会計相談室
2021年2月26日 14:00:00
投資の会計処理
投資の会計処理
譲謙(ゆずけん)さん、今度、わしの会社で投資をしようと思うんじゃが、会計処理はどうすればいいんじゃ?」会社経営者の鬣(たてがみ)が会計コンサルタントの譲矢謙吉(ゆずりやけんきち、通称:譲謙)に聞いた。
「それは投資の目的や投資持分などで違ってきます」
「まずは安全なところで債券投資はどうじゃ?」
「債券投資は、会社が発行した債券を購入することになるので、お金を貸しているのと同じ状態になります。これについては、満期まで保有する目的であれば、債券の額面と購入金額との差額を満期までに償却していくことになります。それによって実効金利を計上していきます」
「そうか満期まで持つと決めたら、金利のみが収益となるわけじゃな?」
「その通りです」
「それじゃ、値上がり益を狙って買ったらどうなるんじゃ?」
「同じ債券の購入でも、値上がり益を積極的に狙っていった場合には、時価評価がされます」
「ほう、そうすると売れる前から、損益を出すということか?」
「そうです。決算期に換金してしまったかのようにして取り扱われます」
「そんなことをして、その後暴落したら、どうするんじゃ?」
「暴落したら、損失を計上します」
「そんなのおかしくないか?」
「いいえ、売買目的で保有している有価証券は値上り益を狙っているのですから、その業績を正確に見せなければならないのです。それは、実際に売る前でも同じです。その時には利益を得ていたのです。ただ、その売り時を逃せば、そこから損失になるということなのです。経営者は投機目当て株式を保有しているならその事実をガラス張りにして報告しなければなりません。」
「そうか厳しいな」
「経営者には厳しさが求められます」
「満期まで保有や売買目的でもない場合はどうじゃ?」
「その場合は貸借対照表(BS)上は時価評価ですが、損益は損益計算書には計上されません。ハイブリッドな方式で、時価評価をして、正確な時価財産をBSには載せますが、売るまでは損益には載せないというものです。」
「わしはその方法がいいな。ところで株式投資はどうじゃ?」
「持分が20%未満の投資なら時価評価になり、時価の変動は損益に計上します」
「時価がわからなかったら、どうするんじゃ」
「取得原価に株価増減がわかるもののみを当期損益で増減します」
「20%以上の投資はどうなる?」
「20%から50%までは持分法の適用になります。50%超なら子会社として連結しなければなりません」
「株式以外の投資はどうなるんじゃ?」
「基本的には株と同じで、連結か持分法か時価評価になります。ただし、持分の割合ではなく契約内容で決まってきます。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saitollp.com, info@saitollp.com):齊藤幸喜