会計相談室
2015年6月1日 13:00:00
新しい収益認識基準
「譲矢(ゆずりや)さん、新しい売り上げのルールができたと噂で聞いたんじゃが、一体全体何なんだ?」会社社長の鬣(たてがみ)は、会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称、ゆずけん)に聞いた。
「鬣さん、情報が早いですね。アメリカの会計基準を作る団体が、昨年新しい収益認識基準を公表しました。」
「何だ、その最終駅に敷金とやらは?」
「鬣さん、最終駅も敷金も全く関係ありません。収益認識基準(しゅうえきにんしききじゅん)です。簡単にいうと売り上げの計上についてのルールのことです。」
「なーんだ、そうか。それなら何となくわかるぞ。それで、どこがどういう風に今までのルールから変わるのじゃ?」
「売り上げが計上されるのは、売り上げが実現または実現可能な状態になっていて稼得されたときです。今までの基準では、それは、①取引が存在している証拠があること、②物品の引き渡し、または、サービスが提供されたこと、③売り手の価格が確定していること、④代金の回収が確実であること、でした。」
「そうか、これは、何となくわかるな。ところで、新しいルールでは、どうなるんだ。」
「新しい基準では、売り上げは、約束した商品(Promised goods)または約束したサービス(promised service)をお客様に引き渡して、その交換として受け取ると予想される金額を計上しなければならなくなります。そのために5つのステップ(ファイブ ステップ)というものを用いています。」
「5つもあるのか、古いやつが4つだから、1つ増えたわけじゃな?」
「5つのステップは、①お客様との契約 (contract) の存在、②契約上の実行義務 (performance obligation) 、③回収する権利を得られると見込まれる取引価格の測定 (price) 、④取引価格の契約上の実施義務への配賦 (allocate) 、⑤そして、会社が実行義務を履行した時点(satisfies a performance obligation)で収益を認識しなければなりません (recognize revenue) 。会社の実行義務の履行とは、約束した商品の引き渡しや約束したサービスの提供をいいます。」
「何でいまさら、新しいルールをつくったんだ?」
「これは国際会計基準との協調化作業の一環です。」「ところで、いつから、守らなければならないんだ?」
「上場会社は、2016年12月15日後から始まる事業年度からです。非上場会社は、それから1年遅れて2017年12月15日後から始まる事業年度からです。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com):齊藤幸喜