.com):齊藤幸喜