会計相談室
2016年12月18日 14:00:00
意思決定のバイアスって何じゃ?
「譲矢(ゆずりや)さん、あけましておめでとうございます。本年も経営指導をよろしくお願いします。」会社経営者の鬣(たてがみ)は会計コンサルタントの譲矢謙吉に新年の挨拶をした。
「鬣さん、あけましておめでとうございます。こちらこそ、本年もよろしくお願いいたします。」
「さて、今年は何の話題からスタートするのじゃ?」
「意思決定を間違わないためにいろいろな研究がされていますが、今年はそのお話からしたいと思います。」
「ほう、そうか?わしもそうじゃが、マネージャーやリーダーが間違った意思決定をしないように大切なことじゃな。」
「そうです。リーダーが失敗する最も多い理由は間違った意思決定をしてしまうことです。悪い意思決定を極力なくし、多くのよい意思決定を行うことは、長期の成功と高い投資成果を生み出します。」
「そうじゃな、さっそく始めてくれ。」
「まずは、次に述べるようなバイアス(先入観)を意思決定に入れないことです。①暗黙のゴールの排除、もしも、ボスから暗黙のゴールが示されていると、たとえリーダーであっても、自分の意思決定に影響を受けることになります。②ハロー効果、これは相手がある分野に知識や経験があると、それ以外の分野についてもその相手には知識や権威があると思い込んでしまうことです。逆も同じで、一部が悪いと全部悪いと判断してしまうことなどです。③自我の消耗、これはセルフコントロールをするための力には限度があり、ある一定限度を超えるとセルフコントロールが効かなくなる、というものです。したがって、疲れているときや空腹のときには重要な意思決定はしない方がよいことになります。④ランダムパターン、ランダムとはでたらめで、何ら法則性がないことですが、その中に、実は法則があるというものです。例えば、1から9までの数字が請求書で使用される数ですが、1が32%と最も多く使用され、2が17%で次に多く使用されるというパターンがあります。⑤見えるパターン、人間の脳は不思議なもので、全く何も関係のない事象を関連あるものと思い込んでしまうことがあります。たとえば、xx山の上に積乱雲ができたら、xxの勝負に必ず勝つなどです。⑥エンドーメント効果、自分の所有しているものを知らず知らずのうちに高く評価してしまうことです。⑦無意識のバイアス、これはピンクのサングラスをして物を見るようなものです。例えば、自分の経験や歴史をもとにした判断です。⑧アンカー効果、最初に知った数値の印象により後からでてくる数値の判断が歪められてしまうことです。⑨自己中心性、自分達の方がよく知っていると思い込むことです。⑩感情、知識によらず感情で判断してしまうことです。」
「いっぱいあるな、ちょっと難しいが、今年も正しい判断ができるように頑張ってみよう。」
米国公認会計士齊藤事務所 (www.saikos.com, info@saikos.com):齊藤幸喜